G11
11月29日 北海道 札幌
現在この地では、日・露・中・印・米・独・韓・加・英・仏・伊の11か国の首脳達が国際会議の出席のために訪れていた。会議の内容は無論、先週発生した国際宇宙観艦式襲撃事件についてである。
「このたびは、このような悲惨な事件に関係諸国の皆様を巻き込んでしまい誠に申し訳ない、今この場を借りてお詫びを申し上げさせてもらいます」そう発言し立ち上がり頭を下げる鴉山総理、この言葉を皮切りに会議が進み始める。
「それで今回の事件、犯人どころかその影さえも分からぬという認識でいいのでしょうか?」そう発言したのはカナダの大統領、自国は無関係とはいえ同盟国のアメリカが被害を受けたのだ、内心不安でいっぱいである。
「そういえば、襲撃してきた艦は日露の艦型と酷似していたとか報告されておりますねぇ、特に大半の艦が日本の突撃艦と瓜二つだとか」そう鴉山総理を見つめる女性、李大統領である。これに対し鴉山総理も「お言葉だが、李大統領確かにかの艦は我が国のと、形は似ているものの、我が国とは全くの無関係です。それに我が国も多数の艦が損傷し、犠牲者も出ています事をお忘れなきように」と反論する。
「そういうことならば、我々も艦、乗員共々全滅するという本事件の最大の犠牲を出した被害者です。それに貴国のその犠牲者聞いてみれば偽魂体らしいじゃないですか、いわば紛い物の命・・犠牲者として扱うのはどうなのかしら?」
「なっ・・、あなたは死者を愚弄するつもりですか!」
「私個人の意見としてはそもそも貴国の偽魂技術そのものが本当に存在しているか怪しいですわ、もしかしたら、どこかの国から純真無垢の少女達を無理やり連れ去って洗脳なり改造なりしているのではなくて?一昔前、世界中で似たような事件があったのも記憶に新しいでしょう?」日韓で言い争いが始まるが、それを止めたのは意外にもロシアのイゴーリ大統領だった。
「李大統領もうそのくらいでいいでしょう、それに私は以前来日した際に日本国の偽魂技術の偽魂体の誕生のようすを見学させてもらったが、貴国のいうような事は全くなかった彼女達は確かにれっきとしたひとつの生命だったよ。それに最大の被害といったが貴国が失ったのは1隻だけだ、貴国には少なくない宇宙艦があるのに何故1隻だけしか参加しなかったのかね?」
我が国の整備能力を知っていての発言かしら?そう最後にいい、一先ず争いは収まる。
「私としてはインドの方が突然の欠席というのも気になりますな。もしかして今回の事態を予想していたのではないですかな?」次に口を開いたのは中国の王主席、どうやらインドの式の突然の欠席に疑問を持っているようである。
「失礼だが、その件は我が国の保有する宇宙専用航路でのトラブルが原因と申しといたはずですが?聞いておりませんかな?王主席」インドの首相が不機嫌になりながらも反論する。
「そんな都合よくトラブルが起きるものですかな?」追い打ちをかける王主席
「起こってしまったのだから、仕方あるまいしそれ以外説明のしようがない」負けずに返すインド首相、こちらも平行線である。
「イギリスとしてはドイツの我が国の軍艦に対する誤射について説明してもらいたいな」突然話に割って入るイギリス首相その矛先はドイツの首相である名はアドル・ブラムという。
「説明と申されましても誤射としか言いようがないが、それでは不服ですかな?」そう返すアドル首相どうやらそのことに対して興味がないらしい
「貴国ほどの実力を持つ艦がいくら混乱していたとはいえ、20kmも離れていた我が艦に誤射をするものですかな?しかもその誤射をした艦の名前が「アドルフ・ヒトラー」と我々欧州諸国に因縁のある人物の名を冠しているのも我々としては遺憾であります。貴国は一体どのような魂胆でこのような名をつけたのか?貴国の良識を疑わざるをえませんな」そうまくし立てるイギリス首相どうやら誤射より艦名のほうが問題らしい。
「ふむ、とは言いましてもあの艦の名だけは例外的に国民の意見を取り入れられてつけられた名ですので我々に文句を申されましても困りますな。それに私からも意見させてもうが、あの大戦から一世紀もたった今の時代未だに我が国に責任を取らせようとして来る貴国をはじめとした欧州各国にはほとほと迷惑しているのですよ、それこそそちらの“良識”を疑うくらいにわな!案外艦名にあの名を付けたのも貴様らへの国民の当てつけかもしれんぞ?」そう釈明をするアドル首相途中から怒りを込められた言葉遣いになっているのは恐らく気のせいではない、これを聞いたイギリス首相は怒りのあまり席を立ち上がり怒鳴り散らす。ついでにフランスも加わり罵り合いがはじめ会議どころではなくなる。
結局この会議では、経済・安保方面の協力強化の声明を出すことで決まったのみであった。
