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日本国世界大戦  作者: 一機当千
本編
32/68

二方面戦〈一〉

1月19日 日本・対馬 11:00


現在、この場には第3艦隊旗艦の「薩摩」を中心とした大部隊が対馬・九州防衛のために展開していた。

「周囲に異常なし、敵影見当たりません」観測員からの報告が入る。どうやら、まだ時間的には余裕があるようだ。

「警戒そのまま、気を抜くなよ、敵はいつ来るか分からないからな」そう指令をだすがそもそもこれほどの大部隊がいるのだ、普通に考えれば作戦がばれていると思うだろうわざわざこんなところに攻撃するような無駄なことをするのだろうか・・

「まぁ、とはいえあの国のことだしなぁ」そんなことを考えていると通信員から連絡が入る。「本部から入電、大韓朝鮮帝国からの宣戦布告を確認!各部隊十分に警戒せよとのことです」どうやら本当にあの国は戦争を仕掛けて来るようだ、律儀に宣戦布告をしてくるあたり勝つ気でいるのだろう

「艦長、警備艦「黒豹」から入電、前線に展開中の無人艇8号艇及び23号艇の反応が消えたそうです、レーダーには異常はないとのこと」

「よしわかった。全艦対空戦闘用意!敵は擬態装甲を展開している気をつけろよ!」報告を受け号令をだす。敵はどうやらまた擬態装甲を使ったミサイル攻撃を仕掛けてくるようだ、だがしかし、同じ手を喰らうほど我々もバカではないこちらも対策を施してある。

「本艦、13番レーダーブイ反応消失!ミサイル接近を確認、迎撃開始します!」

「駆逐艦「山雨」ミサイル3発迎撃!「海雨」も同じく」対策が功をこうしたのか次々に報告が上がってくる。対策とは言ってもたいそれたことはしていないただ周囲にレーダー機能を付けたブイをばら撒いただけである。擬態装甲を展開したミサイルが近づけばそのブイも同時に消えるため後はこっちで軌道の計算をして迎撃すればよい、とはいえ偽魂体がいて初めてできる戦術ではあるが・・

「前方50㎞先の釜山港にて複数の艦影を確認しました!恐らく攻略部隊と思われます」ミサイル攻撃ではらちが明かないと判断したのか海軍艦艇が多数出撃してきた。編成は駆逐艦12・フリーゲート24・コルベット24・無人ミサイル艇40以上のほか揚陸艦と思われる艦影もいくつか確認できた。

「わざわざ真正面からくるとは・・、対艦戦闘用意!目標、大韓朝鮮帝国艦隊!各艦SSM発射用意」

「対艦戦闘よーい、目標、大韓朝鮮帝国艦隊!各艦攻撃目標割当て急げ!」復唱したのちに攻撃するためにCIC内で慌ただしく動き始める。

「!? 対空レーダーに感!敵航空機と思われる数40機内半数が小型無人機と判明!小型無人機対艦ミサイルの発射を確認、数ひゃっ、120発!!」

「くそ!対空戦闘!」先手を打たれる形となったが艦隊から迎撃ミサイルが五月雨式にうち放たれる。その中には対艦ミサイルも混ざっており敵艦隊へと向かって行った。

「敵ミサイル全弾撃墜、敵艦隊駆逐艦2・コルベット8無人艇11の撃沈を確認!」

「敵の無人機撤退します。なお、残りの20機は以前接近中、第5航空団発進しました!」

妙ですね・・、不意にそう呟いたのは本艦の偽魂体さつまだった。

「妙ってなにが?」彼女の発言が気になり聞いてみる。元々しゃべることが苦手な彼女は言葉を選ぶように話し始める。

「いえ、なぜ彼らはバラバラに攻撃をしてくるのかを気になっただけです。擬態ミサイルをはじめとして無人機による対艦攻撃、そしていま来ている艦艇からのミサイルどれも傍目から見れば連携による連続攻撃のように見えますが、相手は我々第3艦隊です迎撃ミサイルの数にしても駆逐艦だけで1000を超えますし迎撃能力も高水準です。そのことは彼らも知っているはずなのになぜ一斉に撃たずにわざわざ順番に撃ってきているのでしょうか?こちらに被害を出させるのなら一斉に撃つ方が少なくとも可能性があります」そう彼女が疑問を投げかける。他にも潜水艦の所在とか色々言っていたがそれも踏まえても彼女の疑問はもっともである。あの擬態ミサイルにしても対策を施したとはいえ、半分くらいは偽魂体の処理能力にかけたいわば博打に等しい手段だった。その博打に勝てたのも偽魂体達があのミサイルだけに集中できたことが大きい、もしここに無人機や敵艦艇からの攻撃も加わっていたら駆逐艦の1,2隻は持っていかれていたかもしれない。

