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新世界到着 1話

説明が続いて、申し訳ありません。早く戦闘始めたいんですが…

おや、今迄、何をしていたんだろう。今、僕は真っ直ぐ続く土くれの道の片隅に突っ立ている。茶色に続く道、周囲は足首ぐらいの緑の平原が続いていて、片方の道の先には森のような樹々が薄っすらとある。遠くには天空を貫く巨大な一つの山がそびえている。なんだあの山は?本当に山?顔を上に向けていたら、空は全体に青く光って地上を照らしている。太陽が無い?ふと、そんな疑問が頭をよぎったけど、太陽ってなんだ?まぁ好天なら問題ないよね。

それよりも、僕は誰でしょう?困ったなぁ〜

近くの切り株に腰を下ろして、溜め息を…

その時、頭の中から機械的な女性の声が聞こえてきた。ドキッ!急になんだァー

「私は貴方の意識下に設定されたチュートリアル機能です。初めまして…」

状況は分からないけど、とりあえず

「初めまして」と頭の中で答えてみた。

「良かった。混乱してるようですが、意識疎通は可能のようですね。これより、チュートリアルを開始します。準備はOKですか?」

なんだこれは?良く分からないけど、このままじゃ仕方ないので、「OK」と念じてと…

「それでは、チュートリアルを開始致します。なお、本チュートリアルの内容は説明終了後には、貴方の知識として統合され、現在の質疑等は記憶からは削除されますので、ご了解ください。」

何の事やら…相変わらず分かりませんが、どうぞ先を進めてくださいね。どうにでもなれでしょ〜もうハァ〜

「先ずは、この世界についての基礎知識ですが、この世界は、遠くに見える巨大な山、シュミ山を中心に円形に広がっています。その半径は、この階層では人間族が飼養している馬という生物が昼夜全速で走り続けて50日程度の広さになります。また、大きさは様々ですが、同様の階層が複数、上下に重なって存在しております。それと、この世界は…」

長々と話しは続いていますが、まぁここは適当に聞いていても、結局、自分の知識になるみたいなので、たまに質問する程度で…僕って勉強に向いてないのかな?(苦笑)

「最後に、現在の所持品の確認をお願いします。装備は錆び付いた銅の長剣、使い古した廉価版の皮製肩当て、ヨレヨレ安物の上下服、丈夫だけが取り柄の革靴、少し匂いの染み付いた下着。所持金30万ギニー、水筒と携帯食は腰にぶら下がっている無限袋の中にあります。確認をお願いします。」

「ちょっと待って…」腰に…あったあった。ねずみ色の何の特徴もない袋が…どれ中に手を…んっ〜

「必要な物を取り出すように、念じてくださいね」

「おお、手に財布が…きたぁ!」何か感動している僕。

「これで、チュートリアルは終了になりますが、ご自分の名前を決めてください。」

名前か?それって勝手に決めるもんなのかとの、ツッコミは堪えて、思いつく名前を考える…

「ゼン。」なんか自然に浮かびました。

「どう変な名前じゃない?キラキラとか大丈 夫?」

「大丈夫です。この世界でも少ないですが、 使われていると思います。では、よい人生 をお過ごしください。」プツン。


え〜と、僕は何をしてたんだっけ…何をしてたかの記憶はないけど、ん〜ん。こんな所に座っていても仕方ないし、近くの街に行ってみますかね。道の彼方に見える森が裾野の森の始まりならば、反対のこちらに行けば、近場の街に着けるはずだよなぁ〜…何故かだいたいの居場所と大きな地図上の何処らあたりにいるのが分かるようです。

道をトボトボ歩き出きながら、袋の中の水筒で水(何故か冷たいぞ)を飲んで、食べ物(軽石みたいで味がしないけど、空腹感は収まった)を食べて、やっと少し落ち着いた感が…でも、空を見ると、少し暗く赤みが出てきたような…こんな所で野宿はイヤなので、駆け出すことにしました。

結構、速い感じで一跳毎にカラダ3っ分ほど進んでいます。まだ速く出来そうだけど、今のペースだと全く疲れないので…早く街が見えないかなぁ〜と、前方、道の遠くに目を凝らしたところ、小さな黒い点が道に見えた。なんだ?ちょっとスピードを上げながら、ロックオン。黒い点は動いていないようですが、近づくにつれて…どうやら荷馬車のようで、馬が一頭、荷車の後ろに、一人いて荷車を押しているようです。おや向こうも気がついたようです。僕が近づくと顔を上げて…

「おい、黒い髪のにいちゃん!悪りぃけどちょこっと荷車を押すの手伝ってくれやぁ、それにしても、にいちゃん足が速いね。馬より速く見えたのは俺の錯覚かい?」

話しかけてきたのは、僕より少し背が低くて横幅、特にお腹の周りがふっくらとした、中年のおじさんです。顔は少し怖いけど、目は優しい感じ、武器とかも身には付けていないようなので、ちょっと近づいてみます。

「いや、なに街に買い出しの帰りなんだけど、ほれ、このくぼみに車輪がハマって、この有様よ。そうそう、俺は農夫だから金目の物は持っていないぜ。にいちゃんが盗賊だったら諦めてくれよ。冗談、冗談、そんな優男の盗賊は居ねぇよなぁ〜まぁ手伝ってくれよ、飯ぐらいご馳走するぜ」

僕って、優男の黒髪?そういえば、自分の顔も覚えていない(苦笑)早く見てみたいなぁ…

「いいですよ。ちょっと待ってくださいね。それと、街まで、ここから、あとどれくらいで着きますかねぇ」

「スカラの街には、歩いて3時間もあれば着くぜらにいちゃんの足なら、1時間かからないじゃねえか、悪りぃなぁ、俺が荷台を持ち上げるから、後ろから押してくれや」

「はい。」後ろに回って、木製の荷台に手を添える。

「いいか?ほら、いっせいの〜せい、押してくれ〜」

力を入れて、えぃ!あら〜荷馬車が跳んだ?

