グラン(大)アテナイ
やーアテナイの実感がつかめなくて色々試行錯誤しました。
そのせいで間が空きましたすみません。
詳しくは活動報告で。
ともあれ、次回にはアクロポリスにたどり着くと思います。
しかし、のどかな風景である。
天気もいいし、暑くもない。
家々は数百メートルぐらいは間があいていて小さい。
まるでサイコロみたいだ。
畑もあるが今は麦の収穫が終わったせいか、ただの平地に見える。
なんとなく日本の農村の風景と通じるものがある。
たぶん市民とその奴隷の家だろう。たまに塀で囲まれたやや大きめの家に3・4軒の小さな家が固まって傍に建てている場所もある。
ちょっと気になるのは、そんな家は街道から離れた場所に立てていることだ。
街道から離れた丘の麓とか川の向こうとかに建てている。
なんか不便そうに思えるが、理由があるのだろうか?
先頭のコリーダは道なりに曲がって、アテナの神殿を避ける方向に進み始めた。
あれ?あの近くにアポロ神殿があるんじゃないんだ。
ただ進む方向のはるか先には、くすむように小さな岩山が見えた。
よーく見るとその岩山に白い点らしいものが見える・・・まさか・・・
「ピュロス、行き先はあの岩山とは言わないよな?」
横のピュロスに聞いてみる。
「アーシア様、あそこまでは200スタディア(36km)以上あります。二日ほどかけるのが一般的です。急げばなんとかなりますが、宿はそこまで遠くありません。」
やっぱそうか。だとすると、この先の平地のどこかにアポロ神殿はあるらしい。
「あの岩山がアテナイのポリスなのか?」
たぶんそうだろうと思いながら確認してみる。
その質問にピュロスが変な顔をした。
「あのアーシア様、ここもアテナイのポリスなのですが・・・」
え、この農村風景がポリス?
そういえば、さっき高さ2m位の土壁すぎたけど、まさかあの塀がポリスの塀?
いやありえないでしょ、だって厚さ30cmくらいしかなかったよ。
だいたいアクロポリスはどこよ。まったく見えないでしょ。あの巨大な神殿はどこよ!
???まさか……あの岩山……こっちから見えるということは、理論的にはあっちからも見える範囲ということだよな。
「ピュロス、まさかとは思うが、あの岩山がアクロポリスなのか?」
「はい、あそこがアクロポリスです。頂上の白い建物は青髭の神殿ですね」
しれっといわれた。
そのあとピュロスと歩きながら話した内容をまとめると、とんでもないことが分かった。
アテナイのポリスの大きさは、およそ60km~80kmの楕円形に近い形をしており、その中に住宅地が約40平方kmほどある。
その中心のアクロポリスのみが周囲5~6kmの城壁で囲まれ、高さ150mの岩山の上にそびえたっている。
ポリスの中では市民は12万人(内市民権所有者3万人他は家族)、半自由民3万人、奴隷8万人が暮らしている。
数字ばっかりでピンとこないと思う。
日本を例にしてみよう。
ポリスの面積は東京都と神奈川県を足した感じ。
住宅地のみでも千代田区、中央区港区。この3つの区の面積に近い。
別な例でいうと池袋のある豊島区と新宿区を足したくらいだ。
そして中心地アクロポリス、これが偶然、皇居とほぼ同じ大きさ。
人口は日本では東京都と神奈川県を足すと2300万人弱、アテナイは23万人つまり人口密度は100分の1。
中心地はものすごい密集しているらしいがポリスの周辺地は農村そのものの風景になっているわけだ。
アテナイなめてたわ。
広い、でかい、そして田舎。
これなら野外のどこでもトイレにできる。ようやく納得した。
ついでにいうと、このあたりの土は欧州らしく黒くてぱさぱさしているが、デルフォイよりはましな感じがする。たぶん他の地域より若干は農業収穫は多いと思う。
ただ休耕地が多く1回作ったら2~3年は休ませるので実質稼働が25%から30%、つまり休んでいる農地の方が圧倒的に多い。
何もない草地が多いせいで余計にだだっ広く感じる。
「そういえばアテナイとスパルタって今は仲いいのかな?」
風景をみながら呟いた。いやデルフォイのちんまりした感じを思い出して、懐かしんでたら、連想的に巫女長と神官長の関係を思い出して、ポリス間の友好度に気づいたんだけど、悪かったらドーリア人ってこと隠さないとまずい気がしただけである。
「たぶん大丈夫だと思います。20年ほど前に戦争してますが、それ以降は戦争してませんから」
……20年前ってそ大丈夫なの?
