表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/94

剣舞

まず前回のヘーシオドスですが「仕事と日」よりも「神統記」の方が有名ですのでこっちで知ってる人がいるかもしれません。

あとピュロスは天文学と暦用の数学を習うために幼少期に留学に出されピタゴラス派の教育を受けている設定でした。音楽は完全に音階判明後の後付けです(笑)

タルゲリアは香木の伽羅を使っている設定にしましたが、これは伽羅が男性の性欲を刺激するといわれているためです。ほんとかなーとは思いますが。

 詩が終わると後ろの方がざわついてきた。

 振り返ってみると……ビキニアーマー……一気に力が抜けた。


 すごい美人で色っぽいというか色気のかたまりという点は認める。

 ストレートでロングの髪も瞳も綺麗な黒、肌はやや小麦色がかっていていい香りがする。(たぶん伽羅だ。)

 ティアラも腕輪も金製で宝玉が入っていてとてもきれいだ。

 ビキニアーマーも黒皮の上に銀象嵌されていてセクシーさ2倍マシになっている。

 ただ、これに剣を腰にさすと……幕張とか後楽園とか……季節限定、渋谷スクランブル交差点とか……


 「なにか失礼なことを考えてませんか?」


 タルゲリア、鋭い……でもポーカーフェイスで


 「失礼、はじめてお目にかかります。見惚れてしまいました。アーシアと申します。美しい方、お名前をうかがってもよろしいでしょうか?」


 最近、演技に自信ができてきた気がする。皆、腹黒いもんなー。

 タルゲリアは訝しがりながらも、確信は持てないようだ。普通に返答してきた。


 「ヘタイラのタルゲリアと申します。ご一緒させていただいてよろしいかしら」

 「ええ、どうぞどうぞ」


 さりげなく席を立ち、その席を開けると向かい側のパンドラさんの横に移動する。


 「アーシアさんは、ずいぶん、警戒されてますこと」

 タルゲリアは席に着きながら話しかけてきた。


 「いえ、横ではあなたの美しい姿が見えにくいので、見えやすい位置に動かせていただきました」

 歯…歯がうく……でも頑張れ、俺。後ろの視線は冷たいぞ。


 「まあ、お上手ですこと」


 「タルゲリアその辺にしてあげなさい。彼はこのような場は初めてなんだよ」

 クレイステネスさんが仲介に入ってくれた。


 「仕方ないですね。あたらしい味が楽しめると思ったのですが」

 あたらしい味?ラーメンのことかな。


 「ペルシアとアテナイが疎遠になってから新しい方との出会いに飢えていますの。アーシア様お味見いかがですか?」


 味って・・・え?


 「タルゲリア、アーシアはアポロの巫女なんだよ。童貞を奪ったらどうなるかわからないじゃないか。慎みなさい」

 クレイステネスさんが即座に割って入った。


……あああーーー、もったいない。素直にもったいない。


 「アーシア、タルゲリアはペルシアに近しい人を奉仕するために、ペルシア王が契約を結んだ珍しいヘタイラなんだよ」

 クレイステネスさんが説明してくれる。

 ……ということですか……なるほど色仕掛ハニートラップですね。

 ストレートだこと。


 タルゲリアの横に座っていたテミストクレスさんが

 「それよりもタルゲリア、せっかくだから、お前の剣舞を見せてくれないか?」

 この場で、それよりも、っていえるテミストクレスさんすごいな。

 やっぱ年季なのかねー


 「いいですけど、伴奏は?テミ…」


 「私が務めさせていただきます!!」

 え、ピュロス?なんか怒ってる?


 「ほー、ピタゴラスの直弟子の登場か。これは楽しみだ」

 テミストクレスが呟く。


 えええーーー衝撃の新事実。


 「直弟子といっても幼い時に手ほどきを受けただけです。セゾンテトラコレスの皆様に比べると拙いですが、先ほどの演奏でお疲れでしょうから、代わって演奏させていただきます」


 な、なんだ、ピュロスとタルゲリアの間で視線が火花を飛ばしている。


 「それでは、剣舞の相方は私が務めます」


 今度はコリーダ!!


