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世界一の本

ドグマグはいまだに悩んでいます。読み終えたいのに終わりません。

あの時計の音は見事なロジックだと思います。

羽川さんの能力って猫物語以上にこの話の方が底知れなさが伝わってくるのは私だけでしょうか。

終物語アニメ化楽しみです。

 夢野久作先生の代表作である「ドグラマグラ」を、読み終えたことのある人は何人いるのだろうか。

 少なくとも羽川翼女史以外に読み終えたことがあるといった人を俺は知らない。

 いや正確には彼女はあらすじが言えるといっているのだが・・・そんな恐ろしいこと想像もできない。


 東山優馬は趣味の欄に「読書」と書く人間だった。とりあえず紙が綴じてあれば本とみなし読める、

 そんな無意味な自信すらあった。

 そしてドグラマグラに戦いを挑み、なんと絶賛格闘中をまだ維持していた。

 この意味はあの本を読んだことがある人にはわかってもらえると思う。


 「ネバーギブアップ」これが座右の銘である。


 マキャベリ理解の時には「君主論」だけではなく「ディスコルシ」も2年かけて読んだ。

 この本を理解するために読んだ参考図書は両手にあまる。


 いや自慢ではなく、そんな本好きが今まさに「諸世紀」に負けようとしている。


 「粘土板……重すぎです」


 2000の詩があると推定されるが、焼き上げても一枚3kg程度の粘土板。

 大きさは45cm×45cm×3cmくらい。

 椅子の前面と同じ大きさ、同じ文字の大きさを忠実に再現。


 結果、6トンの本……


 物理的に圧殺される可能性がある。


 困ったことに椅子の配置通りに置いてあったわけではないので、100枚づつの組も作るところから始める必要があった。





 諸世紀をアレティア巫女長から翻訳を頼まれたのは、儀式のあとの午後二時エレテだった。

 諸世紀の文面そのものは粘土板に写し取り、クニドスの宝物庫に置いてあるということで、それを聖域に運び込んでもらおうとしたら問題が発覚。


 2000枚もあるんで床に積み上げられた結果、もはや原文のどの位置かわからない状態になっていた。


 幸いというか詩の前文で第何章の第何篇とは書いてあるのだが……数字の代わりにひらがなを代用している感じで発音の文字が数字にも割り振られている。


 わかりやすく言うと

 あ=1

 い=2

 う=3

 ・・・

 け=9

 こ=10

 さ=100


 みたいなかんじで


 ”けさかこえ=964、という感じで書いてあるから「”」を注意しないと間違う。その上「’」もあるから余計に「今朝囲え」と区別がつかない。


 結局、俺が読んで何章のいくつかを調べないといけない。


 もうこっちで作業した方が早いということで、俺が宝物庫に移動して整理整頓しながら、翻訳することが決定。


 パピルスにギリシャ語で翻訳を書いた後で原文の位置を確認。ということになった。


 ただ……重い。


 1ページ、3kgの本。


 文面を読みあげて、それをピュロスが口述筆記の形で、パピルスに書いてもらう形になった。

 秘密保持のため倉庫の中にはピュロスと俺だけ、コリーダ達は周囲の人払いと警戒にまわっている。


 粘土板を拭いて埃をとり、読み上げ、決めた場所に移動させて、次を拭く。

 この繰り返し……拷問のようだ、始める前から想像がついてしまった。


おまけに線文字Bっていうやつは漢字の羅列でひらがな+数字にしてるようなもので日本語でいうと万葉仮名みたいなものだから、すごく読みにくい。


いい加減、気が狂いそうになってくる、というわけで冒頭につながる。




 「とりあえず今日は粘土板の置き場取りをしよう」


 倉庫の中を片づけて、置き場を作りながらの発言である。


 「そうですね」


 一緒に倉庫をかたずけているピュロスが相づちをうつ。


 「出来れば章ごとに置くかな?何枚ぐらい重ねられる?」


 ピュロスに、何気なく当たり前のことを聞いたつもりだった。


 「わかりません」


 「……」


 そりゃそうか、素焼きの板を何枚重ねられるか、なんてわかるわけないよな。


 現状では40~50枚が重ねてあったが、下になった粘土板では角や文字の欠け・割れがみえた。

重すぎるということなんだろう。


 となると10枚くらいか?


 ベストは重ねないことだが、45m×90mの広さがいるのか……絶対無理、クニドスの宝物庫の床が10m×15mしかない。


 つまり、現状程度は重ねないと他の宝物の置き場がない。イコール、読んでいて倒れて来たら命が危ない。

 現状で1m50cm前後の高さで積んであるのだ。

 床に置いて読んでるときに地震があれば崩れて死ねる自信がある。


 まずはここからか。


 ……まずくないかな……でも命には代えられない……


 「ピュロス、いったん聖域に戻るぞ」


 そういうと必要そうなものを頭に浮かべる。


 ワインの澱、炭、オリーブオイル、あとは刷毛と滑りのよさそうな皮……紙はパピルスでいけるか?無理なら亜麻か綿からら漉くとするか。


 だいぶ、時代を無視することになるが転写の要領で写し取らせてもらおう。


 グーテンベルグの出現が早くならないといいが。


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般知識(公衆衛生)

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクF

特殊技能(薬草学)ランクE

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクE

今回も変動なしです。

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