Happy New Year
「今年ももう終わりだね」
女の私からしたら、対して面白くもない年末のバラエティ番組を見ながら、年上の彼に声をかける。
「そうだな」
煙草を蒸しながら彼が短く言った。
付き合って間もない頃は、もっと丁寧に接してくれたのにな…。
最近は、やっぱり冷たい。
ちょっと、いや、結構辛いのだ。泣きたい。
「私、歌番組の方見たいんだけど」
「そうか」
「…聞いてないじゃんか」
「そうだな」
「だってジャニーズがトリなんだよ」
「そうか」
まただ。冷たい。
‘‘彼が冷たくなると、終わりが近い”
って、学校の友達が言っていた。
やっぱり、私とは、本気じゃないってこと、なのかな……。
どうでもよくなってきた。
もう、どうにでもなれ。
「………大毅は、なんにもわかってない」
「そうだな」
「私がっ、どんな思いでいるかなんてわかってない…っ!」
「そうだな」
「私が年下だからっ、何回も何回もっ…!
…どんだけ不安になったかなんて、わかんないんでしょっ」
「そうだな」
「ほらまた、そうだなって、そればっかりっ…初めの頃は、もっと……」
「そうだな」
「どうせ私とは、そんなに本気じゃないんでしょっ!?ガキだって、見下してるんでしょ!そうだったらそう言ってよバカっ!」
「…。」
「なん、でっ、なんにも、言わない、のっ…」
大毅が、私の顔に手を伸ばす。
誤魔化そうたって、そうはいかないんだから。
ぷいっと顔を背ける。
でも、大毅は大きな手で、私の涙を拭った。
「…ごめん」
「謝んないでよ…」
「違う、愛香を、傷つけてたから」
「…!」
「違うんだ、俺は、愛香を嫌いになったとかじゃ、ないんだ。
好きだから、もう本気で、狂いそうなくらい好きだから、触れるのも怖いくらい、好きなんだ」
少しずつ、大毅が言葉を紡ぐ。
「私こそ、ごめんね…」
ほんとは、そんなことわかってたんだ。
でも、思い上がりなんじゃないかって、不安で。
こんなガキより、大毅にはもっと、大人な女の人が似合うんじゃないかって。
「大好きだよ…」
「俺も、つか俺のほうが」
大毅が私に口付けた。
私は素直にそれに応じた。
TVでは、ジャニーズのカウントダウンが始まる。
「あけましておめでとう、愛香。
今年も、よろしく」
そう言って大毅は私を抱きしめた。
…あたたかかった。




