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諸世紀

「諸世紀」については、この後もうひとひねり入れますので、万が一ファンの方いても石を投げないでください。

というのは冗談として、ようやく第1章の終わりが見えてきました。


 =山の端に赤く、夕日が沈んでいく。================

 =小学校の校庭にひっそりとたたずむトーテムポールが3本。=====

 =何だろうと思って後ろを見たら昭和90年卒業記念と書いてあった。=

 =唖然として固まる少年======================


 そんな心象風景がぴったりくる。


 結局、言いたいのは、(なにこれーー!!)


 「どうかしましたか、アーシア?」


 アレティア巫女長が心配気に尋ねてきた。俺の異常に気が付いたらしい。


 「アレティア様、俺、この影の正体がわかります。」


 アレティア様の顔が真剣になる。


 「内容はここでは話さないでください。」


 そう注意すると手元の円鏡を袋にしまう。今まで広がっていた劇場一杯の文書が消えさる、まるで手品のようだ。


 (ああ、プラネタリウムみたいなんだ。)


 最近のプラネタリウムは星座の話の前に全天に映画を流すことが多い。

星座の話に移る前の切り替え、その感じと似ていたのだが・・・この時の俺にはまだ、それが何を予感しているのか分からなかった。


 いつの間にかコリーダが横にきて護衛に入っている。

 思ったよりぼーっとしていたらしい。

 コリーダのほかにも3人の護衛がついて、聖域に引き戻されている。

 ものすごく現実感がない。


 コリドスの館につくと、まっすぐに巫女長の部屋に向かった。

 廊下を歩いている間も、館全体がざわつき、厳戒態勢の下にあることをひしひしと感じる。


 部屋に入るとクッションを勧められ、入れてもらったサフランティーで一息入れる。

 落ち着いて考えてみると、あの文書は謎ではあるが、自分がここにいるよりは不思議ではない。

 自分と同じように、ミノア文明に行った人物が作った(理由は不明だが)という可能性もある。

 そう考えると、だいぶ落ち着いてきた。


 「アーシア、そろそろ尋ねても大丈夫でしょうか?」

 お茶のお代わりを飲み終えたころに声をかけてきた。


 「はい、アレティア様」


 そうしてあの影の正体について、感じたままの話をする。

 まず文字がミノア後期の文字であり表音文字で記されているがギリシャ語であること。

 次にその内容は自分がいた国では今から2000年後の出来事を詩の形にしたもので、独特の表現と意味の使いまわしにより、書いた人物ノストラダムスは意図して500年後の世界を予言したと勘違いされた文書であること。

 特に有名なのが1999年 7月で人類は滅亡すると解読された詩であること。

 その詩を見て、あの文書がノストラダムスの「諸世紀」と日本では呼ばれた文書であると判断できたこと。


 それらをただ思いつくままに、アレティア巫女長に告げた。

こんなにうまくまとめて話せたわけではなく、あちこち冗長で繰り返しが多い説明ではあったが、説明が終わるまでアレティア巫女長はじっと黙って聞いていた。


 「結局、この詩集を予言として解釈したのは出鱈目で、一人の作家にうまくフィクションを作り上げられたってのが事実です。実際に人類滅亡の予言の詩も外れましたし。」


締めのつもりで俺がそう告げた、その言葉を聞いてアレティア巫女長が尋ねてきた。


 「題を諸世紀といいましたか?」

 「ええ、本来は誤訳で「百詩選集」とでも、訳すべき題だったそうですが。」


その言葉にアレティア巫女長の顔に怪訝な表情が浮かんだ?


 「・・・いえ、あの文書は諸世紀です。」


 は?


 「あの文書は「諸世紀」という題で巫女に語り継がれてきた文書です。」


 はい?


 「アポロンの神託により、あの円形劇場を作り上げた最初の巫女より「諸世紀」という題が伝わっています。」


 えーと・・・なに?


 「アポロンは予言の神。ここに世界の行く末が隠されている。100の年を世紀といい、人の消えるまでを諸世紀という。黄金鏡を見つけた巫女が言った予言です。」


 ポセイドンの神殿からアポロン神殿になったのは、黄金鏡が出土し、それを見た巫女がそういったかららしい。

 もちろんそんなことは気にも留めず鏡から金を取ろうとした男たちはいたが、近づくやいなや、全員その場で苦しんで死んだらしい。


 (あー、発掘直後の火山性ガスか石油の蒸気にでもやられたのかな?)


 アポロンは疫病の神でもあることから怒りに触れて殺されたと考えられ、その怒りを鎮めるために、あの鏡を太陽アポロンとし、鏡を中心に円形劇場が供された。


(劇場の飾りの鏡でなくて、鏡の飾りが円形劇場なのか。はんぱないな。)


 その際に太陽アポロンの光を当たると文字が浮かぶことがわかり、席の位置をそれに合わせて作った。

 席の数は20列×100列で2000席。


(まさか、1年1席じゃないよな?)


 「ということで、中身に人類滅亡が含まれているのは、非常に気になるのですが……」

 アレティア巫女長はそう締めくくった。


 確かにこの世界が前の世界と同一なんて保証は全くない……ちょっと考えてみる必要があるかもしれない。


 「あの文書自体はすべて粘土板に写しを刻み、焼き上げてあります。クニドスの宝物庫に行けば積み上げてありますので、見たければ運び込ませます。」


 「それはもちろん、お願いします。」


 俺の言葉にアレティア巫女長はうなずくと遠くを見るように呟いた。


 「しかし人間はあと2千年も保つのですか。広めるべきかどうか悩みますね。」


 2千年も保つ?そういう考えもあるのか……たしかに今の世代には関係ないわな。


=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般知識(公衆衛生)

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクD

特殊技能(詐欺)ランクF

特殊技能(薬草学)ランクE

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクE

今回は変動なしです。

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