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日本国世界大戦  作者: 一機当千
本編
22/68

波乱〈一〉

8月16日 午前2時 ソマリア・アデン湾付近


現在太陽もまだ出ていないこの海域でこの私、護衛艦「柳」の偽魂体であるやなぎは後部甲板で後ろからついてくる輸送船達を見ながら暇を持て余していた。

「周囲に異常は無しか・・・、ももちゃんそっちは問題ない?あと暇で死にそうだから相手して~」と後方約15㎞にいるはずの護衛艦「桃」にいるはずの彼女に話しかける。え?どうやって話しかけているんだって?そりゃあ以心伝心の心でですよ(真面目)。

「やなぎちゃん、暇だからってちゃんとお仕事やらなくちゃダメだよ?また、先輩たちに怒られちゃうよ。」と若干心配そうな声が頭の中に返ってくる。

「大丈夫、大丈夫周りに怪しい物もないし先輩たちだって今頃仮眠していて聞いていないだろうしね」

もう・・、そんなため息が聞こえてきたと思ったら、今度は凛とした女性の声が頭の中で響く「誰が聞いていないのですか?やなぎさん?」現在行動を共にしている護衛艦「桐」の偽魂体のきり先輩だった。どうやら、さっきまでの会話は丸聞こえだったみたいだ。

「げっ・・、きり先輩聞いていやがっ・・いえ、起きていらしたのですか」

突然のことでしどろもどろに答える私に対して、まったくとため息まじりにいったきり先輩はそのまま私に向かって説教をしはじめる。「やなぎさん、確かに暇なのは事実ですし気持ちもわかりますが今回の第275次輸送護衛船団の旗艦は紛れもないあなた自身なのですよ、もう少し自覚というものをもってもらわないと困ります。そんなことでは何かあった時に適格な判断を阻害しますし私たちにも影響が出てしまいます。昨今の世界情勢の中での今の任務は昔とは違い少しの気の緩みが命取りです。第一暇であるのならご自身の艦の艦長にでも相手をしてもらえば・・・(以下略」こんな感じですでに30分以上きり先輩に言われ続けられ精神的苦痛を味わいながら私はこの説教がいつ終わるのかについて思考を移動し始めていた。この先輩一度話し出すと中々終わらないんだよなぁ・・と考えていると不意にこの船団の護衛に参加している護衛艦の最後のひとりから「きり、そのくらいにしておけ、あとやなぎ私のいる方から不審艦が多数接近中だ。どうする?」と報告がはいる。護衛艦「楡」の偽魂体のにれ先輩だ。確かこの人きり先輩と同型艦でお姉さんだったはず・・姿、性格共にクールビューティーなお姉さんって感じで私たち藤型護衛艦の中でも人気が高いことで有名で私も実は憧れている一人である。

「多数って、正確な数はわかりませんか?にれ先輩」先輩に質問しながら私は艦長がいるであろうCICに走っていた。

「私が捉えているのだけでも10はいるな、現在私の艦の乗員が警告を出しているがあれは効果ないな生体反応がない、恐らく無人艇かアンドロイドで遠隔地から操作しているのだろう。あとももの方からも接近していると思うのだがそっちのほうでは反応ないか?」

「えーと・・あっ!いました数は18、19・・全部で20隻で全部おんなじ型だよ。排水量は約1000トン規模で前部に砲が確認できるよ、やなぎちゃん」

・・・、ちょっと待って。約1000トン規模で砲がついている?それもうフリーゲートじゃないかな?おまけに数が計30隻って小国レベルなら立派な海軍としてやっていけそうじゃない。いくら不景気で世界的にも海賊などになる人が増えているからって、そんなもん持っているくらいならもう少しましなことに使いなさいよ・・・。ふたりの報告を聞いてそんな事を考えてしまったが、今は輸送船達を守ることを優先しないといけない、「きり先輩このまま輸送船と一緒に先行してください。私ともも、にれ先輩で足止めと最悪不審艦の排除をします。」「構いませんが、些か危険すぎではありませんか?」そう疑問を呈する先輩。

「確かにその通りですけど、こちらは4隻に対してあっちは30隻です。おまけにこちらの護衛している輸送船の数は大小合わせて35隻もあります。1隻でも接触を許せばかえって危険と判断しました。」そう答えて艦長にも了承を得る。

「わかりました。十分に気を付けてくださいね。にれお姉さんも頼みましたよ。」

そう言葉を交わした後、二手にわかれる。最近の輸送船は足が速いからうまく時間を稼げば逃げられるはず。


「もも、先輩、進路このまま警告を続けながら威嚇射撃を行います。また、突破をされた艦は速やかに撃沈してください。相手は無人です遠慮はいりませんよ。」

そういったのち速やかに行動に移る私たち、とはいえ相手は30隻早々に突破を許すがその艦を備え付けられた100mm単装砲で打ち抜き船足を止めさせる。

「!!、やなぎ奴らから飛翔体の発射を確認。対艦ミサイルだ!まっすぐ輸送船に向かっている。」ちょうど私たちを突破した15隻目の艦をにれ先輩が沈めたところ、その艦が沈み際にぶっ放したらしい3つの飛翔体が飛んでいくのが見えた。

んな!と思ったが刹那、まっすぐ飛んでいた3つのミサイルがはじけ飛ぶ、どうやらきり先輩が迎撃を行ったらしい。

「二人とも現時点を持って対象の艦たちの殲滅を開始します。流石にあれ危険すぎるわ・・」

そう発したのち速やかに護衛艦「柳」「桃」「楡」に搭載されているVLSのハッチが一つ開き各艦5発のSM(小型汎用誘導弾)が残った15隻の相手艦に飛んでいき、そして直撃する。あと余談だけどこのミサイルアメリカ製じゃなくて完全国産品だからそこはあしからず。

そんな感じで沈んでいく相手艦を見て一安心して気を抜いているところを突然、

「!!!、やなぎちゃん危ない!よけてーー!!」と悲痛な声でももが叫ぶ。どうやら直撃する前に相手が1発撃っていたようだった。おまけに半分海面に沈みながら進んでいたのも災いしたらしい。

やべ・・・、と思った直後護衛艦「柳」は大きな横揺れに見舞われていた。

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