「そういわれると確かにそうだな、まるでこちらを前だけに向かせようとしているような感じもする・・」そう答える艦長、この時自分の言った言葉が的を射た発言だったとは思ってもいなかった・・・


1月19日 日本・沖縄 8:00


沖縄にある基地の一つであるここ那覇では今現在予想されている中国解放軍による侵攻作戦に備えて年末の大掃除みたいな慌ただしさがあった。

「う~ん、このパイロットスーツもう少し普通のデザインにできないのかなぁ、やっぱ恥ずかしいよ」そう苦言を呈したのは那覇基地独立警備隊所属の機動戦鬼パイロットである白瀬 美海隊員である(支援群からの離脱配属のため階級はない)。

「美海あんたねぇ、下手したらこの後すぐにでも戦争に行くかもしれないって時に随分と呑気なこといえるわね、ある意味羨ましいわ」

「あはは・・、まぁ美海ちゃんらしいといえばらしいかな?たぶん・・」そう返してきたのは同じ機動戦鬼パイロットであり中学からの親友の山瀬 香隊員と川瀬 鈴隊員だ、この二人と隊長を加えた4人でこの那覇基地独立部隊に所属する機動戦鬼小隊を編成している。ちなみに4人とも沖縄生まれである。

「あら、三人とも準備はできているようね、それに美海隊員恥ずかしいってパイロットになってもう3年でしょいい加減慣れなさいな」そう言いながら部屋に入ってきた女性、岩瀬 安奈隊長だった。

「安奈隊長、そうは言ってもこれはやっぱきついです・・」そう返す白瀬、機動戦鬼というのは俗によく見る人型ロボットのことで支援群の主要装備の一つとして正式配備されているそれで開発者がいうには“ロマンを突き詰めたらこうなった後悔はしていない”らしい。まぁそこまではまだいいのだが、このロボット流石に飛行機や車みたいにレバーやハンドル・ペダルだけで人のような動きをするのは流石に無理があり、操縦者の脳波や神経電流を使って操作の補助を行っていることもあって、まことに言いにくいのだがパイロットスーツが体に密着する構造になっており、パイロットの体型が露わになってしまっている。特に女性の場合はそれが顕著であり、あそことかあそことかの形がはっきり分かってしまうのが悩みの種になっているようである。このスーツを作ったヘンタ・・開発者は火星からやってきた宇宙生命体相手に人型兵器で戦うとある作品をみて思いついたと供述している次第である。

「せめて下着だけでもつけられたら変わるのだろうけどねぇ、流石に着ているのがこれだけだとねぇ、気持ちは分からなくないよ」フォロー?を入れる山瀬隊員、以前スーツの上に上着を着るという案もあったが逆に羞恥心を高める格好になり、速攻で却下されている。そんな他愛のない会話をして気を和らげているとけたたましくサイレンの音が鳴り放送が流れる。

“中国から多数の艦隊を確認、まっすぐ本島へきている模様既に第2艦隊が交戦しており各待機部隊は臨戦態勢及び出撃態勢へ移れ、繰り返す・・・”

放送を聞き会話をしていた4人はすぐさま自分たちの乗る機体へと走り出す。すでに戦闘は始まっておりいつ攻撃が来てもおかしくない、今自分は戦地へと向かうのだともう一度確認して気を引き締める白瀬だった。


“那覇独立警備機動戦鬼小隊は第9航空団の出撃後本基地上空にて展開、戦闘態勢へと移れ!”司令部からの命令を機体の中で受取り出撃準備を整える。

「了解!55式機動戦鬼「みこと」白瀬機、システムオールグリーン出撃準備へと移行します」出撃のために白瀬は全長12mある自分の乗機の巨体をゆっくり立ち上がらせる。周りをみると隊長をはじめとしたみんなの機動戦鬼が準備を終え出撃を待っている。

