思惑〈大韓朝鮮帝国編〉
これで主要な国は登場しました。開戦はもう少しかかりそうです・・・
大韓朝鮮帝国 某所 地下ドック
照明の光が輝き続けてもなお薄暗い印象をぬぐいきれないこの場所になぜか一人の女性、李 善恵大統領が周りにいる現場の担当者と話をしていた。
「それで、計画の進展はどのくらいなのかしら?」そう質問する大統領にたいして担当者の一人が発言しはじめる。
「宇宙戦闘艦については40隻を計画している突撃艦のうちおよそ8割の32隻が完成しており、あとは作戦を待つのみとなっています。また、この数は日本・・あっ、いえ、チョッパリの持つ全突撃艦の数をゆうに超えており、すでに我々は奴らの実力を超えております。そして、海軍の艦艇に関してもフリーゲートの建造が120隻を超えており一部は既に同盟国のところへ渡っています。」そう自身たっぷりに答えるさぞご満悦のようだ。その報告を聞いて李大統領も笑顔で「素晴らしいわ、これなら皇帝陛下もさぞお喜びになるでしょう。」という。補足しておくが今話にでた“皇帝陛下“とは、朝鮮半島がまだ2つの国に分かれていたころ北朝鮮という国で当時最高権力者として君臨していた一族の子孫である。なお、大韓朝鮮帝国内での皇帝陛下の位置づけとしては、日本の天皇陛下と同じ象徴的存在(もっとも天皇陛下と違い政治中枢への権力をもっているのだが)として敬われているが、他の世界各国からは”そんなんシラネーヨ“状態の扱いである。
あとは時が来るのを待つだけね・・・、最後に小さく呟く李大統領周りの者たちも聞こえていたのが一様にうなずく。
「大統領、艦艇に関しては我が国の世界最先端の造船技術をもってすれば問題ありませんが、陸軍の車輌や空軍の航空機またそれらを動かす資源や人員は我々では残念ながらどうしようもありません、これらの案件についてどうするのかを聞きたいのですが・・・」そのように伺う男性に対し、彼女が答える「車輌や航空機に関しては将来我々の同盟国になるためにドイツで潜んでいる同志たちが水面下で用意しているわ。人員についてはアフリカの国々からも補充されるしアンドロイドの生産も始まっている。資源もそこと中東を中心に用意しているから安心してかまわないわ。それに中国にいる同志もきたるべき作戦のために準備を始めている。今日、日本のニュースを見たでしょ既に陸・海・空だけでなく宇宙にまで私たちの力が及んでいる。あとは時が来るまでまてばいい・・」かの国では考えられないような大戦略の一部を聞かされることになった担当者たちはみな「おぉぉ」と感銘を受ける。そのまま地下ドッグを後にする一行そのなかで李大統領は密かに“元と協力してわが国へ侵略したチョッパリ達よ、昔年の恨みを今晴らしてあげるわ”と心の内で思うのであった。そして当の日本はまた自分たちに身に覚えのない歴史の大罪をかぶせられる事となった。




