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ライオン

資料を見ながら書いてみると・・・スパルタの支配の異様さが際立ちます。

私の筆力では十分に伝えられないのですが・・・10倍の人数を支配するって、こうゆうことなのかと・・・

誰か資料になりそうな歴史小説書いてくれませんかねー

塩野七生さんの「ローマ人の物語」みたいなかんじで・・・

 降伏交渉の決裂を受けて、サロニコス湾に浮かぶ島国ポリスであるアイギナから一番近い、ペルポネソス半島の港街ポリスエピダウロスまでスパルタ軍1800人は撤退した。

 軍勢のほとんどがそこで待機、王と護衛30のみで海路スパルタにむかっているらしい。


 しかし時期が冬、航海に適さない嵐の季節のため船便もしばしば避難しながらの航海になる。


 ということで、到着までまだ半月はかかりそうだとの見通しもあり、まずメッセニアの状況を見てくることにした。

 メッセニアには片道3日、往復で7日かかるが、今回は馬を借りての移動になるので半分程度に短縮できる。

 鐙を使えば全員が騎乗できるが、鐙なしで騎乗できるのは、他にはコリーダだけなので、二人での視察になった。


 「アーシア、くれぐれもドーリア人とばれないようにね。そうすればアポロの神官ということで安全は保障されるから。」

 真剣な顔で道中の心得を俺に教えてくれていたレイチェルだが、このくだりは何度も繰り返された。

 「わかったよ、レイチェル、ヘイロイタイの敵対心が強いのね。」

 「すんごく強い!それと、くれぐれも色事で揉めないように!」

 このくだりも同じ回数やられた。

 「そう、何回もやりませんよ、なあピュロス?」

 「いいえ、絶対やります。コリーダ、あなただけが頼りです。しっかりね」

 「まかせてと言い切れないほど、不安なんだけど、とにかくご主人様からは目を離さないから!」


 ……


 出発の日、俺は小袖・馬乗袴に身を固め、腰にはクレオンプロトス殿下から下賜された剣、コリーダはなんと執事服にアポロ神殿の長旗ペナントを結び付けた槍である。

 たしかに男性服の固定概念がなければ、キトンやメイド服より騎乗には向いているが……ピュロスには無理だな……胸部装甲のせいで……


 「何を考えていましたか、ご主人さま?」

 「いや、何でもない。この服装ならドーリア人には見えないな」

 「まあ確かに、ヘレネスには見えませんが……」


 幸い雨は降っていなかったので、曇り空の中をメッセニアに向かう。


 「野生動物はどうかな?」

 「街道沿いならば狼程度と聞いています。」

 「山中では?」

 「ライオンがでます」

 「え……」


 熊がでますって返事かと思ったらライオンか、ネメアの獅子の話があったから、いてもおかしくはないが……そうか、ヨーロッパライオンの絶滅ってAD100年位だっけ、まだ500年以上あるんだ。バリバリの現役か。


 「あんまり会いたくはないな」

 「そうですか、私はライオン狩りに参加したこともありますが?」

 「……なんの試練?」

 「エンデミオン家のただの狩り、レジャーです。」

 「……何人で?」

 「あの時は5人でしたね。」


 おいおい……マジかい。

 話を聞くとライオン1頭倒すのには、装備さえしっかりすれば3人で楽に倒せるそうである。


 一人目は弓矢でライオンを引き付け、その後は盾を構える役、

 二人目は投網を投げる役、投網は10組以上準備するそうである。

 三人目が長物で突く役で槍と投げジャベリンが主な装備だそうである。


 「私は槍で突く役目を与えられました。5人で2日かけて3匹仕留めました。」

 「それって普通なの?」

 「さあ、私も育った家しか知りませんので……」


 ローマ帝国では剣闘士がタイマン勝負しているし……レジャー感覚で狩りしてもおかしくはないのかもしれないが……それでライオン絶滅したのかな?


 結局その日1日はずっと下り坂だった。

 4人ぐらいは歩けそうな道が続いているので迷う感じはない。

 たぶん軍用に整備されたんだとは思うが・・・舗装はされてない。

 山の裾を縫うように道が進んでいて、ラオニアス・エイジスと呼ばれる山が見えた地点で周囲が開けたので、ここで野営にする。


 「なんか、昨日よりあったかいかな?」

 気持ち風が温かい気がする。

 「無理もありません、スパルタは山の上にあるポリスですから。ご主人様、スープをどうぞ」

 たき火を起こし鍋でスープを作っていたコリーダが椀とスプーンをくれた。

 「ああ、ありがとう」


 スパルタの標高は1200m位、ここは600m位、メッセニアのポリス、メッセナにいたっては100mくらいしかない。

 「明日にはメッセナが見えそうだな」


 翌日はラオニアス・エイジスを迂回したあとはネドンタス川沿いに山道を下った。


 昼前には山が切れ平地が見えた。

 そこはあったのは港町だった。

 「え?」

 「カラマタとよばれるメッセナの外港です」

 ああ、アテナイのピレウス港みたいなものか


 驚いたのはその規模である。下手すると港街だけでスパルタ並じゃないか?

 推定だが住人は1万人ぐらいはありそうである。


 おまけに港なので船の行き来で人間が出入りしている。

 オリンピアのアルカディア地方、メッセナ、ピロスのメッセニア地方、それらの船はここを中継してスパルタ、アルゴスのラコニア地方、その東のアテナイのアッテカ地方、ミロス島に向かうのである。

 冬なので出入りする船はそう多くないが、春から秋の航海期はさぞ賑わうことだろう。


 「いきなりデカい街にきたな」

 「しかしご主人様、メッセナはあっちだと思いますが?」

 「な……」

コリーダが指さした方向を見て絶句した。


 港町からすぐ右方向に緑一面の区画が見える。

 たぶんあれがメッセナの穀倉地帯だ。

 今いる場所は標高200m程度、地平線は60km程先だ。

 その地平線まで緑の絨毯が続いている。

 その途中にアクロポリスらしい山が見え、街が見えるが、絶対にスパルタより大きい。

 その街を中心に見えるだけでも10以上の村が散在している。


 「これが奴隷ヘイロイタイの街メッセナなのか……」

 「どっちが主人かわかりませんね」


 コリーダのいうことがもっともである。

 普通に考えればこっちの平地の方が国として大きい。


 レイチェルが言っていた、スパルタニアンに対する恐怖がなくなれば、ドーリア人の虐殺が始まるの意味が実感できた。

 ビビらず反撃されたらスパルタが滅びる、ビビらせるしかない!!はこの風景を見て納得できた。


 しかし、その一歩先を行かないと今年の冬は乗り切れない。


 「よしいこうか、コリーダ」


 コリーダは槍を天に向けて長旗ペナントをはためかせながら、メッセナに向け進み始めた俺の後ろをついてきた。


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般技能(知識・メイド)

一般知識(公衆衛生)

専門技能(薬学)ランクE

専門技能(馬術)ランクD

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクD

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクB

特殊技能(演劇)ランクC

特殊技能(服飾)ランクD

特殊技能(知識・船舶)ランクE

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