そして、この会議後の会談で各国の運命が決定づけられることとなる。
会議終了後、各国首脳はそれぞれの国と個別で会談を行うのはもはや通例となっている。今回はいくつかの会談の内容をそれぞれまとめておこうと思う。
日米露首脳会談
・アメリカは今回の襲撃で被害をうけた「ハワイ」について日本基地内での修理を要請、日本はこれを承諾する。
・ロシアは今回失った艦の補充及び更なる防衛力の強化を両国に表明、また、アメリカに対して今後の期待と共に最大限の支援を用意していると発表し、アメリカは現在宇宙戦艦の建造で手一杯の自国造船業の代わりに巡航艦の建造を要請、また、日本にも自国で設計した宇宙駆逐艦の建造のために日本国内のドックの貸し出しを提案し、両国ともこれを了解した。
・日本は実質的に第1星団が戦闘不能となり、防衛力の不足を認識また月開拓基地“かぐや”の防衛力強化のため新たに月常設部隊として第5、第6星団の新設の検討を開始する旨を表明するも、両国に半ば強制的に合意させられる形で8個星団態勢の構築を約束させられる。また、アメリカに地下ドックの建設技術の指導・技術の共同開発の促進化を同意する。
・三カ国とも東南アジア・アフリカに対する全面的な支援の継続を確認、また、中華大震災の影響で中国が実質的に主権の義務を放棄したチベット・ウイグル・内モンゴル等の地域に準国家扱いとしての支援を決定、中国に提案する方針とした。
・最後に三カ国間の安保をはじめとした交流を深めることをもう一度確認することを表明。
印中首脳会談
・インドは先ほどの会議での中国の発言に対して遺憾の意を伝える。これをうけ中国は今後気を付けるとのことだが、実際問題謎のままである。
・中国は大震災による経済の足手まといを懸念して実質的に切り捨てることとなったチベット・ウイグル・内モンゴル・台湾などの今後の国家的付き合いをはじめとした交流促進のための仲介をインドに要請、また、他世界各国にも働きかけるように半ば命令のような感じで要請する。インドは不本意ながらも検討する方針でいくと答える。
・両国間の国境線の緊張緩和に向けての努力の継続を確認、また、両国軍の交流・協力に同意する。
・両国の多すぎる人口問題の解決に向けて宇宙移民計画の共同研究を決定し、協力国の確保の努力を行う。
独韓伊首脳会談
・独伊は第2次世界大戦による失った地位の回復の協力を確認、また、大韓朝鮮帝国はその行動に対して支持を表明。
・大韓朝鮮帝国は独伊に対して日本に大戦時の我が国にたいする戦争犯罪の解決を求めるために圧力をかけるように要請、両国は可能な限り協力するとの意見をだす。
・独韓伊三カ国防衛同盟の締結に向けた協議の活性化に同意する。
英仏首脳会談
・両国ともに防衛力の強化の必要性を確認する。
・また、ドイツに対して先の会議の無礼について批難の意を唱えることを決めるが、そのあとは触れないことで双方同意する。
・また、現在ドイツ・イタリアに対する大戦時の責任追及を強化しているギリシャを中心とした関係諸国に自制を要請する方針で決定する。
・アメリカを介した日本、またその後ろにいるロシアとの関係強化を急ぐことを確認する。
・ドイツに対して国家間の友好の維持に必要な措置を取ることも決定する。
日印首脳会談
・両国の交流を深めることで決定した。また、インドから原子力機関の研究を提案されるが実質的に拒否の態勢をとる。
・中国との宇宙移民計画について説明、協力を仰ぐが日本は静観の構え代わりに日本の保有する地下・海上・海中・海底都市建設技術の販売もしくは研究の協力を表明。また、農業関連の技術の販売を打診するにとどまる。
・宇宙艦関連の技術販売を日本に打診するも拒否される。理由はインドが今現在未だに核弾頭ミサイルを保有していることに起因する。
日韓首脳会談
・日本に慰安婦問題の賠償を要求
・日本に日韓併合時の賠償を要求
・日本に強制連行問題の賠償を要求
・日本に独島の破壊行為に対する賠償及び対馬の割譲を要求
・日本にそのほか諸々の日韓問題に対しての賠償を要求
・日本に大韓朝鮮帝国に対する全面的かつ包括的な無償支援を要求
・日本はこれに対し「寝言は寝て言え」との発言をする。
米中首脳会談
・お互いの国益を尊重及び国際秩序の維持に努めるとのみ確認する。
日中首脳会談
・中国が放棄した地域に対しての全面的な支援を日本に取り付ける。
・宇宙移民計画の参加を要請するも断られる。代わりに中国の持つ月開拓担当特区の開発の支援を打診、合意に至る。
・日本、中国に現在GTP比率15%以上の軍事費の縮小を提案、中国は前向きに検討していきたいと表明する。
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