反撃準備
執筆が滞り気味で投稿間隔があいてきましたが投稿します。
1月20日 日本 官邸
「随分手ひどくやられてしまったな・・・」国安大臣からの報告を聞きそんな感想を述べる鴉山総理、現在内閣による沖縄奪還についての会議を行っているところである。
「第2艦隊は実質的に壊滅状態であり、その他航空機、車輌などの被害も甚大です。防衛隊は現在戦力の再編成を行っているところですが、当分第2、第3艦隊をそれぞれ解散して新しく艦隊を編成することになります」今後の戦力の整備について追加で報告する東大臣
「肝心の奪還作戦についての概要を説明してくれ」失ったものについていつまでも考えてはいられないそう考えて質問する総理、東大臣もそれに応え説明を始める。
「沖縄奪還作戦ですが、投入戦力として大湊の第5艦隊、単冠の第6艦隊を使います。本当なら舞鶴の第4艦隊も投入したいところですが現在定期整備中で断念しました。他には動かせる海母隊群を全投入して航空優勢の確保をはかります。上陸については支援群を中心とした部隊編成で行く予定です」
「大丈夫なのですか?聞いた感じでは海上防衛隊の動ける全戦力を投入するみたいですが、他の守りが薄くなってしまうのでは?」そう他の大臣が異を唱える。
「あの基地外じみた解放軍の物量を相手にするにはこれぐらいやらなければどうしようもありません、他方の守りについては海上保安庁に無理言って何とかするほか、カグヤにいる支援艦隊を7個ほど呼び寄せて対処する方針です」東大臣の説明で大まかな方針が決まりかけ結論を出そうとしたとき、経済産業省の大臣が発言を求める。
「総理、奪還作戦のことについても大事ですが今後についてはどうお考えですか」大臣の説明によれば、沖縄が陥落した影響で海運に支障が出ているらしい、他にも東南アジアのほぼ全域が解放軍の支配下に墜ちていることからそう遅くない内に資源が枯渇すると言ってきた。
「そのことについてですが東南アジア各国から我が国に救援を要請する書簡が各駐日大使を通じて来ています」付け加えるように音無大臣が発言する。東南アジアの海軍ではやはり抑えきれず瞬く間に壊滅させられたらしい、報告を聞きつい唸ってしまう鴉山総理少しした後音無大臣に質問をする。
「音無大臣、現在解放軍を日本のほかにどこと戦線を開いているのかね」
「わかっている限りでは、インドをはじめ台湾、チベット、ウイグルに中東アジアに国内にいる防衛軍の残党、あとアフリカにいる遠征軍に対しても戦力を差し向けたと情報機関から報告が来ていますので、本当ならアフリカ諸国全てを敵に回すことになります。東南アジアに関しては既に支配は完了しているので戦闘は起きていません」
「その内我が国と協力関係を築けるそうなのはいくつある?」報告を聞く限り解放軍の戦線をかなりの広範囲に及んでいるようだ、協力を得られる国の一つぐらいあるだろう。
「現時点で可能性があるのはインド、東南アジア各国、台湾・チベット・ウイグルなどの準国家群でしょうか・・、アフリカや中東などは大韓朝鮮帝国との関係で期待できません」音無大臣が質問に対し答える。今の日本とアフリカ・中東の関係はというと戦闘が起こったあと大韓朝鮮帝国が国際連合から地球連合に乗り換えを表明しそれを地球連合側も了承した事で日本側が事態の説明を求めており、地球連合の加盟国との間に不穏な空気が生まれてしまっている。そのこともあって協力を要請できるような状態でもないため大臣も外したようだ。
「地球連合加盟国の真意も重要ではあるがそもそも大韓朝鮮帝国が戦端を開いた理由が分からん、何も言わずにいきなり宣戦布告をしてきて一体あの国はどうしたかったのだ」今回の戦争は理解の範疇をこえている。中華解放軍による侵攻はまだ理由が予測できるが大韓朝鮮帝国の場合確かに険悪な関係ではあったがわざわざ戦争という非生産的な行動を起こすほどではないはずだ、実際明らかに被害を被ったのはあちらである。ましては先に戦端を開いた大韓朝鮮帝国を受け入れた地球連合もそうだ、そんなことをすれば国際的にも批難の目で見られるようなことなぜしたのかが分からない。この戦い何かかおかしいと感じる総理であったがそれが何なのかまでは分からずじまいであった・・
中国
「それで事態の進展は概ね良好ということでよろしいですかな?馬中将」劉 長祥上将は作戦の結果を報告しに来た眼鏡をかけた男性馬 霊峰中将に聞き返した。
