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日本国世界大戦  作者: 一機当千
本編
29/68

インド洋沖海戦

ようやく戦争の気配を出せるようになってきました。

12月14日 インド洋 制圧艦「大和」


「前方に展開中の第1駆逐隊から報告、我、目標を発見する、以上です」

「本艦、左舷50㎞方向で戦闘中のインド軍、戦艦「オリッサ」から支援要請を受けています」

「中国海軍、巡洋艦「阿昌アチャン」「ホウェイ」共に被弾後退します。また、増援でとしてインド軍、巡航艦「アルワル」が加わります。」

「我が艦隊、敵撃破数30を超えました。また、敵増援として500t級ミサイル艇を10確認、以前増加中」

「だぁークソ!なんだ、この状況は!!一向に減る気配がないじゃねぇか!ほんとに敵は海賊なのか?」CICでそう怒鳴り散らすのは本艦「大和」艦長真田 俊之一等海佐である。

現在「大和」を筆頭にした日本国インド洋海賊対処部隊総勢30隻はここインド洋にてインド軍・中華人民解放軍の戦闘艦艇と一緒に海賊退治という名の暴走無人艇群を排除していた。この暴走無人艇群ことの始まりは以前起こった護衛艦損傷事件からでその日を境に数が増えていき今ではかなりの数が確認されており脅威となっている。そのため日本をはじめとした各国海軍が派遣されているのだが・・・

「インド、駆逐艦「カタク」艦中央に被弾!退艦命令が出された模様」

「第2駆逐隊、弾薬もうありません一時後退します」

なんと押されているのは各国海軍の方だった。先ほどまでは50を超える敵艦がいたのだから、これでも善戦している部類なのである(この間に中国艦3隻、インド艦2隻が沈んだほか、日中印合わせて6隻が損傷している)。

「敵艦の発生場所はまだ、掴めないのか?やまと」偽魂体の女性にそう質問する真田艦長

「擬態装甲を展開して移動しているらしく、いまだに掴めません」聞かれた女性も答える。ところでこの擬態装甲、正式には仮想空間物質生成技術という名なのだが簡単に説明すると一定範囲内にホログラムに似ているが質量を持つ物質を生成する技術でまだ韓国という国があった時代一人の科学者が開発し世界中で使われた技術である。でこの技術、範囲内に入らなければ本物と見分けがつかないせいで、このように軍事転用されると非常に厄介な代物である。

「このままではジリ貧だ、一刻も早く大元をつぶさなければ」そう考える真田、「大和」の上空では海洋母艦から発艦した攻撃機が通り過ぎていった。


駆逐艦「夕立」

「本艦40㎞先に小型ミサイル艇を確認!数8!生体反応無し、無人艇です!」

「SSM(艦対艦誘導弾)及びLM(大型汎用誘導弾)発射!各4で行け」

前部甲板と事前に解放していた後部甲板にあるVLSから8発のミサイルが飛び出し、敵艦に直撃した後その反応が消える。これで追加して8隻沈めたことになり、前に沈めたのと合わせると既に12隻になる。

「ミサイル残弾大丈夫か?どうなっている?」

「え~と、前部VLSのSSMがあと8発で、後部VLSはSM、MM(中型汎用誘導弾)、LMがそれぞれ78、30、28発だからまだ大丈夫だとは思う・・もっともSAMは全部使い切っちゃったから残り全てを対艦攻撃には使うわけにはいかないけど・・」そういいながら確認するゆうだち、任務の都合上SAMを前部VLSに24セル分に換装し直しといたのだがどうやら足りなかったらしい、「おいおい、24セル48発もあったのにもうないのかよ、敵さんどんだけいるんだよ・・」乾いた笑いしか出ない、この間にもミサイル攻撃が来てSMを追加で18発使うことになる。

「無人艇を遠隔操作している場所の特定まだか?急いでくれ」

「今、全力で当たっていますがどうやら水中からの操作のようです。ありえないレベルの電波が確認できます。」そう報告してくる航海長

「ゆうだち、この艦に魚雷って乗せていたか?」「一応あるけどミサイルでも十分攻撃できるよ?」水中からの電波といい、水中を潜るミサイルといい本当に技術の進歩は凄いものだ。本音をいうと嬉しくないが・・

