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日本国世界大戦  作者: 一機当千
本編
24/68

波乱〈三〉

8月17日 午後4時 横須賀


女二人の買い物に付き合わされるという拷問を受けたあと、ゆうだちの私情で一度横須賀基地に戻った俺だが折角の休暇を基地内で待っているのもあれなので少し基地外部から港に係留されている艦船群を見ていた。その光景は壮大のただ一言であり海上にいる艦船だけでも以下のような、


海上防衛隊

 第1艦隊

  制圧艦「大和」「武蔵」「長門」「陸奥」

  巡洋艦「金剛」「比叡」「榛名」「霧島」

     「川内」「神通」「那珂」「加古」

  駆逐艦「夕立」「夕潮」「夕空」「夕霧」

     「時雨」「朝潮」「晴空」「朝霧」

     「村雨」「秋潮」「秋空」「山霧」

     「春雨」「春潮」「春空」「海霧」

  潜水艦「大鯨」「深鯨」「海鯨」

     「山鯨」「迅鯨」「長鯨」

     「白鯨」「黒鯨」「青鯨」

     「雷鯨」「雪鯨」「岩鯨」


日本国支援群

  輸送艦「下北」「知床」「津軽」

  補給艦「摩周」「猪苗代」「琵琶」

  海上母艦「瑞鶴」「翔鶴」

  支援艦「伊22」「伊23」「伊24」「伊25」「伊26」「伊27」「伊28」「伊29」「伊30」


海上保安庁

 護衛艦「杉」「松」「藤」「桜」「梅」「梨」「葛」「竹」

 巡視船「水仙」「草苺」「蛇苺」「菫」「繁縷」

 警備艇「鯵」「秋刀魚」「鯛」「鮪」「鰯」


横須賀基地独立警備隊

 駆逐艦「暁」「雷」「電」「霙」「颪」


の計90隻もの艦船がいる。恐らく地下ドッグに格納されているのも合わせれば100を超えるのではないのだろうか・・・

「よくよく考えたらここのほかにあと5か所第1艦隊と同規模の艦隊がいるんだよなぁ、日本も本当変わったよ」そう現在海上防衛隊は横須賀をはじめ、佐世保・舞鶴・呉・大湊・単冠を艦隊の母港として日本国の防衛に当たっている。また、在日アメリカ軍が撤退した影響で艦隊の増強も行っており、6艦隊240隻が今の海上防衛隊の全戦力である。余談だが現在野党が現6個艦隊体制を8個艦隊体制への増強を要求しているが予算の関係上与党が事実状拒否している状況である。

「あっ、ここにいらっしゃったのですか?勇士義兄さん探しましたよ。」艦船群を眺めていると不意に後ろから声をかけられる。ゆうだちと一緒に基地に行っていた春奈さんだった。「おう、もうそっちは用事済んだのか?ゆうだちは?」

「ゆうだちちゃんはもう少しかかりそうでしたし、勇士義兄さんに伝えておきたいこともあったので一足先に来ちゃいました。多分後から来ますよ。」

「そうか、で伝えたいことってなんだ?また臨時の出撃か?」

「違いますよ、さっきお姉ちゃんから連絡が入ったので知ったんですけど、来週地球に帰ってくるみたいですよ。それで久しぶりにみんなで旅行でもどうかなって丁度私たちも長期休暇を与えられているわけですし」笑顔でそう提案する春奈さん、この人本当楽しそうなことに目がないよなぁ普段真面目だから別に構わないが・・

「なんだ、あいつやっと帰ってくるのか?3か月も音沙汰なしだったから心配したぞ。」まぁ、いつものことだから別段気にしてないが、それでも、帰ってくるのならそれはそれで嬉しくもある。そんなことを考えているとゆうだちが走ってこちらに戻ってきた。

「勇士、遅れちゃってごめん~しぐれちゃんたちとお話していたらおそくなっちゃった」

「別に構わんさ、ところでゆうだち来週遠出するから準備のほうしといてくれ」

遠出?どこにいくの?と質問する彼女に対し、“福島だ”と俺は答えた。 


8月24日 午後1時 福島旧原発跡基地


半世紀以上前に起きた震災で世界規模の原発事故を起こしたこの地だが、今では基地として運用されておりその傷跡は少し離れたところに建てられている原発のモニュメントで確認出来るくらいである。そんな過去を持つこの地で俺はゆうだちと春奈さんと一緒にこの基地を母港にしている第2星団の帰りを待っていた。周りには俺たちと同じく家族の帰りを待つ人たちが見受けられる。

「遅い、予定では正午には帰ってくる予定のはずだったよな?」そう質問を投げかける。炎天下の中で待っていたのですでに汗だらけである。

「気象とかの関係で少し遅れているそうですよ。なにかと繊細ですから宇宙の方たちは仕方ありませんよ。」そう答えながらソフトクリームを食べている春奈さん、ちなみにゆうだちは暑さでダウンして近くのお店で寝ている。