 コリーダも視線バリバリに火花が出てる。


 「エンデミオン家で剣舞を修めてますので足手まといにはならないと思います」


 ピュロスとコリーダが1歩前に出る。


 何というか、豪奢な二人?……もしかしてクレイステネスさん、タルゲリアに関係なく二人に剣舞させるつもりで、このキトン指定したのかな?……あり得る。たぶんそうだ。


 「わかったわ、演目はそちらで選んで、あわせてあげましてよ」

 タルゲリアのツンに対してピュロスのツンが炸裂した。

 「それではコリーダ、「アルゴス殺しのヘルメス」のアルゴスをお願いできる?!」

 いや疑問形で聞いてるけどそれ断定だよね。

 「もちろんだ!」

 あ、タルゲリアの顔から余裕が消えた。


 「これは面白いな。どちらも最上級の技量を必要とする演目だ」

 「クレイステネスさん、どんな演目なんですか」

 「簡単に説明すると、最初に百目のアルゴスとヘルメスが高速で戦う。最初っから見せ場だな。そのうちヘルメスが追いつめられるが、伴奏の葦笛が流れ出しアルゴスのすべての目が眠ったところでアルゴスは打ち取られる、で終わりだ」


 ……すげー、舞台じゃ実質二対一じゃん。完全に怒ってますね、二人とも。


 「拍子はワシがとろう。」

 テミストクレスがシンバルのようなものを持ち出してきた。


 =ジャン・ジャン・ジャン・・=


 始まった。あたりのみんなが一斉にこっちを見る。

 

 =ジャン・ジャジャジャン・ジャーン=


 早い早い二人ともすごい速度で殺陣をしている。

 絹の滑らかな動きも相まって、まるでカンフーみたい。

 しかもワイヤーアクション無し、スローモーションなしの実写。


 あ、コリーダ、ちょっと髪の毛切れた……あれ?模造刀だよね……今度はタルゲリアの髪の毛……ゲ、マジで殺ってない?


 危ない!コリーダがよろけた。おっと、タルゲリアもバランス崩した!


 =ジャンジャンジャーンジャーーーン=


 あ、二人の動きが止まった。両方とも汗だらけで肩で息してる。


 =ピピピイーーコロロ、ピーーーコロロ=


 !ここでパンの葦笛だ。熱かった空気が急速に涼んでいく音色。


 独奏は5分以上続いた。


 ゆっくりコリーダ、膝をついた。タルゲリア近寄って首に剣を添える。ハイ!しゅうりょうーーーー。


 辺りからすごい歓声が上がる。


 さっきの詩に負けない演目になった。


 なんかタルゲリアも出し切った感が半端ない。色気を出してない時は健康的で好きなんだけどな。


 うちの二人も帰ってきた。褒めて褒めて感……満載である。


 「よくやった二人とも。すごくよかったぞ」


 「全部、アーシア様のおかげです。」

 俺のおかげ?


 「まったく、アタシ達のご主人様に色目を使うのは百年早いっての。」

 女性ふたりで頷きあう。


 ……それって怒りが実力以上を引き出したって意味かな?……


 広場中央からタルゲリアもやってきた。

 「久しぶりに全力で踊ったわ。次はこっちが演目指定するからね」


 そういうと投げキッスをして離れて行った……目標、俺ですか……


 「まだ狙ってる。」

 「注意しましょう。コリーダ」


 そんな会話をしていると後ろからクレイステネスさんが声をかけてきた。

 「おい、そのキトン売れたぞ。」

……はい?

 「いや目立てばプレミアつくとは思っていたが、三着で1タラントンで売れた。感謝しろ。」

 1タラントンて6000ドラクマですか。

 相場の倍ぐらいついたのか。

 「買い手は、今、拍子取ってたやつだ。追加であと2着も注文来たから、自分とヘタイラ用だろうな。残りの2着分だけでも今日の宴は大黒字だな。」


 ……クレイステネスさん抜け目ない。


 これがアルクメオン家当主の実力ですか……味方でよかった。


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般技能(知識・メイド)

一般知識(公衆衛生)

専門技能(薬学)ランクE

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクF

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクC

特殊技能(乗馬)ランクF

特殊技能(演劇)ランクD

特殊技能(服飾)ランクE

今回は変動なしです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