“第9航空団全機の出撃を確認、次の警備機動戦鬼小隊出撃してください”オペレーターから指令を受け岩瀬隊長が隊員に対していう。

“皆さんいいですか、今回の任務の目的は沖縄にいる住民の避難が終わるまでの時間稼ぎです。そのことを忘れないでくださいね”了解!その返事を合図に4機の機動戦鬼は基地上空へとその機体を舞い上がらせた。


沖縄本島120㎞沖付近 第2艦隊旗艦「扶桑」 CIC


「対艦ミサイル敵艦4隻に被弾、後退していきますまた我が艦隊に敵ミサイル接近中!合計80発来ます!!」

「本艦による統制射撃にて迎撃、同時に第3波対艦攻撃を開始せよ!」いまこの海域では日本の第2艦隊と第2海母隊群及び第6支援艦隊が中国解放軍の6個艦隊計90隻と戦闘を繰り広げていた。相手の艦はフリーゲートやミサイル艇などの小型艦が中心とはいえこの数は流石にきつい、被害の方も相手がミサイル艇6隻撃沈に対しこちらは駆逐艦を2隻沈められていた。

「敵空母「白虎」「玄武」から航空機の発艦を確認のほか中国本土からも多数の航空機が接近しております」

「こっちの航空勢力のほうはどうなっている」艦艇からの攻撃だけでもきついのに航空機からも受けるのはかなりまずい、すぐ味方の状況を調べさせる。

「第8、第9航空団の戦闘隊及び支援隊の計80機が本空域に向かっております。第2海母隊群の「山鶴」「海鶴」からは攻撃隊から発艦させているため、もう少しかかるとの事です」こちらも対応しているようだが、戦力差的に不安が残る。そのことについて考えていると「扶桑」の左舷30㎞ほどにいた駆逐艦「大潮」の反応が消える。

「「大潮」轟沈、潜水艦からの魚雷攻撃だと思われる、潜水中の第2潜水戦隊が動きました」この激戦の中魚雷を撃った猛者が居たらしい、哨戒ヘリコプターを使った対潜戦闘も行ってはいたがやはり実戦ではそう都合よくいかないようだ、少しして潜水艦から「大潮」を沈めたと思われる敵潜を撃沈したと連絡が偽魂体を通して来た。

「味方航空機、敵機と会敵しました。また、攻撃隊も対艦攻撃を開始します」この航空戦で本海戦の航空優勢が決まる、報告する乗員も真剣な眼差しで事態の進行を見守っていた。


沖縄 上空


“雷電から各機へ前方200㎞付近に敵航空機群を確認注意せよ”戦闘空域へ向かっている途中管制機から敵の存在を報告され、早乙女 勝彦三等空尉は乗機を操縦しながらこれから起こる戦闘に対して気を引き締めていた。緊張はしているも不思議と恐怖はない、むしろ自身に課せられた使命を果たさんとその闘志を燃やしているぐらいだ。

“早乙女三尉、もう少しで射程範囲入る。気を引き締めていくぞ他の奴らもしっかりな!”通信を入れてきたのは自分の所属している第9航空団航空戦闘隊の山田隊長だった。

「了解、ところで隊長他の奴らって・・、第9航空戦闘隊のパイロットは自分たち二人だけじゃないですか、しっかりしてくださいよ(笑)」隊長の言葉にそんな感じに答える。第9航空団のみならず全ての航空団はその隷下の航空隊に戦闘・攻撃・爆撃・支援の四隊が編成されており各隊20機体制を取っている。だが、パイロットの人数も同じくらいいるかというとそうではなく基本的には各航空隊で10人いれば多い方であり大半は偽魂体による遠隔統合操作によって運用されている。

そういえばそうだったな、笑いながら答える隊長恐らく緊張を和らげるための言葉だったのだろう、そんな心遣いに感謝していると管制機からもう一度通信が入り“雷電から各機へ、間もなく射程範囲内に到達各機到達次第攻撃を開始せよ、敵の数は320確認繰り返す・・”といってきた。いよいよ戦闘だ、相手の数は320機に対してこちら側は第8,9航空団の戦闘機と支援機合わせて80機丁度4倍の差である。攻撃隊の攻撃機を入れれば120機になるけど対艦任務に当たるため戦力としては期待できない、どのみち不利な状況には変わりない。

“各機、AAM(空対空誘導弾)発射用意!格闘戦に備えて4発残しておけいいな!”隊長から指令が入り発射態勢に移る、管制機から目標の割当てが届き操縦桿のスイッチに指をかける。そして・・

「ターゲットロックオン、FOX1!」そう声をだしスイッチを押し込むと同時に機体胴体につけてあった空対空ミサイルが連続で4発放たれ目標に向かって飛んでいく、このままいけばそう時間もかからずに敵機に当たるはずだ、それを裏付けるように管制機から報告が入る。

“ミサイルの弾着を確認、敵機120機の撃墜!残り200!敵ミサイル接近!”

