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アテナイのアポロ神殿

すみません、アクロポリスまであと10kmの地点で足踏みです。

とはいえここで説明しないで突っ込むと年末のアメ横で人探しをするとか、大阪造幣局の花見でマラソンするくらい無謀なことになりますので一休みです。

ついでに背景も若干説明いれてみました。

 神官のダモン氏にこれまでのところを一通り説明した。

 もちろん魔術云々は伏せている。

 それを聞いた後でダモン氏は難しい顔で質問してきた。

 「それでどちらに行かれるのですか?」

 「アレティア巫女長からはアルクメオン家のクレイステネス殿、アイオス神官長からはケルソスネスのミルティアディス殿を訪れるように言われています」


 「あの二人ですか」

 一層難しい顔でダモン氏が考え込んだ。

 「両方を訪ねるのはまずいでしょうか?」

 「いやそういうわけではないのですが……」

 少し間を置くとダモンはゆっくりと話し出した。


 「問題は二人ともかなり老齢なのです」


 老齢?健康でも害しているのだろうか?

 そこで考えていると横からピュロスが小声でこっそり話しかけてきた。

 (アテナイでのベストカップルは老人と美少年です……)


 「あ!」


 思わず間抜けな声が出てしまった。

 その声を気にしなかったダモン氏の独白めいた言葉がつづく。

 「あの二人が張り合わないといいのですが……どちらも政治的に大物ですしね」


 横からピュロスが助け舟を出してくれた。

 「その点については大丈夫だと思います。我らの主人アーシア様はスパルタンです。市民権は、現在長老会で審議していますが、まもなく降りる見込みだとアレティア様はおっしゃってました」


 それを聞いたダモンはほっとした顔で言葉をつづけた。

 「そうですか、しかしお若いようにも見えますが?……ではともあれ、その2家の説明をしておきましょう。アルクメオン家のクレイステネス殿はアテネの民主政を確立した偉大な人物です。5年ほど前まで陶片追放オストラコンで追放されていましたが、現在はアテネに戻られています」


 ああ授業で聞いたことがある言葉がでてきた、王家ができるのを防いだ制度で、制度を作ったが追放されたやつだよね。僭主の可能性が高い人物を追放する制度だったはず。

 何でわざわざ陶片を投票用紙にしたのか?疑問がのこった覚えがある。


 「アルクメオン家はアテネ随一の富豪です。金銭的なことは彼の協力を得られれば解決できます」


 断言しちゃったよ。そんなにすごいのか。


 「ケルソスネスのミルティディアス殿はアテナイの軍事の要です。ペルシアがミレトスを陥落させ、ミレトスの反乱を支援したアテナイと、同盟国エルトリアに対してペルシアの軍勢が準備されている今では国内最重要人物の一人といっても過言ではありません」


 結構ぎりぎりな感じになってますね。


 「ちなみにアルクメオン家は親ペルシア派です。ですがペルシアとの戦争に負けた場合の講和要員として反ペルシア派も距離を置きつつ良好な関係を保っているので国内は比較的安定してます」


 ……大人の事情って結構ドロドロやね。


 「それよりも最大の問題は」

 そういいながらダモンは俺の顔をじっと見つめる。

 「アーシア殿が美形すぎます……二人の家に行く前に群がる市民に囲まれて動けなくなる可能性もありますよ」

 改めてそう言われると、心当たりがあって困る……一度は盗賊に捕まって襲われそうになったし。


 「ダモン様、市民の方々が相手では護衛の私も手を出すことができません。何かいい手はありませんか?」

 コリーダがまじめな顔でダモンに尋ねている。

 ピュロスもその横で一生懸命考えている。


 とはいえ、中心人物の二人はアクロポリスの中にいるらしい……


 ギリシャ人は人懐っこくて結構遠慮がない。関西のおばちゃんのグレードアップ版だ。

 それこそ市場アゴラとかにいったら取り囲まれて身動きが取れなくなるだろう。

 しかもその時周辺は全部「漢」、市民の女性は家の奥からでてこないから全部「漢」……泣きそう。


 「何か手を考えましょうか」

 そういうとダモンは棚から焼いた粘土板を取り出した。

 どうもカレンダーのようだ。

 「えーと明日の祭りは……」

 祭り?

 「ちょうどいいのがリムナイのゼウス神殿でありますね。豊穣の儀ですか・・・これに行くといけにえの山羊の焼き肉が食べれますよ」

 またタイミングがいいこと?


 「あとは明後日のテスモピリア祭ですか。これだと女性がたくさん出てきますので、なお収集がつかなくなりそうですね」


 明後日も祭??


 「アーシア様、アテナイは祭りが多いのです。年間の三分の一は祭りで埋まっています」


 ピュロスが小声で補足する。


 えー?そんなに祭りばっかりでいつ働いてるの?って働いてるのは奴隷だった……


 そんな俺らを気もとめずダモンが結論をだした。


 「明日のゼウスの豊穣祭にしましょう。たぶんあの二人も来るでしょうし、アポロからいけにえの山羊を献上する形にして、その山羊を引いていけば、通路を開けてくれるでしょう」


 おお、ナイスアイディア。


 「アーシア殿は、私の馬を貸しますので騎乗してください。コリーダはアポロ神殿の旗をもって先導してください。ピュロスは山羊を引いてアーシア殿についていってください」


 「騎乗ですか……」


 ちょっと不安だった。乗ったことがない。今までのパターンだと体が覚えてるとは思うんだが。


 ためらう俺にダモンがなにを勘違いしたのか


 「これは失礼しました。お貸ししたのでは自由に乗れませんね。では馬は差し上げましょう。たしか8歳の馬がいますのでご自由にお使い下さい」


 へ?


 「アーシア様 8歳ですとあと1.2年でつぶす馬です。遠慮なくいただいて良いかと」


 え?ピュロス。でも高いんでしょう。いいのかな?


 「いいんです。アーシア様ですから」


 はー、巫女ってそんなに地位高いのか。まあ今まで予言したうえで元気に旅する巫女なんていなかっただろうから仕方ないけど。


 「ではそうさせていただきます」

 そういうとダモンはすごくうれしそうな顔をした。


 「あ、あと1月後ぐらいにデルフォイ神殿から料理人が来ますのでここに立ち寄るかもしれません。」


 「ドロンですか?」


 ダモンは喜色満面で返事した。

 話を聞いたらダモンとドロンは友人らしい。ドロンもアテナイの市民権持ってるって言ってたしなー。


 「ドロンは引き継ぎでちょっと遅れてますが、アテナイにはしばらく滞在するはずです」

 そういうとダモンは一層喜んでいた。


 その夜は予想通り神殿の横の宿舎に止まったのだが、ダモンから明日の祭りの口上や作法を習うのので手一杯になった。


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般知識(公衆衛生)

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクF

特殊技能(薬草学)ランクD

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクD

特殊技能(魔術)ランクC

今回は変化ありません。

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