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リュクルゴス、狼の民

徐々に技能が働きはじめています。

 何とか昼食を食べ終えて、運ばれてきたワインを手にのんびりする。

 食後のワインも水で薄めてはあるがジュースに近い感じである。

 パン用は古いワイン、飲用は新しいワインにしているようだ。

 ……なんでわかるんだろう、水で薄めたワインの違いがわかるほどワイン飲んだことないのに?

 まあいいや。


 「非常においしい昼食でした。お礼と言ってはなんですが、夕食に私の知る料理をお出ししたいのですが、厨房を使わせていただいてもよろしいでしょうか?」


 うん、我ながらいい建前だ。

 (詭弁成功・・・特殊技能(詐欺)Fランク取得しました。)


 「それは楽しみです。あとでピュロスに厨房に案内させます」

 楽しそうに微笑む巫女長、本当に楽しみにしているようだ。


 へー、料理は奴隷の仕事とか言わないんだな。

 そういえば奴隷の仕事って何だろう?聞いておくか。


 「そういえば先ほど奴隷の話が出ていましたが、ピュロスさ……ピュロスは何を仕事にしているのでしょうか?」

 おっと「さん」付けするところだった。

 「ピュロスは他の奴隷の監督ですね。あとは天文学の知識があるので暦の作成と日々の記録をさせています」

 「それはすごい。天文学を知っている奴隷がいるんですか」

 「ええ、彼女の知識は他の巫女はもちろん私もかないません。よい子に来てもらえました」

 え?、あっさり自分より知識が上って奴隷にも認めてる!

 そういうものなの。


 「そこまでの知識ですか」

 「別に主人より奴隷の方が知識や技能が上というのは珍しくないですよ?」

 そうなの?!

 「子供のころから特定分野だけ訓練されますから。我々のように政治にかかわることもないので、その分集中できますし」

 あれ?

 なにか気になる。なんだろう?

 あれだ、「繁殖種」だ。この話は繁殖種を前提にされている。

 「訓練といえば、自分のところで繁殖させた奴隷はどうされるのですか」


 物扱い……なんか自己嫌悪が起きるがしゃーない。

 「訓練期間が長すぎるので、たぶん奴隷商に売ると思いますが……そもそも奴隷を自分の家で繁殖させる人はいませんよ」

 え?

 「だって考えてください。種付けの後、約1年その奴隷が働けなくなって、生まれた子が使えるようになるのに、さらに15年かかるんですよ。そこまでするより新しい奴隷をかった方が早いし得です」

 ああ、そういえばそうだわ。


 「繁殖家でも数十体の奴隷を運用して、年に数体前後市場に出すのが精いっぱいです。とても普通の家に真似はできませんね。」

それもそうか、専門家だと市場に出す数×15体が最低の数だもんな。

 野生種の方が圧倒的に多いんだろう。


 「納得しました。」

 「ですから妊娠させないように女奴隷は男奴隷から隔離してます」

 でも御主人が……とかないんだろうか?


 「性奴隷はどうしてるんですか?」

 「性奴隷?」

 わあ、ものすごくいやそうな顔してる。まあそうだろうけど……

 「奴隷に性欲を抱く変態ですか、考えたくないですね」

 え、奴隷に性欲を抱くのは変態、うん否定できない。

「そうですね、あなたが遠方の人だというのを思い知らされました。一応、言っておきます。ペルシアとか東方の国ではあるらしいですが、スパルタでは一般に禁忌に近いです。特にラダケイモンである……あなたの場合は特に!」

ラダケイモンってスパルタ人だよな。なんかあったのかな?


「その辺は部屋に戻ってから教えますが、他のポリスでも同じようなものです。ミノス王の后パーシパエーの話は知っていますか。牛と交わってできたミノタウロスの話を」

「ええ知っています。たしかテーセウスが迷宮で倒したとか」

(神話確認・・・一般知識(ギリシャ神話)取得しました)


「ええ、そのようなキメラを自分の子供に持ちたいと思いますか?」

「いいえ。でも、なぜその話を?」

「奴隷と交わってできる子供は同じようなキメラになるのですよ。例えばピュロスとあなたの間の子供に赤髪であなたのような顔立ちのキメラが生まれたとしましょう。どう思います。」

赤髪であの美少年がいかん・・・すごい綺麗だと思うけど・・・巫女長の反応からするとNGっぽいな。では!


「おぞましいです!」


「でしょう?中途半端にギリシア人に似ているのが嫌悪感を増大させます。まだ蛇の髪のほうがましです。それならば人の子とは見られないでしょうから」

わーすごい。ここまで嫌われるって、価値観違うんだなー。


「ポリスの住人にも同じく嫌われます。そのキメラはどうなると思います?」

・・・まあ殺されるわな。


「産んだ奴隷もろとも処分されるでしょう」

なんだろう?このやるせない感じ。価値観の壁が高すぎる。


結局ギリシャ人はギリシャ人、奴隷は奴隷、別の生き物だけど交配可能・・・類人猿ネアンデルタールみたいな感じか?なんとなくわかってきた。


(史実確認・・・一般知識(歴史・ギリシャ)取得しました。)

(ギリシャに対する一般知識が4を超えたので汎用知識(ギリシャ地域)に統合します。)


うんなんか頭がくらくらした。ワインに酔ったかな?


えーと、ということはギリシャ人が奴隷落ちすると人類から退化する、みたいな感じかな?


奴隷に性欲抱ける奴は相手がサルでも性欲がわくやつか・・・健全な青少年なら別に普通な気もするけど違うのかな?


((あくまで性交は戦士を残すための行為であり、快楽を求めるものではない))


なんだ?突然頭の中にリュクルゴスの文言が・・・この体の記憶かな?

「あ!」

リュクルゴスの改革ってスパルタにあったな。そう言えば思い出した。


この体はスパルタ人、だとすると・・・性欲すらも特訓で昇華させられる民族。


ハードモードは勘弁してください。中身平成生まれの日本人なんです。










汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

特殊技能(尋問)ランクF

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクF

特殊技能(詐欺)ランクF

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