“全機ブレイク!ブレイク!”隊長か叫び編隊がばらける。報告から少なくとも3分の1は落とせたようだが考えるのは後にして今は敵の攻撃をかわすことを優先するのが先だ、レーダーには迫りくるミサイルの影が確認できる。自分にくるのは4発すぐに機体を旋回させながらチャフをばら撒き回避行動をとる。なんとか2発は躱したが残りの2発がそのまま機体に向かってくる。

「そう簡単にやられるかってんだー!」振り切るために機体が下に背を向けて勢いよく降下させる。G緩和の技術が施されているため体に負担は少ないがそれでも多少のGを感じる。ミサイルも軌道を変え追いかけてくる前にもう一度チャフをばら撒く、軌道を変え終わったミサイルはそれにより攪乱されそのままツッコミそして爆発した。

よし!回避に成功して機体を元に戻す、他の機も回避し終わったようであちこちに味方機が見えるがその数は減っていた。

“全機大丈夫か?!”隊長の声がしたので生存の報告をする。そのあと、本部にいるはずの本機の偽魂体から被害状況が知らされる。うちの隊は6機落とされていた。全体で残ったのは63機実に17機も落とされた。

“雷電から各機へ敵との距離が100を切った格闘戦に気をつけろ”管制機から通信が入る。敵は先ほど支援機の皆様が撃ちかましたSM合計744発によってその数を102機まで減らしていたがこちら側の残存戦闘機32機では分が悪すぎる。

“ナイトリーダーから雷電へ、沖縄の避難終了まであとどれくらいか?”隊長が問い合わせる。やはり隊長もこの状況はまずいと感じ取ったのだろう

“雷電からナイトリーダーへ避難はあと4時間で完了の見通し、それまでなんとか耐えてくれ”すぐ管制機から返事がくる。

“了解した・・、各機聞いたな?もう少しで任務完了だそれまで耐えるぞ!レッツダンス!”その言葉を合図に残った32機の戦闘機は格闘戦へと挑んでいった。


制圧艦「扶桑」CIC


「味方航空部隊、格闘戦へ突入します。攻撃隊は撤退を開始!」攻撃機のおかげで敵艦の数を62隻まで削ったもののそれとの引き換えに攻撃機43機撃墜というおよそ半分もの被害が出たが今の所この海域の戦闘は拮抗している状況である。

「ふそう、各艦の対艦ミサイルの残数は?」戦闘に入ってからすでに2時間経過している現在かなりのミサイルを消費しているはずだ、そう考え彼女に確認を取らせる。

「各艦あと4発といったところでしょうか・・、汎用ミサイルを使えばまだ攻撃の余裕はありますけど・・、どういたしますか?」残数の確認を取り報告してくる彼女、すでに攻撃能力は0に近かった。

「いや、今回の目的は敵の殲滅ではなく住民の避難終了までの時間稼ぎだ、できるだけ敵艦隊を足止めする必要がある。汎用ミサイルは迎撃にまわせ」ここに艦隊がいる限り敵も前へは進めない、なら少しでも長く入れるよう努力すべきだと判断した結果このような返答を返した彼女も納得したのか“わかりました”と返し自分の任に戻る。そんな感じで現状の維持で時間を稼ごうとした矢先、通信員からとんでもない報告が入る。

「艦長!沖縄作戦司令部から入電!本島に敵上陸部隊の接近を確認、上陸まで20kmをきっている模様!」なに!?耳を疑うような話を聞き思考が停止する。報告が本当なら敵はもう上陸間近ということだ、一体どこから来たのか見当も付かないまま第2艦隊は決断を迫られることになった。

気づいたらロシアもびっくりの飽和攻撃を書いていた・・・まぁ未来だし問題はないはず、うん・・

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