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第2次メッセニア戦役

お前は山内伊右エ門かって話ですが(相撲大会名目で集めて銃殺したようです)

スパルタが集めたレスリング選手は行方が分からなくなってるですね。

ちょっとその辺使わせてもらいます。

やっと次の話でスパルタにつきます・・・ながかったー

 第2次メッセニア戦役(BC685~BC668)はスパルタに対するヘイロイタイの反乱である。

この戦役は13年に及びスパルタに大きな変化をもたらした。

 それが結果的にアレティアの誕生と、リュクルゴスの改革をもたらしたのは、すでに述べてある。


 「この証文は、なんでここに?」

 「これはね、第2次メッセニア戦役の主に初期に解放された奴隷達ヘイロイタイの解放証書なの」


 第2次メッセニア戦役が始まって当初スパルタは負けに負け続けた。これを逆転したのが3年目。


 メッセニアを同盟していたアルカディア王を贈賄で抱き込み、戦闘中に裏切らせ撤退させることで会戦に勝利し、複数の指揮官の殺害に成功した。

 それ以降戦闘を優位にすることができたのである。

 もっとも、そののちもメッセニア軍はヘレナ山に籠城し10年間耐えて、ようやく鎮圧された。


 「この戦役の間、捕虜になったドーリア人はどうなったと思う?」

 「えーと……なぶり殺し?」

 「いいえ、メッセニア指揮官のアリストメネス将軍はそんな手は取らなかったわ」


 アリストメネス将軍はこの戦役を指導した将軍で、敗北後はロードス島に落ち延びるも彼の地では英雄の扱いを受けている。

 彼のとった手法は、ドーリア人1人の捕虜開放につき、10人の奴隷を解放するという交換条件である。

 一見メッセニア側には利のないような取引だが、諸外国ポリスにいったとき奴隷と解放奴隷では扱いが大きく違う。


 その結果、連戦連勝だった初期の段階では、多くの奴隷が解放されアルカディアの各地に散らばり、やがて彼らは財をなし、戦役終了後はシチリア島にメッセナを整備し同胞を待ち受けた。


 奴隷ヘイロイタイ兵も身近で功をあげた人物が解放されるのを見て、戦意を奮い立たせることができた。


 「アリストメネス将軍は現実家だったのね。3年目までは戦意高揚の手法に使っていたんだけど、それ以降は敗戦後に備えた準備に変えていたと思うわ。そしてそれは成功した」


 砂岩でできた壁をなでるとザラリとした砂の感触がして、砂がぽろぽろ落ちてきた。

文字はかすれところどころ読めなくなっている。


 「神域は血を流すことができないから、敵対する勢力が交渉する場所としてはうってつけなの。ここの壁に彫り込んだ文と羊皮紙の文書を一対にして、文書は解放奴隷が持ち、原本はここで確認するようになっていたわ」


 まあ……もう誰も生き残ってないけど……レイチェルは遠くを見つめながら呟いた。


 メッセニア側の誤算はスパルタでリュクルゴスの改革が進行し、国力が増大したこと。

 そしてメッセナの近くにタラントが作られ動向を監視されたことである。

 その結果、戦後の混乱期を乗り越えてしまった今では、メッセナのポリスとメッセニアの奴隷ヘイロイタイは祖先が同じだった人達程度まで感情が薄くなっている。

 メッセニアの解放は極めて難しくなってしまった。


 「もっとも、この瞬間も奴隷ヘイロイタイの憎悪は高まっているんだけどね」

 この奴隷ヘイロイタイとドーリア人の問題はリュクルゴス制でも解決できなかった大きな問題である。将来的には禍根を残すのはわかっていても、恐怖で抑え込む以外に対応策はなかった。


 「もし奴隷ヘイロイタイがスパルタニアンに委縮しなくなったら……次に起きるのは……ドーリア人の大虐殺になるわね。それほど根が深いの」


 それゆえ、他のポリスはたやすく奴隷ヘイロイタイを扇動することができ、対抗してスパルタンは子供でも奴隷ヘロットを殺せることを見せつけることで恐怖を上乗せする。

 憎悪と恐怖の天秤で、現在の均衡はなりたっている。


 「最悪だ……」

 「アーシア、それは誰もが知っている。ドーリア人ですら・・・でもだれも解決策がないの」

 レイチェルが悲しい表情で俺に告げる。

 「あなたに解決策があるの?」


 まったく考えつかない、当然だ。俺が考え付くようなら、もうその手が打たれていうだろう。

 無言のまま砂岩の壁を撫で続ける。

 また一文字消えた。


「そんなの簡単じゃない」


 意外にも重い雰囲気を打ち破る言葉はコリーダからでた。


 「みんな、ご主人様の奴隷になればいいんだよ。あたしたちみたいに幸せになるから」


 クッ、


 予想外すぎる言葉に、ちょっと笑いがこみあげてきた。


 横をみるとレイチェルも苦笑いしている。


 思わず、その顔を見て笑い出してしまった。


 「アハハハ……」


 蔑みや嫌味は一切ない、ただの笑いだった。気持ちがいい。


 「……ハ?」


 ふと思い出したことがあった。


 スパルタが反乱を遅らせるために使った手法である。

 確か、レスリングかなにかの競技で大会を開くといって……有力な1000人をどこかに消した……殺したといわれているが……首謀者がいなくなったせいで反乱は遅れた!


 「それだ!」


 今の俺に求めらえているのは反乱の根本解決ではない。ペルシア戦争までの時間稼ぎである。

 交渉のもっていきようによっては、その手がもあるかもしれない。

 俺の大声に驚いたか、仔猫ホルスがレイチェルの手元から飛び出し俺の肩に乗ってくる。


 「策を思いついた。たぶん多くの血が流れるだろうけど、その血を無駄にはしない方法だ」


 周りから感嘆の目が注がれる。


 「コリーダ、ありがとう。君のおかげだ」

 

 そういえば君にはまだだったね、といいながらくちづけをする。


 彼女は、ピュロスと違って恥じらいはなく、首を抱きしめ返し、満面の笑みで受け止められた。


 「よし!夕飯の準備だ」

 

 え?なんでそこで、といわないように……夕飯にクレオンプロトス殿下を招いて会談することから始めるんだから。


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般技能(知識・メイド)

一般知識(公衆衛生)

専門技能(薬学)ランクE

専門技能(馬術)ランクD

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクE

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクB

特殊技能(演劇)ランクC

特殊技能(服飾)ランクD

特殊技能(知識・船舶)ランクE

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