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日本国世界大戦  作者: 一機当千
本編
31/68

三国同盟

1月10日 日本

時は少しさかのぼって1月10日の官邸では今秘密会議の真最中であった。

「え~、今ご覧になっている写真についてですが、これは先日ドイツで行われたドイツ・イタリア・大韓朝鮮帝国間で結ばれた防衛協定、通称三国同盟の式典後に行われた秘密会談の様子です」そう説明される写真には三国同盟の三カ国首脳のほかアラブ系やアフリカ系のものや中華系のものが移されている。

「見たところ他の国の者も見受けられますがこれはどういうつながりの集団でしょうか?」大臣の一人が質問する。

「まだ確定ではないので言えませんが、少なくとも中華系の人物に関しては中華遠征軍総司令の馬 功石とわかりました。また、中東諸国やアフリカ諸国の重要人物だと思われる者も確認されています」質問に答える音無大臣

「中華遠征軍!?何故そのようなものの人物があの場にいたのですか!」驚きのあまり叫んでしまった東国安大臣、遠征軍といえばインド洋で日中印の艦隊に対して攻撃を仕掛けてきた組織だ、そのような組織の上層部の人物がこの秘密会談に参加していれば驚くのも仕方がない、その質問に対して音無大臣も真剣な表情で答える。

「断定はできませんが、暴走無人艇の出現、インド洋での遠征軍の攻撃、そしてこれは推測の域を出ませんが国際宇宙観艦式襲撃にこの国々が裏で繋がっている可能性があります」予想外の返答にざわつきだす閣僚たち、それが静まったのち首相が質問をする。

「その仮説の根拠となったものはあるのか?」

「以前、ロシアと我が国の情報組織がこれらの国々が秘密裏に宇宙艦の建造をはじめとした兵器の製造を確認しています。恐らくその一部が使用された可能性が高いです」

「総理!これは大問題ですぞ、最悪戦争を起こす国が出るかもしれません。早急な対策をするべきです!!」大臣の一人が発言する。

「この同盟に対する各国の反応はどうだ?」そう聞き直す首相

「十国十色と言うべきでしょうか」答える音無大臣、今回のこの同盟に対する反応を纏めるとイギリスやフランスそしてロシア等一部欧州の国家は沈黙を保っている状態だが、逆にギリシャ等過剰に反応する国家もあり二つに分かれている。アメリカに関してはわれ関せず状態である。また、この同盟に好意的反応を示したのはアフリカや中東の国家が多い、インドを含めた東南アジアの国々は興味すら持っていないようだ。そして日本の場合国民含めどう判断すべきか迷っている状況である。

「我々が動くにしても材料が少なすぎるな、それに下手に動くと余計な刺激を与えることになるかもしれん。今は各方面十分な警戒をしておくことで手をうとうと思うがどう思うかな?」最後に総理が大臣たちに確認をとる。それでは不十分だと思った者も少なくは無かったが概ねその方針で一致して会議は終了することになるが、そう遠くない内にこの方針を変えることとなる出来事が起こることとなった。


1月13日 対馬沖


現在この海域には領海防衛として複数の艦が任務に当たっていた。その艦の内の1隻である日本国支援群所属の警備艦「白豹」のCICでは一人の女の子が本艦の操作する無人艇の管理をしながらこの海域に目を光らせていた。

「無人艇1号艇から10号艇までシステム・周囲共に異常なし、11号艇から20号艇も同じく・・、うん!今日も平和で何よりね!!」元気にそういいながら報告書をまとめている白髪の女の子、偽魂体のしろひょうである。

「しろさーん、そっちは大丈夫ですかー?」

「あら、くぬぎさんおはようございます。はい、こっちは異常ありませんよ、それといい加減ちゃんと名前で呼んでください」声をかけられたので答える彼女、相手は同海域で哨戒をしている護衛艦「椚」の偽魂体だった。

「いや~だって、しろさんの名前呼びにくいじゃないですか、しろさんのほうが断然いいですって」そう彼女に言い返されるしろひょう確かに自分でも思っていたことなので納得してしまうのが悔しいところだ。

「それを言われると色々辛いのですけど・・、あら?13号艇のレーダーに感有り、小型飛翔体を確認・・、くぬぎさん申し訳ございませんが招かれざる客がいらしたようですよ、そちらに任せてよろしいでしょうか?」くぬぎに対してそう報告する彼女、くぬぎの方も確認したらしく“うわぁ、またミサイルかよしつこいなぁもう”と文句を言いながら迎撃を開始する。その後すぐに三つあった反応が消える。

