表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/94

アルゴス

いよいよスパルタが絡んできました。

スパルタの迎撃隊は市民でなく周辺住民ぺリオイコイと未成年の兵士見習いで構成する部隊を予定してます。

このためスパルタ市民兵に比較するとかなり攻撃力が落ちます。

アルゴスとスパルタは史実でも勝ったり負けたりしてるライバル関係です。

スパルタが圧勝できない理由も後々書いてみようと思います。

12/28 メガロポリス建国がBC370のため修正

 イテア港に降り立つとすぐにピュロスの持っていたバスケットから灰色がやや濃くなった子猫が飛び出してきた。

 そのまま、俺の背中をワシャワシャとよじ登ると定位置のように左肩の上に落ち着いた。

 あれから2か月ちょっと、成長が緩やかなのか、ホルスは仔猫といっても通じる大きさしかない。

 海の上では落ちるのを警戒して、外に出してもらえなかったのでかなりストレスが溜まっていたようだ。

 肩の上で欠伸をするホルスを見ていると山方の道から神官長がドスドス降りてくるのに気付いた。

 古代ギリシャにあれだけ横幅の大きい人はあまりいない……もう60近いのに頑張ってるなぁ……などと思っていたら声をかけられた。


 「アーシア、元気そうでなにより」

 「アイオス神官長、ご無沙汰してました。無事帰還しました」

 もう冬だというのに神官長の額には汗が浮いてる。

 それを手拭いで拭きながら話してきた。

 「さて、つもる話もあるが、まずは巫女長に会ってくれ。緊急の案件らしい、日のあるうちには神殿に入ってほしいとのことだ」

 「日のあるうちですか……」


 それだと荷卸しや乗客の指示ができない。

 「ピュロス、船荷と乗客の下船の指揮をとってくれ。コリーダも一緒に頼む」

 「ご主人様、護衛は……」

 「神殿に向かうんだから大丈夫、終わったら神殿で合流しよう。では、神官長行きましょう」

 そのまま神殿に向かって歩き出す。


 「なにやらあの二人、行く前よりお前さんにべったりになってるな?」

 神官長が後ろを振り返りながら尋ねる。

 「アテナイに行く途中で一度人攫いに遭いましてね。それ以来、俺の安全には過敏になってるんです」

 「なるほど……」

 まだ腑に落ちなてない感じは受けるが、神官長はこの件はこれで切り上げ、杖を握りなおすと山道を登り始めた。


 山道を歩き始めると、すぐ神官長は息を切らし始めた。それでもペースを落とさず黙々と歩き続け、神殿まで半分程度進んだところでまた話しかけてきた。


 「ハー、ハー、アーシアちょっといいかな?」

 「ええ、何でしょう?」

 「書簡でおくったラーメン店の件なのだが……」

 ああ、それで一人で迎えにきてたのか。

 「鉄貨で販売してもらえるなら良い話だと思っていますが?」

 「やはり鉄貨か……」

 「はい、神殿の財源となる、両替手数料を考えると、他の通貨はちょっと……」

 「うーむ……わかった考えよう」

 神官長にしてみれば財源がアテナイ他の寄付主体の現状の方が好ましいのだろうが……今後いろいろ物入りになりそうで機密費も欲しいし、この独自財源は減らすわけにはいかないよな。


 その後は再び黙々と道を登る作業に戻り、時折ミャーと鳴くホルスの声とハーハーいう神官長の息遣い以外はしない道中になった。


 アポロ神殿に着いたのは午後五時ディシス前だった。

 そして神官長と一緒に巫女長の部屋に直行した。


 「アーシア参りました」


 扉の前で声をかけるとすぐに扉が開いた。

 中にいたのは巫女長と姫両方である。開けたのは姫っぽい。


 「では、また後で」

 そう言って神官長は席を外した。


 「アーシア、緊急事態が発生してます」

 巫女長が厳しい顔で告げてきた。

 「緊急事態ですか?」

 「はい、スパルタとアルゴスが戦争に入りそうです」

 「また、ペルシアとの大戦を控えているのに、なんで今」


 スパルタとアルゴスは仲が悪い。それは知っているが、まさか、この状態で戦争するとは思わなかった。


 全面戦争になればペルシア戦線にスパルタは参加できないことになる。


 小競り合いならしょっちゅう起こっているのだが、巫女長が戦争というからには、国力を傾ける戦争になるのであろう。


 「今回はアルゴスが戦争を仕掛けています」

 ……アルゴスが?なんでだろ?