「敵艦さらに増加20超えました、夕潮及び夕霧が対処します」

「敵ミサイル接近!夕空SAM18発発射!迎撃しました!」

僚艦との連携もうまくいっているようで、難なく済むがそれでも有利というわけではない。

「!! 見つけました深度50m付近に漂流している物体を発見!強力な電波を発生させています。目標と考えられます」不意に報告が入る。

「破壊しろ!恐らくそれが無人艇の操作装置だ」

艦隊規模でのデータリンクにより味方艦が動き始める。数は全部で15個それぞれ50㎞間隔に敷設されていた。

「目標破壊を確認水中からの電波消失」

「無人艇行動停止しました」

「ふ~、やっとか・・」安堵していきをつく。

「艦長、あの無人艇拿捕して調べた方がいいのでは?」そう提案する秋山副長、確かに調べれば黒幕の正体の手がかりを得られるかもしれないが・・

「いや、多分無理だろう」そう結論付ける。秋山副長が疑問に思っていたさなか、更に報告が入る。「停止していた無人艇すべて自爆しました」「やはり、証拠隠滅を図れるようになっていたか」沈みゆく無人艇を見ながらそういう。問題自体は何も解決していないものの、当面の危機は去ったはずだ。

「艦長、前方から駆逐艦クラスの艦が接近中、中国艦だと思われます」

「中国?増援かなにか来たのか?」

「艦長、なんで中国の艦がアフリカ方面から来るのですか?」そう質問する副長、こっちが知りたいよ・・

「件の艦種が判明、ⅮⅢ型駆逐艦「朝陽」「崇文」「大興」「頭溝」「房山」そのほか多数確認、現在、中国解放軍所属のⅮⅡ型駆逐艦「嘉定」「青浦」が接近中」

「ⅮⅢ型・・中国の遠征軍所属艦だったか?」

「あぁ、いましたね、確かそんな軍艦、確かアフリカに展開している艦でしたね」そんな感じに会話を続ける二人、中国艦なら中国に任せた方がいいとの判断である。なお、このⅮⅡ・ⅮⅢ型駆逐艦正確には、北辰型駆逐艦といって同型艦なのだがそれぞれ所属する軍が違うためその呼び分けのためにこのような名称が使われている(防衛軍所属がⅮⅠ型、解放軍所属でⅮⅡ型、遠征軍所属がⅮⅢ型となる)。


中国に対応は任せておいて、日本艦隊は撤退の準備をすると同時に損傷した味方艦の曳航作業に取り掛かる。日本の艦は「春雨」と「朝潮」が中破していたが、自力で航行できるようなので問題なさそうだ(なお、インドの巡航艦「バーンカー」「ベーグーサラーイ」が追加で大破していた)。

「えっ、ちょっと、嘘でしょ・・、勇士!駆逐艦「嘉定」と「青浦」の反応が消えた。あとなんかミサイル来ているのだけど!どういうこと!」そんな報告がゆうだちからもたらされる。それでこの報告を聞いた俺含めたCICにいる皆さんの反応はというと・・・

はぁ?・・、である何とも間抜けな反応であった。


「げっ、本当だ・・、艦長、我が方に向かってミサイルが接近中!数確認出来るだけで80以上!!」レーダー員からも報告が入る。

「我が方って、こっちには中国の艦もいるのだぞ!味方諸共撃ってきやがったのか!」つい怒鳴ってしまったが、それだけ相手の行動が理解の範疇を超えている証拠でもある。

「夕立、SM・MMそれぞれ12発ずつ発射!「大和」からの統制射撃と思われる。他の艦も多数の迎撃ミサイルの発射を確認」個別で対処できる規模ではないと判断したのか「大和」が一時的に日本の全艦の武装システムの管制を預かり迎撃する。そのおかげで日本に撃たれたミサイルは全て落とすことが出来たものの、他二国には少なからずの被害が出てしまったようだ。

「インド駆逐艦「チトラクート」「クーヌール」「チェンナイ」反応消失!「チプルーン」「チャタルプル」大破炎上中!」

「中国巡洋艦「阿昌」沈みます!他駆逐艦「長寧」「松江」「普陀」被弾しました!」

・・・、ごめんさっきの訂正大被害だった。中国に関しては今回参加した駆逐艦は全滅状態であり「阿昌」も損傷が響いたのか沈んでしまっている。

「あいつらマジでやりやがった・・・」他国の軍艦に向けて攻撃しただけでも大問題なのに自国の艦もまとめて沈めるなんか常軌を逸しており、怒りを通りこしてもはや呆れてしまう。

「艦長、「大和」から全艦に対して通信が入っています。」報告をしたのち繋ぐ、するとスピーカーから「大和」艦長の真田一佐の声が聞こえだす。

“こちら、大和艦長の真田だ。本艦から日本国インド洋海賊対処部隊所属の全艦艇に通達する・・、現時刻をもって海賊対処任務を終了し、現海域を離脱速やかに撤退する!!”