「迎撃完了っとまったく帝国の奴らもこっちに撃つ暇があるなら少しは内政に力を入れればいいのに馬鹿だよなぁ」くぬぎの呟きに苦笑しながら再び任務に戻ろうと無人艇の様子を確認しだすしろひょう、その時無人艇に再び異常を見つける。

「あれ?16号艇と18号艇の反応が消えている・・、え!?2号艇から8号艇まで消えた!どうなっているのこれ!?」自分が操作していた無人艇の反応が消えて焦りが出る彼女の耳に予想外の通信が入る。

“こちら護衛艦「柊」僚艦の「柿」がいきなり爆発した!!救援をねが・・”ブツッといきなり通信が切れる。

「くぬぎさんさっきの通信聞きましたか!!」「ああ、聞いたおまけに「柊」の反応まで消えやがった。どうなっているんだちくしょう!」事態が分からないまま現場は混乱している中再び他の艦から通信が入る。

“こちら巡視船「紅葉傘」僚艦の「草藤」と「野薊」と航行中に「草藤」が攻撃を受けた!恐らくミサイル攻撃と思われるが視認できず、現在救助活動中!”

「ミサイルだぁ?そんなバカなこっちのレーダーには何にも写ってねぇぞ」報告に対してそのように意見するくぬぎ、たとえステルス化されていても小さな反応はあるはずで完全に消えるなんてことはありえない、しかし、今たしかにレーダーどころか視認すら出来ない攻撃を受けていることは事実である。

「一体どうやって攻撃をしているの・・・、きゃあ!!」敵の攻撃手段に思考を巡らせていたしろひょうに大きな揺れが襲う「つっ・・、艦中央に被弾?浸水も複数で発生、ダメコン間に合うかしら・・」どうやら、「白豹」にも攻撃が当たったらしいディスプレイには艦の被害状況が示されている。状況的には最悪沈む危険があった。

「しろさん大丈夫か!今助けるって・・・、うわー!!」「白豹」を助けようと近づいていた「椚」の艦体が複数個所で爆発した、そして「椚」は5分も持たずに海中へと姿を消す。

「くぬぎさん!応答してください!くっ、本当にどうなっているのよ・・」あまりの悲惨な状況に泣きそうになっている彼女、ふと艦外を写しているモニターに目を向けるそこには何もないようにただ静かな海面が広がっている。そこに少し大きめの波が発生し、その様子をなぜか眺めていた彼女だったがあることに気付く、その波がとある場所で一瞬消えたのだ、小さくなったのではなく文字通り消えた、そしてしばらくすると再び何もなかったかのように波が現れる。

「えっ・・、これってまさか・・」呟いた途端再び「白豹」は大きく揺さぶられ今度はCICに大きな炎が襲い掛かってくる。その炎に飲み込まれながら彼女は自分が導き出した一つの可能性についてのデータを本部に送り続けていた。


1月16日 日本


「総理、大変です今度は中国で事件が発生しました!」勢いよく部屋に入ってきた音無外務大臣に内心ビックリしながら鴉山総理は平静を装いながら聞く。

「中国ってまた遠征軍絡みか?確かにあんな演説をされたら面子重視のあの国なら何かしそうだが・・・」実は13日の対馬での大韓朝鮮帝国の攻撃による撃沈事件の翌日にアフリカにいる遠征軍の最高指揮官がアフリカ国家を代表してある演説を行っていた。端的に説明すると遠征軍全軍が中国の支配から独立して今後はアフリカ連合国軍として活動すること、また、その際に中国によるアフリカの間接支配についてボロクソに批判していた。そしてアフリカ諸国は地球連合という名の国際機関を作り今後の国際問題の解決に臨む旨の内容を話していた。これの意味することはつまり国際連合と対なす国際機関が出来たことに等しい、当然アメリカを中心に一部の国が猛反発していた(この国際機関の発足に好意的な意見を出している国の中にドイツ・イタリア・大韓朝鮮帝国のほか中東諸国や東南アジアの一部がある)。


「いえ違います、今度は遠征軍ではなく解放軍の方です。先ほど情報機関からの報告ですが、解放軍がクーデターを起こし王主席が一部側近と逃亡しているとのことです。また、その後釜として解放軍の幹部の劉 長祥がついたそうです」音無大臣が間髪入れずに報告する。

「なに!?中国でクーデターだと!それで今の中国はどうなっている!」その報告を聞き流石に平静ではいられなくなったのか声が大きくなる。

「現在は足元を固めるのに集中しているのか恐ろしいくらいに沈黙をしております。また、防衛軍は反発しているらしく中国各地で両軍による衝突戦が発生しているそうですが、クーデターと同時に防衛軍の基地を攻撃したらしくゲリラ戦が限界なのが現状です」総理につられてか声を大きくして答える音無大臣、報告の内容から予断を許さない状況だと分かる。