おじさんも跳んだ?馬も跳んだ?気のせいだよね。汗 汗

「痛てて〜にいちゃん、凄い力だねぇ〜もしかして、冒険者かい?」

起き上がると、おじさんが尻を押さえ、泣き笑いの表情で戻ってきた。

「ゴメンなさい。」ぺこり、「力の加減がつかなくてすみません。冒険者じゃないですが…力は人よりあるようです。」

「まぁ助かったぜ、無事脱出出来たし、めでたしだ。でだ、にいちゃん、約束だからな家に寄って飯を食って泊まっていきな。そろそろ暗くなるし、流石にこの辺りでも夜は魔物か出るからなぁ〜」

このまま、街に行くより、おじさんから、情報を仕入れて行動した方が良いよなぁ〜てか、まともな物を食べたいし…

「それでは、お言葉に甘えて…お願いします。」

「俺は農夫のガロンっていうんだ。にいちゃんには敵いそうもないが、これでも力持ちのガロンで、此の辺りでは言われてるんだぜ」

「僕はゼンです。ちょっと事情があって、昨日の事も思い出せないんです。」実は事情も分からないのですが…

「そりゃ大変だなぁ、まぁ家でゆっくり相談に乗るぜ、さあ、荷車に乗りな。家は大して遠くないから、ゆっくり出発だ」


ゴトゴト、ゴトゴト…道をはずれ、草原を進みしばらくすると、木の柵があり、木戸を通り過ぎると、草原に変わり作物が…そしてその先にレンガで造られた二階建ての家が見えてきた。気がつけば空はかなり暗く、地平線付近は赤暗くなって来ている。

「我が家に着いたぜ。そんなに広くはないが、気楽にしてくれや」

大きめな木製のドアを開けて、手招きするガロンさん、続いて付いていくと、奥から女性の声が…

「あんたかい?お帰り、遅かったねぇ〜あら、お客さんかい?」

「お〜よ、帰り道の途中でくぼみにハマっちまって、そこを、このゼン君に助けて貰ったわけよ。今日は遅いから飯と寝床を頼むぜ」

「そう、大変だったわねぇ〜夜になったら荷を置いて戻るしかないし…ゼン君本当にありがとうね。今日はゆっくり休んでいってね。私はガロンの妻のグラムです。そうとなれば、今夜は腕を振るってご馳走を作らないと…さぁ忙しい。ほらほら、そんな何処に立っていないで、こちらに座ってね。じゃ」

とグラムさんは奥に戻っていき、テーブルの向かいのガロンさんと、雑談を始めました。

「ご馳走さま〜」グラムさんの手料理はとても熱々の本当に美味しくいただきました。

「記憶が無くては大変だろう。良かったら、いつまで居ても良いだぜ〜」とほろ酔いのガロンさん。

「そうよ。少し落ち着いて、そうすれば記憶も戻るかもしれないわよ。私たちにも子供が居たらゼン君ぐらいの年かしら…」グラムさんが、しんみり顔で…

「ありがとうございます。とてもありがたいです。でも、少し気持ちを整理したいので、明日の朝にご返答させてください。」

色々と試したい事があるし、と言って直ぐに行くのも不安。今晩良く考えないと…まだ、実際の能力も分からないし、自分の顔さえ見てないんだから…

「ゼン君も疲れているんだろう。グラム、早く部屋に案内してあげなよ」

「はい。ほらゼン君、こちらよ。狭い部屋だけど、遠慮無く使ってね」


部屋は広くはないけど、きれいに片付いていて、ベットと小さなダンスと小机と椅子、小さな窓と壁には、おお!銅製の四角い鏡が掛けてあった。どれどれ、少し緊張しながら、鏡の正面に…ふむ、確かに黒髪、顔は少し幼さが残っているような…でも、まあ普通より多少マシかな、これで、際立った特徴があれば、美男子かも…へへ、まぁ許す。

ベットに横たわり、手足を伸ばし、あ〜極楽、極楽。ってしてる場合じゃないよな(苦笑)現状の自分の能力確認と今後の生き方を考えないと…

まずは、自分の能力確認から、何故か、ある程度の能力の扱い方と他の人とは随分異なる事を知識として持っているのは分かってるんだなぁ〜不思議。

で…自分を鑑定と念じてみる。すると目の前に文字が浮かび上がる


種族 ミックス(人間、エルフ、ドアーフ)

レベル1

心力30

身力50

技力30

知力50

特殊能力値30

成長補正倍率100


これだけ見てもよく分からないなぁ〜

とりあえず、比較が必要だな。明日起きたら、ガロンさん夫婦を鑑定させて貰おう。魔法も気になるんだよね。でも、部屋の中では、ちょっと危険?だよね。これも明日だなぁ〜。あ〜、睡魔が……おやすみなさい。明日は忙しくなりそうです。



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