「仕方ないとはいえ、待っている側としてはこの暑さは流石に堪えるわ・・」そういいながらもう一度空を仰ぎ見るこれでもかといわんばかりの青空が広がっていた。こりゃまだまだ暑くなりそうだ、と考えていると不意に“あー、かえってきたー”と声が聞こえ周りの人たちもざわつき始める。目を凝らすとたしかに青空の中に黒い点が9個確認できどんどん形が大きくなっていく、それが船の形をしていることが分かるくらいに近づいて初めてその艦隊が海面に対して“垂直”に墜ちていることを知る。そのまま海面にぶつかる200m上空で艦隊は姿勢を水平に直しゆっくり着水した。この間わずか30秒、第2星団の帰還である。

「いつものことながら心臓に悪い降り方だな、航路の関係があるとはいえもう少し何とかならないのだろうか」そんな疑問を基地の地下ドックに格納されていく第2星団の一行を見ながら呈する。

「そうは言ってもこの方式のお蔭で日本は10か所も宇宙進出航路を保有することが出来たのですし、難しいのではないでしょうか?」そんな感じに答える春奈さん、手にはさっきとは違う味のソフトクリームを持っている。いつ買ってきたのだろうか・・・、筆者の独自解釈による設定解説をさせてもらうが、地球は自転しているためたとえロケットなどを真上に上げたとしてもその弾道は地球から見れば斜めに行っているように見え、宇宙へ上がる間に地表では長い距離がその下を通ることになるので安全性の観点から場所が限られる。で今回第2星団のみなさんは地球に対して垂直に降りてきた訳だがこれはすなわち地球の自転に合わせて自身も移動しながら降りるため場所は比較的固定されるので場所の確保もしやすく日本の主要な進出方法である。


第2星団が帰還して30分後、復活したゆうだち達と他愛のない会話をしながら時間をつぶしているとようやく基地から目的の人物達がでてきたのでそのまま合流する。

「お姉ちゃん、久しぶりそしてお帰りなさい」春奈さんがそういいながらその人物の一人に抱き付く。

「春奈も久しぶりね、元気にしていた?」そう話しながら笑っているのは、彼女の姉の秋山 冬華である

「冬華も元気だったか?なにかと上の方も大変だったろう?」そう俺も労いの言葉をかける。

「えぇ、元気でやっておりますわ。勇士さんも妹がご迷惑をかけていませんでしたか?何かと自由な子ですので大変でしたでしょう?」そんな感じで会話を続ける。

「休日の日に部屋に押し掛けることを除けば優秀すぎるくらいだよ」

「私がいない間の勇士さんの世話を頼んでおきましたのでそのくらいはご愛嬌ということで・・・」と答える彼女、勝手に家事とかやっていると思っていたがお前の差し金かよ、妹の都合も考えてあげろよ・・それにノリノリで従う妹も妹だが・・・

「まぁ、私もゆうだちちゃんに会う次いでにやっているだけですし気にしなくていいですよ、勇士義兄さん」

別段迷惑していないと答える春奈さん、なぜかまた新しくソフトクリームを買ってきたようだ一体いくつ食べるつもりなのだろうか?こんな感じで話も盛り上がっていたが、突如偽魂体の娘たちも会話に入ってくる。

「わかばちゃんも久しぶり。相変わらず凄い服装だね?」と話かけるゆうだち、話かけられた方はというと顔を赤くしながら「だって、もえぎお姉さんがこれを着なさいって言うんでしゅ・・、言うのですもの仕方ないじゃないですか」と答える。噛んだことについては触れてあげるな。

「ゆうだち的には似合っていると思うよ、なんかわかばちゃんらしくっていいと思う」

「けど、わかばは折角ならゆうだちちゃんみたいな普通の服を着てみたいです・・」

「あらわかば、それなら私の私服でも貸してあげましょうか?」

「お姉ちゃんの服じゃサイズ合わないと思うなぁ、特に胸の部分とか・・」

「それはわかばが貧弱な体をしていると言いたいのかしら春奈」

「少なくともゆうだちちゃんよりかは小さいんじゃないかなぁ」

女性たちだけで話が進み始めていたので、すかさずホテルに戻ろうと提案してその場を収める。この後も色々大変そうである。


「そういえば、勇士さん達は11月は暇ですの?」

3日間予定していた旅行もあっという間に過ぎ、今は街の飲食店でお茶をしていた時唐突に冬華がそんなことを聞いてくる。

「11月なら確か陸上訓練も終わっている後だし、予定はないはずだがどうしてだ?」

「ちょうどその時期に月で国際観艦式を予定していて、参加するのは第1星団なのですけど私たちも一般見学者を乗せる予定でよかったら見学しにいらっしゃらない?家族枠ということで招待いたしますが・・」

「宇宙で観艦式?すごく興味ある!勇士折角だし見に行こうよ~」最初に食いついたのはゆうだちだった。

「確かに月なんて宇宙関連の仕事についてなければ、滅多に行きませんからねぇ~勇士義兄さん折角ですし甘えちゃいましょうよ」ついで賛成の意を唱えたのは春奈さんだ。ちゃっかり自分がついていくのは確定事項らしい。

「決まりですわね」そういって顔をほころばせる冬華、あれ、俺の意見は?まぁ別に構わないが・・・

「じゃあ、そういうことで頼めるか?冬華」そういって彼女に話しかける。この時は誰もあんなことが起きるとは夢にも思っていなかった・・・

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