アレティアの意味
今回、長いです。
くどいです。すみません。
文章がうまくなりたい。
圧倒的な上に壮大なトイレの消去理由に呆然と打ちのめされていた。
誰がここまでヘビーな理由があると思う!
知りたくなかった。
(いったん戻すわ)
その声とともに部屋の風景が戻ってきた。
めまいがひどく、天井がぐるぐる回ってる。
天井?
いつの間にか倒れていたのか……だからクッションに
アレティア、最初からそのつもりだったんだな。
「いったんこの薬を飲んで、前の薬を抜くわ」
青汁にしか見えない緑色の液体を入れた椀と、洗面器位の大きさの桶が目の前に差し出された。
三半規管グルグル、立てねー、気持ち悪い、これ二日酔いの比じゃねえ。
ふら付く体をむりやり横に向け、これから逃げたい一心で青汁を飲み込む。
香り・・・意外にいい?・・・柑橘系とミントが効いている。
味・・・多少青臭いがまあ青汁よりは飲みやすい。
ただし胃に着いた瞬間にものすごい嘔吐感がやってきた。
=嘔吐リバース=
桶に顔を突っ込み、ゲロゲロとしながら、昼前でよかったと思う。
というかそれも計算ずくなんだろう。
吐いた後特有の、光の粒が視界をふよふよ漂う。
薬を抜くとか言ってただけに、さっきのめまいやふらつきは消えている。
口をゆすぐ水を差し出されたので、口をゆすぐと桶に吐き出した。
すると腰まであるプラチナブロンドの少女がどこからか来て、その桶をもって部屋を出て行った。
誰?どこか見覚えがあるんだけど思い出せない。
少女が部屋を出て行って、すぐにアレティナ巫女長が入ってきた。
ああそういえば、この部屋に一人になっていたんだと思う間もなく、巫女長の手元の器具に目が吸い付けられる。
「また、ああなるんですか?」
すごい苦い顔で言ったんだろうとは思うが、巫女長はすごくいい笑顔で答えてくれた。
「少しはなるけど、さっきよりはましになるから大丈夫」
明らかにほんとのことしか言ってない。それはわかる、わかるのだが・・・
「もう少し楽な方法ありません?」
「ありません!」
あれ、なにか違和感がある、あれだ!別の方法もあるけど今回はこの方法しかないみたいな……うーん、何だろう。
まあ気のせいか。
「よし、次、行きましょう」
腹の底に力を込め、巫女長をじっと見る。
「決めるの早いのね」
「いやなことから済ませた方が後が良くなるっていう人生経験からです」
まあ親父の口癖だが……
「そう、いいお父上を持ったわね」
え、心、読まれた?
「読心術はできないわ、私も人生経験からわかるだけ。」
そっちの方が怖いよ。
「さあ、始めましょう」
そういうと巫女長は、さっきのように灯芯に火を入れた。
「今度は250年前からスパルタを見てもらいます。ここの巫女のほとんどがスパルタ出身なのは話したわね。その原因のリュクルゴス制がどうしてできたのか。そして私の血も……見てきなさい」
私の血?どういう意味だろう。
白い煙が立ち上がった。迷わず吸い込む。
また視界が一変した。
そこは死体のありふれた戦場だった。死体のほとんどは餓死寸前にやせ細っている。
血まみれで勝利の雄たけびを上げているのがスパルタ兵だろうと思う。
(230年前の第1次メッセニア戦争です。20年にわたる戦争の結果、この勝利でスパルタは自国の10倍以上の人口を奴隷として抱え込むことになってしまったの。この後のスパルタを見て。)
凱旋した兵士はメッセニアから略奪した物資と奴隷を連れ悠々とスパルタに戻った。
この後がまずかった。二人の王の資質が違いすぎたのだ。
アギス家のポリデュロスは、奴隷に対してすら粗暴な振る舞いをせず理知的に話し、裁判にあたっては公正な王であったために民衆からの人気も高かった。
歴代王の中でも随一と評価される賢王である。
一方のエウリュポン家のテオポンポス王は特に劣った訳でもなく、特に優れているわけでもない、きわめて凡庸な王だった。
