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ハリネズミ?雲丹?木の実?

この時代まだ栗はヨーロッパに入ってません。小アジア、バルカン半島原産なのですぐにでも来そうなものですが意外でした。

ヨーロッパで栗が食用に生産されたのは古代ローマからでした。

あと、このころからタコはアテネでも食べられていました。

タロスの市場は。幅15m長さ30mほどの、2列の円柱に囲まれた、石造りのテントというイメージがぴったりくる。

テントというには装飾や彫刻が立派かもしれないが、約250畳の石畳のあちこちで100近い商店が様々なものを売っていた。

それぞれの店は1.8m×1.8mの絨毯(100枚並べると1スタディウム=約180mになるらしい)に商品を並べているが絨毯を複数枚使っている大きな店もある。

日本人から見ると2畳のシートの上に商品を並べて売る、フリマをイメージするとわかりやすい。

フリマと同じように絨毯の借り代ということでコマ代を収めるようになっていた。


店は通路と決められた部分に、絨毯がはみ出すことのないように注意して配置されている。おかげで遠くまで見やすい。

主なものは食料品、神殿への供物、衣服、杖、壺、食器等だが、一部土産用なのか彫刻や金属のメダルもあった。


「結構いろんなものがあるんだねー」

「ここは、この地方でも最も大きな市場ですので、ほとんどのものが揃います」

一緒にきているコリーダが説明してくれた。

「あ、タコだ。タコ食べるの?」

「ここは海が近いですので、漁師は切り身を好んで食べるようです」

「生で?」

「それ以外にどのような食べ方をするんですか?」


どうやら茹タコがないらしい。

考えてみると西洋料理って、魚介は煮るとスープストックになりがちだよな。

煮て旨みが流れたタコよりは生の方がおいしいか。


「あれを調理してみるか」


コリーダから1ドラクマを渡された。

神官長の夕食用にタコを買う。

漁師のおばちゃんが出していた店だが、近海で取れる魚の話を聞きながら買い物をするのは楽しかった。

タコは2匹で1オボロスだったが、いろいろ小魚をおまけに付けてくれた。

タコや魚を草で編んだ籠に入れコリーダに持たせた。

(クエスト:金銭取引を行う・・・完了。特殊技能(取引)ランクEに昇格します)

次に野菜を売っている店で、ポロネギを買ったところで、ちょっと気になる客のいない商店を見つけた。


「これは……」

 「これはこれは神殿の方ですか。いかがでしょう、この木の実。ウニじゃないんですよ。木の実なんです。」

 若い商人が必至で売り込んでくる。

 そう、そこにあったのは栗である。


 「何ですかその針鼠のようなものは?」

 コリーダは栗を見たことがなかったらしい。

 「これは栗という木の実で小アジア一帯では普通に食べられている木の実ですよ。」

 商人は笑顔で回りに響くように大声で説明をした。

 「どうやって?」

 商人は毬栗をサンダルで踏みつけ毬を割り、中から栗を取り出した。

 「この茶色の木の実を焼いて食べるんですよ。」


 コリーダはその様子に嫌悪感を覚えたらしい。

 小さな声でぼそぼそと呟いている。

 「食物を足で踏みつけて・・・まるで針鼠から胎児でも、取り出すようにして出した実を、焼いて食べる……正気とは思えません。」


 あー、第一印象がそれだとダメかも……

 とりあえず昼食に向かおうと、そこを離れようとした俺の耳に商人の呟く声が聞こえた。


 「やっぱダメか……苗木も持ってきたんだがこりゃ売れそうにないな」


 ……苗木


 「コリーダ、あの木の実はギリシャにはないのか?」

 「聞いたことがありません」


 この時代のギリシャには栗が存在しないのか。

 栗……クリ、くり、たしか、縄文時代の主食は栗で品種改良がおこなわれていた、ってニュースで見たような気がする。


 えーと、なにか作れないかな?


 その場でクルリと後ろを向くと

 「そこの商人、栗を売ってやろうか?」

 「は?」

 「神官長との昼食があるので、その後でよかったら売ってやろう。」

 「へ?」

 理解できないという表情だ。まあそうだろう。


 「その代わりに苗木を分けてくれ」

 「いったい。あんたは誰なんだ?」

 「私?私はアーシア。アポロ神殿の巫女だ。君は?」

 「巫女?あの噂のドーリア人?……失礼しました。キュロスのメデスといいます。」

 アポロ神殿の名前が出た瞬間に態度が改まった。

 普通のポリスならそんな権威を神殿が持つことはないんだけど、さすがにデルフォイのアポロ神殿は別格らしい。

 しかし昨日の今日で、もう知られてるのか。まあ神殿の中だしな。

 

 「ではメデス。またあとでな。午後一時スポンデ前には来る」

 「お待ちしてます。アーシア様」


 商店から離れぎわにコリーダが尋ねてきた。

 「アーシア様、もしかして、あの木の実っておいしいんですか?」

 「うん、うまい。焼いただけでもおいしいが、茹でて、すりつぶして蜂蜜を混ぜたりするともっとおいしい」

まあ栗きんとんだしね。


それを聞いた瞬間にコリーダの表情が真剣になった。

「帰りに栗を入手しますので、料理法を教えてください」


 もともと、そのつもりだったし問題はないんだが……栗への評価、手のひら返しだね。まあいいんだけど。


 神官長との待合場所へ、コリーダに案内してもらうと、そこにはアイオス神官長のほかに、20才台後半と思しき神官が一緒にいた。


 ん? あの人って神殿で俺をじっと見つめていた人じゃないか?


 「アーシア様、アイオス様はプトレモス様をお連れになっているようです」


 え、コリーダ。いまプトレモスって言った?ピュロスが言ってた神官長の恋人!

 つまりカップルでデートしてるところにお呼ばれしたのね。一体何の用だろう?



=アーシアのスキル一覧表=

汎用知識(ギリシャ地域)

一般技能(鑑定)

一般知識(公衆衛生)

特殊技能(尋問)ランクD

特殊技能(神学)ランクF

特殊技能(神聖文字)ランクF

特殊技能(法学)ランクF

特殊技能(料理)ランクE

特殊技能(詐欺)ランクF

特殊技能(薬草学)ランクE

特殊技能(弁論)ランクF

特殊技能(取引)ランクE

特殊技能(魔術)ランクF

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