なんとそこで発せられたのは意外にも撤退命令であった・・・


制圧艦「大和」 CIC


「全艦反転、撤退を開始しました。他損傷した艦の曳航作業も同時に進めております」

「これで良かったのですか真田さん?」そう伺うのは「大和」の偽魂体であるやまとだ、この場にはとうてい似合わない和服姿をしているがとても綺麗な女性である。

「攻撃許可が下りているのは暴走無人艇群だけだし、我々では攻撃のしようがないからな仕方あるまい。それに攻撃しようにも些か弾薬も心元ないし、逃げるのが最良の選択だな」そういいながらディスプレイを見続ける彼、ディスプレイには各艦の残弾数が表示されている。どの艦も半分しか残っていなく0の艦もあるほどだ、この状態で戦闘を行うのは自殺行為に等しい。


「!! 中国遠征軍所属艦さらにミサイルを発射!数30以上全発日本艦に向かっています」

「あちらさんもただでは逃がしてくれなそうだな、やまと、もう一度頼めるか?」そう彼女に指示を出し再び状況を見守る。もうしばらくは気の抜けない状態が続きそうである。


駆逐艦「夕立」 CIC


「ミサイル再び接近します。数20発、本艦へは2発きます!」

「ゆうだち、いけるか?」彼女に聞くが何故か不機嫌そうに答えられる。

「無理、またやまとさんに艦の武装システムの管制を取られた。多分、勝手にやると思うよ」

どうやら、自分の艦の制御を他人にとられているのが不服らしい。確かに先ほど後部VLSから5発飛んでいった。

「目標、全弾撃破しました」報告があがる、いやそれよりもう百発ほど迎撃したと思うのですが、あちらさん一体いくつミサイル乗っけているのですかねぇ?

「勇士、報告が二つあるけどどっちから聞きたい?」

「そういう場合はいい方と悪い方というのではないのか?どっちも報告してくれ」

「じゃあ報告するけど、さっきの迎撃で「夕立」にあったミサイルがなくなったのが一つ目で、二つ目はまたミサイルが来ているよ、それも40発」

「本当か?」急いで砲雷長に確認する。

「はい、すでに本艦に搭載されていたミサイルの内SAM・SM・MM・LMの合計228発全弾を撃ち尽くしてしまい、残っているのはSSMの8発のみとなっています」と肯定の言葉が返ってくる。正直一番聞きたくない言葉ではあったが仕方がない。

「我が艦隊迎撃ミサイル12発発射を確認」40発に対し12発という明らかに足りない数から考えるに恐らく艦隊全てのミサイルを使い切ったのだろう。

「ミサイル12発迎撃!残り28発依然直進してきます。各割当て本艦に6発、夕潮に4発、夕空に4発、夕霧に6発、大和に8発です!」残ったミサイルは殿を務めていた第1駆逐隊と「大和」に対して迷わず来ていた。

「本艦の管制戻りました」ミサイルがなくなり、各艦の迎撃に移るために「大和」に渡っていた艦の制御がもとに戻る。

「ECM出力最大、電磁爆雷投射しろ!チャフ・フレア・CIWS用意!」今残っている手段のみでの迎撃をするために指示をだす。すぐさま、行動に移されECMにより2発落ちた。

「電磁爆雷投射!起動します・・、1発反応消失!」

「チャフ・フレア投下!1発爆発!2発残っています!」投射距離の関係上基本使われる事のない装備が次々に動き出し己を守るためにその能力を発揮するがそれでも2発残りあとはCIWSによる迎撃のみになる。

「CIWS起動!迎撃かいしーー!」艦後部に搭載されていた20mmバルカン砲が動き始める。昔と違い打ち出すのはレーザーではあるもののこれの最大射程は1km・・、つまりミサイルは既にその距離まで来ていることになる。

「あったれーーー!!!」ゆうだちが叫び、バルカン砲が唸り声をあげミサイルにレーザーを撃ち浴びせる。

「うおっと」迎撃が成功したのか2回ほどドーンと音が鳴り、艦体が揺さぶられる。

「ミサイル、本艦400m前で爆発・・迎撃成功です!!」報告が入り安堵の空気がCICに流れるがすぐに思い直す。

「僚艦の方はどうなっている」「現在、確認中です・・、出ました。「夕潮」及び「夕霧」艦尾と艦中央にそれぞれ被弾!「夕潮」喫水下がっています!」対空が少し劣る2隻が迎撃しきれず被弾したようだ。実は「大和」も3発ほど被弾していたが装甲によって軌道がそれてさほど被害がなく、この時はまだわからなかった(「大和」自身も自覚していなく、気づいたのが横須賀のドッグでの整備という笑えない話がおきた)。

「夕潮に接舷しろ!沈ませるな!」すぐさま指示を出す。「夕空」も同じく「夕霧」の支援のために動いている。

「敵の方はどうなっている?」「現在、その場で沈黙しております。動きはありません」あちらも持っていたミサイルを使い果たしたようで不気味なほど静かになっている。とはいえ500発越えの対艦ミサイルなんかどこに搭載していたのか小一時間ほど問い詰めたいが・・、その後、結局敵の艦隊はレーダー外に出るまで動くことはなかった・・・

中国とインドの軍艦の命名基準がよく理解できなかったので独自仕様となっております。ご理解ください。

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