「前の戦争には私も関係あるんですよ。生まれる前ですけど」
なにをいってるのかな?ピュロスさん。
「持ち主なので話しておきますが、口外無用です」
紀元前510年、弟を暗殺されたアテナイの僭主ヒッピアスは他者への不信から恐怖政によってアテナイを支配していた。
その頃デルフォイで偉大な巫女が3度目の神託に成功していた。
その巫女が当時から巫女の長として巫女のまとめ役だったアレティアである。
神託の内容は「スパルタはアテナイの僭主を滅ぼすべし」だった。
スパルタはデルフォイの神託を絶対視して動き出す。
すぐにアテナイは陥落し、ヒッピアスはペルシアに追放になった。
その後アテナイに民主制が戻り政治が安定するまで12年かかったが、再建したアテナイよりアレティア巫女長へ感謝のしるしとして当時10歳のピュロスの奴隷に教育をして献上することになる。
5年間天文学他を学ばせたのちに15才でデルフォイに献上……以降ピュロスと呼ばれる。
「ということで3年前にデルフォイに行ったのですが、親からはすでに種付け前にデルフォイのアレティア様に行くことがわかっていたと聞かされました」
「それって?」
「ええ、神託の時にはすでに私がデルフォイに行く話になっていたということです。」
……クロイ話
「でもアレティナ様は仕えてわかったのですが、報酬で動いたのではないと思います」
お、ちょっと救われた気分。
「あの戦争ではスパルタはアテナイ僭主からの略奪で潤い、アテナイ市民は恐怖政から脱出し、アレティア様はデルフォイの巫女長をポリス間で通用する地位に認知させました。神託の権威も高まりました。結局だれも損をしない幸福な結末になっています。アレティア様はそれを目指して神託をされたのだと思います」
……なんか微妙……神託を操作したってことなのかな?……まあわかるけど……
「ご主人さま、なにむずかしい顔してるんですか?アポロ神殿が見えてきましたよ」
コリーダの指さした方向に月桂樹が塀代わりに列を作って植えられている。
その中央に石柱で屋根を支えた小さな神殿が見えてきた。横には10坪くらいの大きめのサイコロ屋敷が見える。たぶんあそこが今夜の寝床だ。
神官らしい人も見えるが普通にキトンだ。でもこちらに気づいたらしく手を振っている。
神官長みたいな威厳もないし……あれだ、神社の祭りで順番で神主になった氏子という感じが一番近い。実際にそのままなのだが。
「デルフォイの巫女、アーシア様ですか。私はこの神殿の神官をしてますカラメイコスのダモンといいます。来年は順番で変わるので、任期中に巫女様を迎えられて光栄です」
丁寧にコリーダに挨拶してる……そうだよな巫女って女だと思うよな。
コリーダが慌てて説明を始めた。びっくり顔でダモンがこっちを見てる。また詳しい説明することになるのか、はー。
=アーシアのスキル一覧表=
汎用知識(ギリシャ地域)
一般技能(鑑定)
一般知識(公衆衛生)
特殊技能(尋問)ランクD
特殊技能(神学)ランクF
特殊技能(神聖文字)ランクF
特殊技能(法学)ランクF
特殊技能(料理)ランクD
特殊技能(詐欺)ランクF
特殊技能(薬草学)ランクD
特殊技能(弁論)ランクF
特殊技能(取引)ランクD
特殊技能(魔術)ランクC
今回は変化ありません。