「はい、その通りです劉上将、すでに東南アジア各国は我が軍によって解放しており我々の管理下に入っております。日本に関しては解放作戦の足掛かりとなる沖縄を手中に収めており現在は第2段階に移行するための準備を行っています」誇らしげに答える馬、やられた方としては迷惑この上ないのだがそんなことは考えもしていない、馬がそう話す反面劉は一つ気がかりなことがあるらしく書類に目を落としていた。
「しかし、被害報告をみるとかなりの数を持ってかれてしまっていますね、特にこの日本の制圧艦による被害が尋常ではないですか?どうやれば1隻相手に50隻もの艦が被害を受けるのですかねぇ?」東南アジアに送った艦隊の被害はせいぜい2,3隻でほとんど完勝と言っても変わりないが、相手が日本だと話は違ってくる。中国が認識できているだけでも100隻に限りなく近い数の艦が大なり小なり被害を受けていた、特に目を引いたのが日本の制圧艦・・、報告によると「扶桑」というらしいがこの艦による被害が常識を超えている。「そこはやはり伝統ある日本海軍といったところでしょうか・・、しかし、我々が与えた傷も小さくありません。他方の防御を薄くするわけにはいかないでしょうから反撃をしようにも2か月はかかるでしょうそのころには我々の準備も終わっているので問題なく対処できるはずです。参謀本部でも同様の結果がでています」自信ありげに発言する馬中将、日本が行動に出るとしてもまだ当分先のことになると踏んでいるようだ。
「ふむ、まぁ喪失した戦力については今現在全国の造船所で各艦種とも増産体制を敷いているので大丈夫でしょう、くれぐれも不備の無いようにおねがいしますよ馬中将」劉上将も同じ結論に行きついたのかそう締めくくった頃、別の場所ではある人物が動き出していた。
「それで張君これからどうするつもりかね?流石にもう逃げ続けるのは難しいと思うぞ」そう言ったのは現在解放軍にその身を追われている王主席であった、逃走時にスーツ姿は目立つと判断したのか今の服装はそこいらの市民と同じような格好である。
「そうですね、そう何度も自然が味方をしてくれるとも思いませんしここはやはり一時的に国外にでもいくのが最良でしょうか・・・」主席の問いかけに答える張 徳因、彼はまだ30にもいかない若さでありながら高い能力を買われ防衛軍から共産党の幹部まで上り詰めたのである。彼は周りに注意を向けながら頭の中ではすでに国外への脱出方法とその後について思考を張り巡らせていた、主席と共に逃亡を始めてかなりの日数がたった今でも追跡の手は緩まず気を抜けない時が続いていた、その間に何度が捕まりかける危機にあったがそのたびに暴走したヤギに兵士が吹き飛ばされたり、ネズミの大群に襲われたりなどの掩護?があり今でもこうして捕まらずにすんでいるのであった。
「国外にか?しかし各国の大使館には奴らの監視の目があるから無理だと思うぞ、それよりまだ機能している防衛軍の基地に行く方がいいのではないか?」別の案をだす王主席、解放軍のクーデターの後各国の大使館の周りは解放軍兵が固めているほか、国外への移動手段も今は制限されていることから国外に行くのは難しいと判断しているようだ。
「いえ、それは危険だと思います。今の防衛軍は指揮するべき者がいない状態の言葉は悪いですが烏合の衆です。解放軍の刺客の一人か二人ぐらいなら簡単に紛れ込ませられるでしょうからやはりここは国外へ脱出するべきです。まぁ、賭けにはなりますが方法はありますので行けるとは思います」真っ向から主席の言葉を否定する張、その妙に説得力のある言葉により主席も一応の理解を示す。そして二人は国外へ脱出するためにとある場所、中華解放軍東海艦隊の母港である浙江省寧波市へと向かい始めた。
その寧波市の東海艦隊母港で停泊している巡洋艦「回」では張 宗徳艦長が気怠そうな顔をしながら艦長席に座って艦内作業の様子を見ていた。「回」はインド洋での無人艇群との戦闘で損傷を受けドック入りしていたがあらかたの修理が終わり復帰していたのだった。
「艦長、艦のシステムなどを確認しましたが異常は見当たりません完全復活です」副長がそう報告をしてきたが張艦長は“あぁ・・”と気の抜けた声で返すだけであった。
「息子さんのことが気がかりですか?こんな時代ですのでご心配なのはわかりますが・・」「いや、実を言うと息子のことはそこまで心配はしていないあいつはなんだかんだ言って優秀だからな、今頃主席と一緒に国外へと出ているかもしれん。それより私が心配なのはこの国の行く末についてだよ、副長、戦争をおっぱじめた挙句に日本をはじめとしたアジア各国を敵に回して勝てると今の上層部は本気で思っているのか?とね」そう疑問を投げかける艦長、どうやら彼自身は解放軍の方針に反感を抱いているようである。
