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589ナノメートル

ようやくあと一話、第1章完結目前。

なんとか主人公が追い詰められ始めました。

ただチート能力って怖いです。まじで両刃の剣です。

 「やっぱりあったのか」

 マギ、賢者の技、魔術、魔法、なんでもいいが知らない知識だ。

 俺がここにいる原因になりそうな単語である。

 詳しい中身を知りたいと思う。


 ただ周りはいつの間にか日が沈み暗くなっている。

 古代ギリシャでは昼は12分割して名前を付けていたが、夜は「夜」でひとくくりにされている。つまり寝る時間なのである。

 治安だっていいわけではない。


 しかし、マギの内容を詳しく知りたいという欲求が激しく突きあがる。

 「コリーダ、宝物庫に行くぞ。」

 横の床で休んでいたコリーダに声かけると一挙動で部屋を飛び出す。

 後ろから慌てた足音が聞こえてくる。


 クニドスの館を飛び出す直前に横から声がかけられた。

 「夜は危険です。護衛を増やしますので少々お待ちください。」

 その声とともに暗闇から現れたのは赤毛の女性、ピュロスだ。

 ……かなり、びっくりした。大体、どうやって飛び出したのを知ったんだ。


 「なにか、わかりましたか?アーシア様。」

 冷徹なジトメでこちらを見てくるピュロス。相変わらずポーカーフェイスとは無縁のわかりやすさだ。すごい警戒してるのがわかる。


 「なぜ出かけるのがわかったの?」

 「あれだけ叫べば館中に聞こえます」

 呆れた顔で返される。


 「私は人の出入りを監視するため、扉に一番近い部屋をもらっています。そこです」

 指さす先を見ると、扉が開きっぱなしの部屋というか・・・扉がない部屋があった。

 中には布が一枚敷いてあるだけみたいだ。

 俺の目線に気づいたのだろう。

 「奴隷は物の所有は認められていませんので・・・」

 あくまでも所有者の所有品を借りるという形式らしいので他の奴隷と持ち物が大きく変わるということではないらしい。


 「今、警備の人間を呼んでいますが、われわれが粘土板を持ってくるではいけないでしょうか?」

 治安の話を聞くと、大体昼間のスラム街くらいのイメージをもった。

 ちょっと気を抜くとスリや強盗にあうくらいみたいの危険度らしい。

 結構ヤバめであるが

 「ほしい板の章をいってもわからないだろう?」

 「ほしい章ですか?」

 「現場で見て確認しながら選びたいんだ」

 この短時間で、なんで欲しい部分があるのか、すごく疑問そうだが、解読の推論を試してみたいのでたくさんの板を見る必要があるんだ。


 「わかりました」

 コリーダのほかに聖域の出入りの警備兵4名とピュロスで計6人がついてくれた。

 粘土板を持って帰ることを考えるとありがたい。

 松明と油皿をもって移動開始だ。

 警備兵は槍、コリーダは抜身の剣を持っての護衛だ。

 さすがに誰も近づいてこない……よね?


 約15分、北端のクニドスの館から神殿の南の塀沿いにある宝物庫までの所要時間だ。

 宝物庫の前の衛兵に話して中に入ったときは、ほっとして膝をつきそうになった。

 たぶん大丈夫と分かっていても、明かり一つない街は影や暗闇の山だった。

 実際どこかに潜まれていてもわからなかっただろう。

 いつの間にか、がちがちに緊張していた。

 昼間の街と暗い街がこんなに違うとは思わなかった。日本人の常識ってどこかにおいておかないと死ぬかもしれない。


 ともあれ無事着いたからには粘土板である。

 章と詩の番号が最初についていたが、これって決定詞じゃないだろうか?

 そう思ったのである。その方向に沿って読んでいけばマギが書かれている・・・そんな気がする。

 第1章の2は昼間に見ていた。


 「神の木の杖の真ん中に手を置く

 波動で私は唇も足の先も冷や汗で濡れてくる。

 畏敬と動揺で袖が震えている状態の時,

 光輝く神の霊が近くに着座する 」


 これを上から下の列を右から左に読み上げる。


 「神なるアトンの子たるファラオ、この世の空虚なるを知り、微小の狭間を揺らめく力を操り思う方向に動かすを知れ、実の力と虚の力を併せ持ち、万物の根源の16の箱を組み立て導く、小は塩の形から大は風の流れまで同じ式を用いる」


 うん?読み方はビンゴな気がするけど、中身が予想と違った。

 魔力とかマナとか一つも出てこない。 ほんとに魔法に関係するんだろうか?



 第1章の3は上から下の列を左から右である。


 原文は

 「寝わらが渦巻きで転覆される時

 それは表面を覆い隠し密かに準備する。

 新しい人間の社会の皆を憤慨させる。

 その時、白き人も赤き人も発送される事を想像する 」


 全く意味がない文だが同じ手法で暗号を解いていくと

 「すべての安定状態は繰り返す事象をもって記述される。それは、通常二つの乗式の定数を変えることによって無限の模様を生み出す。上ナイルの人は下ナイルで制御された混沌を考えだし、制御せよ」


 これって……もしかして


 第1章の4は上から下の列を一つおきに右から左に読んでみる。

 原文は「世界中の人々は独りの君主と言う事実の基にある

 平和と活気は長い間 無くなる

 その時人々はいつ層悪く告げ口をする小舟でお互いを失い道に迷う

 おういなる損害を徴収される 。」


 訳してみると

 「世界はすべて16の庭、11の小舟、5つの流れ、相互に絡み合い現世を生み出す。覆す代償は流れと大船である」



 間違いない。混沌カオス理論に基づくフラクタル次元の表記と統一場理論に基づく素粒子概念だ……


 確かに理解できればすごいんだろうけど……ファラオって天才ぞろいなのか?

 凡人の俺には 無理だと思う。


 というかこんなオーバーテクノロジーどっから持ってきたんだろ。

 やっぱり俺と同じに未来から引っ張られた人がファラオになったのか?

 可能性としてはあるけど……何のために残したんだろう?


 3枚も粘土板を呟きながら読み上げていたせいで、コリーダが不気味なものを見る目でこっちを見ている。

 まあ、気持はわかるけどどうしたもんかな。


 松明があるとはいっても暗いし、よけい不気味に見えるだろうな、せめて明るければ……そう思ったときに、ほとんど無意識に周りの空間を把握していた。

 素粒子の狭間の揺らぎを制御して、代償に汗の塩の結晶を消して可視領域の波動を作っていた。


 (クエスト:魔術発動 特殊技能(魔術)ランクCに昇格します。)


 周りがトンネルのようなオレンジ色で満たされる。これって?


 「最大警戒!!みんなアーシア様を守って!!」


 コリーダの声が響くと俺の周りに警備兵とコリーダが集まって周囲を警戒を始めた。


 「て、天井が・・・」


 警備兵の呟きに上を向くと、ドロドロのガラス状に溶けた天井が見えた。それがオレンジに光っていた。やばい……制御の方法がわかんない……


 幸いにも、すぐに光は消えて、熱波が襲ってきた。


 「アーシア様、一旦聖域へ戻りましょう」


 コリーダが呆然としている俺の腕を引っ張ってくれる。

 なすがままに引っ張られていく。


 どうやって魔術を発動したかもわからないが……制御方法はもっとわからない。


 急いで「諸世紀」全文読まないと、制御もたぶん書いてあるはず……というか、なんだよこれ。


 なにをしでかしたの?


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般知識(公衆衛生)

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクF

特殊技能(薬草学)ランクE

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクC

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