 「アルゴスとペルシアの間に秘密条約が結ばれたという話は聞きましたか?」

 「すごく嘘っぽい、うわさなら聞きました」

 「そうですか。それは嘘ですので頭から外してください」


 なんでそう振ってくるのよ、巫女長!


 「今回の戦争の原因は我々のようです」


 我々?


 「アルゴスはスパルタの鉄貨に資産価値が生じ、スパルタの国力が増加することに対し不安を持ったようです」

 ……鉄貨

 「そこで鉄貨流通が浸透する前に国力を疲弊させるべく戦争を仕掛けたようです。」

 ……それはまずい。

 「スパルタ側では特に原因も思い当たらないので、通常の小競り合いと思って準備していますが、アルゴスはテゲアを巻き込み、連合軍で攻める予定を立てています」

 スパルタの北隣接ポリスの連合軍か……かなりまずいな。

 「同時に奴隷ヘイロイタイへ武力蜂起も起こさせるようにメッセニアで扇動中です。」

 メッセニアはテゲアと隣接してるからなー

 「唯一の明るい話題はテゲアの戦争準備がまだ整っていないためアルゴス以外はまだ武力行使に出てないことでしょうか」

 「巫女長、準備が整うのはいつでしょう?」

 「今年の冬はもう麦を植えたので大規模な戦争はないでしょう。ですので麦の収穫直後ですね。」

 「つまり?」

 「プレアデスが昇り始める季節です。」

 あと半年位か。

 「ただし奴隷ヘイロイタイの反乱は収穫直前に起きると思います。自分たちで収穫を急ぎ、それを兵糧にして反乱する。スパルタは兵糧確保に困るでしょう」

 ということは150日程度と見た方がいいのか?


 「いずれにしろ、我々の行動が起こしたことですから、責任は取らないといけないでしょう」


 これはこまった、確かにアテナイとスパルタの関係だけ重視してたから、周辺ポリスの反応は考えてなかった。


 「ただ、本来アルゴスがここまで過激に反応するというのは思いませんでした。なにかあるのかもしれません」


 でも巫女長、それがわかっても、もうどうしようもないんだよね。


 「一応、対応策ならあるぞ」


 今まで黙っていた姫が声を上げた。


 「あるんですか?」


 俺は思わず声を張り上げた。


 「アーシアに期待するしかないがな」


 ①まずアルゴスの正規軍とスパルタの迎撃隊の戦闘でスパルタに圧勝させ、他の2国の介入をためらわせる。


 ②奴隷ぺリオイコイの反乱を阻止すべくメッセニアで活動する。


 ……策じゃないよね……ただの願望に見えるけど……おまけに具体策は俺に丸投げだそうです……


 ただ、この二つがうまくいけば、来年以降はペルシア情勢が緊迫するのでアテナイ・コリントスの介入もあり得るため、戦争の危機は去るだろうとのこと。


 要は冬の戦争に勝つ方法を考えて、来年の春は奴隷の反乱を防止しろってことですか・・・夏まで行ったらアウト……むちゃだー


 頭を抱えるとその手をホルスが突っついて遊んでいる。


 「ところで、その肩の猫は?」

 姫がホルスに興味をもった。

 「クレイステネスさんにいただきました。エジプトから持って帰った猫の子供だそうです」

 どうでもいい感じだが一応答える。


 「イシスの子供か!!」

 「知ってるんですか?」

 「ああ、ものすごい値段で取引されるというのは聞いた。」

 「は?」

 思わずホルスを見てしまった。


 (鑑定:5000ドラクマ)


 ええええーーーー

 「霊猫香シベットという物を出す猫らしい。本来は人に慣れない凶暴な猫らしいが、イシスという猫の一族のみ穏やかで人になれると聞いた」


 霊猫香って、この子ジャコウネコなのか。


 「見る限りではフォッサの幼体成熟ネオテニーっぽいのー、貴重じゃなー」

 そんなんしらん、それよりも……とりあえず、そうだ、師匠とクレイテネスさんに相談しよう。

=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般技能(知識・メイド)

一般知識(公衆衛生)

専門技能(薬学)ランクE

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクF

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクB

特殊技能(乗馬)ランクD

特殊技能(演劇)ランクD

特殊技能(服飾)ランクE

特殊技能(知識・船舶)ランクE

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