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レオニダス1世(仮)

ははは、一回シビアな話から抜けてインターバルの回です。

次回からちょっとシビアな話になるかな・・・メッセニア見学とデマトラス王の裁断のどっちが先に来るのか、ちょっと時間的に微妙で決めかねてます。

題の(仮)は即位前ということで深い意味はありません。

 薄墨色の夜の帳が降り始めてきたころ、スパルタ軍はエウロタス河の岸辺にたどり着いた。

向こう岸はスパルタの市街区域である。


 「アーシア、こっちに」


 クレオンプロトス殿下から声がかかった。

 殿下と俺が手を繋いで渡河に入る。

 エウロタス河は幅30mで深いところでも1m位の河だ。

 ただ薄暗いのと石が苔でヌルヌルするせいで何度か体勢をくずし、殿下にしがみつく格好になってしまった。

 殿下はさすがに軍人という感じで足腰もしっかりとしていて、よろめく俺を支えてくれた。

 無礼を謝る俺にも、にこやかに笑いながら許してくださった。

 王族とは思えないほど気さくでとてもいい人だ。


 向こう岸に着くとさすがに2月とても寒い。

 すぐに街に伝令が走った。

 我々はたき火を起こし、温まりながら待つ。

 さすがに1000人の武装集団である。万が一、勘違いされると反応が怖い。


 「そういえば、この辺の木って細いよね?」

 周りにあるのはオリーブの木が主体だと思うが、なんとなく細くて背が低い。

 「川の近くだから土地が肥沃というものでもないのよ」

 レイチェルが教えてくれた。

 スパルタ近辺は玄武岩が土台になっている岩盤が多い。上流もそうである。

 つまり火山岩であり、砂礫になりやすい岩質である。

 本来なら土壌改良なり客土なりで農業生産を増やすのだが……


 「アーシア、迎えに来た」

 伝令が戻ってきたらしく、クレオンプロトス殿下が迎えに来てくれた。

 手をひかれ、一緒にアクロポリスを目指して出発する。

 なぜだろう、女性陣3人の表情が苦い?


 ともあれ、直線で500m程だが、200m程登るので約1kmほどの道のりをゆっくりと進む。

 アクロポリスの市場アゴラが目標らしい。

 進んでいく間に次々と松明に火がともされたらしく、アクロポリスからオレンジ色の光が漏れ出す。


 「きれいだ」

 それは幻想的で、現実離れした風景だった。

 白大理石の巨大な建物が揺らめくオレンジの光で浮かび上がり、ライトアップされているのである。

 影が動くことでより浮遊感が強くなっていた。


 そんな風景を前に歩くこと20分、アゴラに到着した。


 「よくぞ無事、帰還したドーリアの子達よ」


 真っ白な髭の老人が歓迎の言葉をのべる。


 「アルゴス軍を撃退し100人もの捕虜を得る大勝利、スパルタンの誇りである!」


 ……あれ?どっかで見た人がむこうにいる……誰だっけ?


 「今宵は祝宴である。勝者はすべてに優先する。楽しむがよい」


 長い(はずの)長老の挨拶がおわった。


 「兄上、無事勝利しました。」

 「ご苦労、正規兵を回せなくてすまなかったな。」

 「いえ、その分サルピズマという騎馬隊が助けてくれました。アーシア、こっちへ。」

 どこかで見たことがある人の前でクレオンプロトス殿下が俺を呼んだ。兄上……そっくりだからそう思ったのか?

 「兄上、デルフォイの巫女にして騎馬隊の指揮官アーシア・オレステス・アリキポスです。アーシアこちらは私の兄のレオニダスだ」

 ……レオニダス……ってあのレオニダス1世だよね。

 そうか即位はBC489だからまだ王太子なのか。

 「アーシアか、騎馬隊とは驚かされる。あとで詳しく話を聞かせてほしいな」

 「お、恐れ入ります。」

 やー歴代1位の英雄王だよ・・・なんというか・・・感無量。


 「レオニダス!」

 後ろからよく通る声でレイチェルの声が聞こえた。

 「ふむ、めずらしい恰好ですが?王族と知ってのお声がけかな?」

 やや不快げな声でレオニダスが応じた。


 「妾です。」

 レイチェルがサングラスと帽子を外した。もう暗いし大丈夫か。

 「姫巫女様!」

 「そろそろ、デマトラスの件で妾が必要であろう。」

 レオニダスの方は驚いている、クレオンプロトスは驚かなかったのに?


 「アーシア、妾の存在は両王家の王位継承権1位までしか伝えておらぬのよ」

 「兄上……この女性は?」

 いつの間にか周囲がバタバタしている。親衛隊かな。


 「スパルタ王家の姫でアポロ神と結婚したと伝えられる姫だ。兄上の戴冠の時に紹介されたが……もう30年前だ……まったく年を取ってない……」

 ええええ、やっぱり、実年齢いくつよ。

 「よい、今回はデマラトスの件で神託が必要であろう。アーシアに任せよ。」

 「は、承知いたしました。」

 「次の王はレオテュキダスか?」

 「はい、兄からはそう聞いています。」

 ちょっとまって、俺の名前出てたけど・・・

 「アーシアはのちにアポロの巫女を統べ教皇となる身。わがつまと心得るがよい。今回から王家の神託を受け持たせる。」

 はいーー?初耳だよ、レイチェル。

 あれ殿下、ショック受けてる……なぜ?


 「神託はクレオメネス王が帰還次第執り行う。準備せよ!」

 「はっ」

 「お!レオニダス、お前に神託があった。」

 「お受けします。」

 レオニダスが片膝をつき頭を下げる。

 「王と国どちらかを選ばねばならぬ時、選択を誤らぬように心せよ。」

 「お受けしました。」


 「では宿舎に案内あないたのむ。」


 そういうとレイチェルは俺と二人+1匹を引き連れて宿らしい建物に案内された。


 中に入ると


 「よしっ!!」


 なぜかレイチェルがガッツポーズした。

 女性二人もレイチェルに抱き着く。


 「レイチェル様、ありがとうございます。アーシア様のために……」

 「ご主人様もレイチェル様を労わらないと、苦労なさってくれたんだから。」


 二人にも言われるが……?

 まあ姫巫女とやらで大変だったのはわかるけど。


 ……


 「アーシア、朝まで説教ね。」


 理不尽である。


 ……



 =チュン・チュン=


 「あいがとーーーございましたーーー」


 「わかればよろしい。以後気を付けるように。」


 「はひーーー」


 そうだった。俺、美少年だった……そうだよそうだよ……外観が日本人のつもりだと、えらいことになるところだった。


 王族の恋人……マジ怖いです。プラトニックなら充分ありなんだよな。

 オマケにスパルタは略奪婚の風習がのこってるし……夜中気がついたら王宮とかやめてほしい



 その日、朝食に骨付き肉が出た……?


 どうも夕べ、バタバタしてたのは狼が出たらしい……朝ごはんになってるけど。


 塀いらんね。確かに。


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般技能(知識・メイド)

一般知識(公衆衛生)

専門技能(薬学)ランクE

専門技能(馬術)ランクD

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクD

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクB

特殊技能(演劇)ランクC

特殊技能(服飾)ランクD

特殊技能(知識・船舶)ランクE

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