「ですが今のところは上層部の思惑通りに言っているようですよ?北海艦隊の奴らから聞きましたが日本海軍の艦隊を殲滅したと自慢していました、まぁ本当かどうかは怪しいところですが・・」半ば愚痴のような艦長の問いかけに答える副長、副長自身も艦長と同じ考えなのかそれ以上のことは言わなかった。
“殲滅か・・、あの日本がむざむざやられるとは思えんな、どうせ上層部か北海の奴らが誇張しているのだろう”そう心の中で思う張艦長、東海艦隊は母港の配置の関係上日本など海外の海軍との交流も盛んであり、実験の北海艦隊、顔の東海艦隊、殴り込みの南海艦隊と揶揄されるように合同演習も三艦隊中最も多く参加しており練度もそれ相応である。無論張自身も演習には多数参加しており、日本の実力についてはよく知っていると自負している。そんな彼だからこそ上層部の行動に反感を持つのも仕方がないことだろう、しかし、彼は軍人であるためそれ以上のことをしようとは思わない、命令を受ければ従うが受けなければ受けなかったで動く気もないのである。
「ま、一軍人である我々がどうこうできるようなものでもないがな、それにしてもさっきから艦の出入りが多いのだが新造艦でもきているのか?」そう言いながら艦橋から海原を見る。そこにはフリーゲートやコルベットをはじめとした多数の艦艇が港に接岸しようとしている光景が広がっていた。
「開戦前に大量発注していたやつですね、恐らくほかの所でも似たような景色になっているのではないでしょうか?」副長も同じ方を見ながら答える。そういえば景気対策と称して解放軍が大量の艦艇の発注をしたことで一時期話題になっていたな、その際に作られていたものが引き渡されたのだろう。
「数をそろえたところで動かすものがいなければ軍艦もただの鉄の塊だ、そのことを上層部は理解しているのだろうか・・」新造艦を観察していると甲板上で作業しているものの姿が見受けられたがよく見るとそれは人ではなくロボットなのが分かる。その動きは正直言ってぎこちなく使い物になるのか疑問である。かつて世界最大の人口を誇っていた中国も少子高齢化の波には敵わずいまでは10億に届くかどうかも怪しい(それでも十分多いが)、軍もその規模の維持に躍起になり徴兵制の導入も考えられていたぐらいである。結局、機械兵の導入による維持に落ち着いたがこの分野はまだまだ発展途上であり、まともに使えるようになるのは当分先だろう、本当にこの国はどこに向かっているのだろうか・・、そう思わざるを得ない張艦長であった。
大韓朝鮮帝国 ソウル
「それで長官、日本によって本国にばら撒かれた機雷の掃海作業はまだ終わらないのですか?次の作戦の開始はまだ先ですがあまり余裕はありませんよ」そう質問するのはいつ以来の出演か忘れた李 善恵大統領だった。
「はい、大統領現在海軍が総力をあげて対処しておりますが何しろあの日本が造った機雷ですので慎重を要しますのでまだ時間がかかります。ですがご安心してください既に設置された機雷の内7割は処理を終えており、主要港を中心に安全は確保してあります」質問にそう答える軍の長官、大統領に心配はないことを伝えるが実は少しねつ造した情報を伝えていた。実際に処理が出来た機雷は実を言うと3割にも満たず、そのほとんどは処理に失敗して爆発して被害を出している。また、機雷は朝鮮半島を囲むように設置されているため実際のところ港には大した数はないのである。ところでこの機雷、いつ日本が仕掛けたのかというと対馬で第3艦隊が戦闘を行っていた時、第3潜水戦隊と第8、第9支援艦隊が共同で別作戦として動いていた時である。その結果勝負がつき撤退していた攻略艦隊のほぼすべてが触雷することになり再起不能に陥るほどの被害を与えられていた。
「まさかこのような卑劣な手を使ってくるとはやはり日本という国は野蛮でありますな」宣戦布告してきて何寝言を言っていると思うが長官はそう言い訳に似た言葉を発言する。しかし大統領は無視していた、まさかこんな早く攻めに転ずるとは思わなかったが予想の範囲内であったため長官の戯言など気にも留めていなかった。
「どう思おうと長官の勝手ですけど早急に事態の回復を頼みますよ?しばらくはドイツをはじめとした同盟国側が動くことにはなりますが、くれぐれも計画に問題を持ち込むようなことはゆるしませんから、いいですね?」長官に釘を刺した後今後の計画の準備に当たらせるために退室させる。
「計画はまだ始まったばかり・・、この後の作戦の是非でこの国の行く末が決まるわ。失敗は許されない・・」一人となり静まり返った部屋の中で彼女はそう呟いた。
実際欧州方面の話いつごろ出すのかが未定で困り気味