しかも第一次メッセニア戦争の第二次会戦で右翼を率いたが敗走し、ポリデュロス率いる左翼のみで戦線を維持して、引き分けに持ち込むという戦歴があり、常にポリデュロスよりも下に見られた。
(ちょっとだけ時間を巻き戻すわ、戦争の初期のスパルタを見て)
この頃のスパルタは町全体が重苦しく静かであった。
新生児の出生がほぼ零になったのである。
理由は簡単で生殖可能な市民男性のすべてが、メッセニア戦線に向かい1年以上帰ってこないからである。
特に、戦争開始から6~10年目は負けに負け続け、ラケダイモン兵士の帰還などという贅沢は不可能な状態であった。
そして、来るべき兵士の不足を懸念した長老たちがある決断をした。
それはラケダイモンの女性を半自由民の男性に嫁がせるということである。
もちろん嫁がせるぺリオイコイは戦役で活躍した兵士であることが条件ではあるが、生まれた子供をラダケイモンとして扱うことで兵士を補充したのだ。
後々大きな問題を発生することはわかっていたが国家の存続が最優先された。
女たちに選択の自由は存在しなかった。
結果として、それがなければ20年もの長期の戦争を支えることはできなかった。長老会はこの英断により権威が高まった。
そして第二次会戦の左翼の敗走である。
長老会はエウリュポン家のアレティア王女に対しぺリオイコイの配偶者との結婚を命じた。
双王は平等ということから王に対しての処分ができないために、王家の姫が犠牲になった形である。
そして以後、この家系から生まれた女性はアレティナの名を持ち他の王族とは一線を画されることになる。
(ここで生まれた第2王女が私の先祖になるわ……祖母までは王族扱いしてもらえたの)
風景が一変する。
第一次メッセナ戦争終了後のスパルタは今まで双王と長老でできていた権力の鼎状態が崩壊していた。ポリデュロス王、長老会、テオポンポス王の順で序列が発生していたのだ。
このまま行けば王家と大公家のようにある意味制度が進歩するかもしれなかったが、そうはならなかった。
テオポンポス王と戦争での褒章に不満のある帰還兵が結びついたのである。
それは帰還兵のかかわる裁判で特に露骨にわかった。
ポリデュロス王の場合は判例に基づくもので公正といえたが、テオポンポス王の場合は帰還兵に有利な裁定がでるのだ。
当然帰還兵は裁判の時テオポンポス王の裁定を望み、民衆はポリデュロス王を望んだ。
やがてそれは裁定に不満を持った兵士による、ポリデュロス王の暗殺という最悪の結果をもたらすことになった。
兵士の処刑の前の言葉が残っている。
「テオポンポス王の裁定ならこんなことは起きなかったのに!」
(彼の独善はともかくとして、この結果、完全にスパルタは無法状態に陥ったの。)
まさにこの後のスパルタは迷走を極めた。
アギス家、エウリュポン家、長老派、帰還兵団、それぞれが勢力争いに明け暮れることになる。
市民がどの派閥に属しているかは服の安全ピン(ボルパイ)に使う意匠や、肩飾りなどの装飾品でわかるようになっていた。
当然、メッセニアに対する統治も充分にできず、処刑部隊による恐怖政治での簒奪と化していた。
(耐えきれなくなったメッセニア人が反乱を起こしたのが200年前、それは13年つづいたわ。)
第二次メッセニア戦争の結果、国土は荒れ果て、奴隷は逃亡し、スパルタは存亡の危機にたった。
(そして狼の改革が始まったの。)
=アーシアのスキル一覧表=
汎用知識(ギリシャ地域)
一般技能(鑑定)
一般知識(公衆衛生)
特殊技能(尋問)ランクD
特殊技能(神学)ランクF
特殊技能(神聖文字)ランクF
特殊技能(法学)ランクF
特殊技能(料理)ランクE
特殊技能(詐欺)ランクF
特殊技能(薬草学)ランクE
特殊技能(弁論)ランクF
特殊技能(取引)ランクF
特殊技能(魔術)ランクF
今回変動はありません。