「そんな状況になっているのか、下手をすれば日本にも飛び火しかねないな・・、ただでさえ大韓朝鮮帝国とのいざこざで一触触発の状態で危険だというのに」そう言いながら唸ってしまっている鴉山総理、大韓朝鮮帝国とのいざこざというのは無論対馬でおきた紛争のことだ、当初は謎の攻撃でやられっぱなしだったが1隻の警備艦からのデータによって擬態装甲を展開したミサイル攻撃だということがわかり、すぐさま電磁爆雷を中心とした電波妨害による回避行動で凌いだもののこれについては流石に看過出来ないと判断したのか外務省を中心として日本では想像できないような猛烈な批判をして両国間で緊張状態が発生しているのである。また、この攻撃により警備艦1隻をはじめとした計9隻の艦船が沈められており、死者・行方不明者合わせて271名(偽魂体を含む)もの犠牲者が出ている。


今後の動静について話し合っていると再び執務室の扉が慌ただしく開かれ一人の人物が入ってくる。

「総理、情報機関から国安省宛てに連絡が入りました!相当まずいことになっています」東国安大臣であった。手にはいくつかの書類が握られている。

「東君一体なにがあったのかね?」彼が入ってきてさらに気が滅入りそうになっている総理が彼に報告を聞く。

これを見てください、そういいながら東大臣は手に持っていた書類を二人に見せる。内容は何かの作戦計画書のようなものが二点ある。“亜細亜解放作戦計画書”・“対馬・九州攻略作戦計画書” その書類にはこう書かれていた。

「これは我が国の情報機関が中華人民解放軍と大韓朝鮮帝国から得た軍事作戦の計画書です」そう説明する東大臣

「これは本当のことですか東大臣、計画ではどちらも1月19日に始動とありますが後3日しかないじゃないですか!」少し強めの言葉で聞き返す音無大臣、しかし、東大臣に本当のことだと肯定される。

「東君・・、仮に我が国がこの作戦に対して対策を取るとして防衛隊は守り切れるのか?」

「総理、残念ながら現状では両方同時に守り切るのは不可能としか・・、時間がなさすぎます」総理の質問に対して否定の言葉を返す大臣、言葉の端々に悔しさがにじみ出ている。どうすればいい?総理が返してきたため彼は言葉を続ける。

「すぐに用意できる戦力では両方を守るどころかいたずらに疲弊するだけです。どちらかは切り捨てざるを得ません」

「まて、切り捨てるって国民を見捨てるのか?そんなことをすれば大変なことになるぞ!」彼の回答を聞いていた音無大臣がそう怒鳴る。

「しかし、現状これが最善の策であることは確かなのです。我々も悔しいのです音無大臣」反論する東大臣

「二人とも落ち着きたまえ、東君仮に切り捨てるとしてどちらが犠牲を少なく抑えられる?」二人をなだめ確認する総理

「切り捨てるとしたら沖縄の方となりますが・・、あちらは人口も少ないため避難させるとしてももう片方と比べて可能ではあります」答える東大臣

「そうか・・、では総理大臣権限として命令する。沖縄及び九州両方面に対する侵攻作戦に対し我々は沖縄方面を一時的に放棄する。その際現地住民に犠牲は出したくない国安省は住民の本土への疎開を支援してくれ、九州方面に対する勢力に対しては撃退する方針で頼む」総理がそう発言する少しでも犠牲を減らすことを重視したようだった、命令を受けた東大臣はすぐさま作戦の作成のために本省へと戻っていった。今日本に戦争の牙が掛かろうとしていた。


5時間後、防衛作戦のための投入戦力が公表され閣議で決定された。

九州方面対韓防衛部隊

海上防衛隊:第3艦隊

航空防衛隊:第5航空団、第6航空団

陸上防衛隊:第4対艦誘導弾発射連隊、歩兵隊3個大隊、機甲隊4個小隊

支援群 :2個支援艦隊、第1航空隊群、第2警備隊群、機動戦鬼部隊3個小隊


沖縄方面対中防衛部隊

海上防衛隊:第2艦隊

航空防衛隊:第8航空団、第9航空団、海上母艦搭載:第11航空団、第12航空団

陸上防衛隊:第15師団

支援群 :第2海母隊群、2個輸送隊群、3個支援艦隊、1個機動戦鬼中隊

那覇基地独立警備隊:那覇航空警備隊、那覇陸上警備中隊、那覇警備機動戦鬼小隊


このほかに警察組織などが住民の避難の支援として駆り出されることとなる。

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