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転生者ってバレたら家を追い出された・・・

「ハッピーエンドのその後」シリーズと同じ世界です。

「あぁぁ、なんてことしてんのよ!!!」

世界の何処か、

人にはたどり着けない、とある居城でのこと。

一人の女性が頭を抱えて叫んでいた。

視線の先には内側から突き破られた窓。

その横には、ついさっき殴り飛ばした己の夫の姿があった。


「だって・・・」


「だっても何もねぇよ」

起き上がりながらもブツブツと言い訳をしようとしている黒ずくめの優男に、傭兵のような姿の壮年の男がとび蹴りをかまし、再び床に沈めた。

「そうよ、お父さん。

 たった5才の末っ子を窓から放りなげるって、どういうことよ!」

今度は10歳にも満たないほどの少女が、手近にある物を次々に床に倒れた男にぶつけていく。

「私達と違ってぇ、純粋な精霊だけどぉ、まだ全然力の使い方とか知らないのよぉあの子。」

破られた窓から身を乗り出し、無理を承知で幼子の姿を探そうとしている、豊満な姿の女性。

「っていうか、親父知らなかったのか?

 あいつが転生者ってこと?」

落ちそうになっている女性の足にしがみ付き支えようとしている少年。

「・・・知ってたのか?全員?」

壮年の男の重たい攻撃を受け、少女の投げつける物を受け止めながら、男は呆然と呟いた。

それに、四人は首を縦に振ることで応えた。

その目は呆れが多大に含まれている。

「母さんが黙って見守った方が面白いって。」

「もうちょっとしたらぁ、驚かそうってぇ」

「そういえば、親父にはいわねぇ方がいいって言ってたな。

 面倒くさいからって」

「・・・今思ったんだけど、」

少女、女性、壮年の男と巡った後、少年が首を傾げながら呟いたそれに全員が動きを止め視線を向けた。

「自分が精霊だってことも知らないんじゃないか?

 昔、母さんが言ってたけど、向こうの世界って精霊いないし、

 こういう時の定番は大抵が人間らしいし。」

少年の言葉は、優男を除く全員の顔を青ざめることに成功した。

「やばぁ。大変、大変!」

「お母さん。お母さん。早く探さないと。呆けてる場合じゃないって」

「ってことは、ただの子供と同じじゃねえか。

 そんなんが人間界に放り出されるって!!」

バタバタと慌しく動き出した室内で、少女に揺り動かされ母親は正気に取り戻した。

「・・・・・・・・一応、多分、それなりの大人が転生しているみたいだから・・・・

 大抵のことは大丈夫・・・そう大丈夫・・・・。

 ウル。ちょっと、これ城中に張ってきて。」

少年に差し出されたのは、何百枚もあろうお札だった。

『闇の精霊王、立ち入り禁止』

そう書かれた札を垣間見た優男は勢い良く起き上がった。

「リリー!!!」

「『書の精霊』特性のお札よ。

 あの子が無事に帰ってくるまで、一人で反省なさい!!」

少年-ウルが札を受けとり部屋から勢いよく駆け出していく。

それを食い止めようと優男-闇の精霊王が捕まえようとするが、それは壮年の男の背後からのとび蹴りにより阻止された。

「させねぇぞ、くそ親父。」

「反省は必要ぅなものぉだよ?」


無事、闇の精霊王を城から追い出すことができた後、母と兄弟たちは手分けして、ありとあらゆる精霊王たちと連絡を取り、末っ子の所在を探し始めた。

「まぁ、でも。

 転生者は世界を自分の目で知る必要があるから、これもいい機会ってことで。

 そう思おう。うん。」

「そうだね。変化を担う転生者には知ることが何より必要ですものね。」

「あっ、光のおばさんから返事来たよ!

 おばさんとこの国の端っこに、それらしい子が出たって。」

「じゃあ、俺迎えに行ってくるわ!」

「そうだ!ウル、帰ってこなくてもいいわ。」

「えっ?どういう事だよ、母さん。」

慌てふためいていた母だったが、段々と落ち着いてきたらしい。

「そのまま、世界を見る旅してこればいいのよ。

 丁度いいってことよね。

 あんたも、そろそろ何の精霊になるのか決める時期だし、

 あの子は世界を知る必要があるし。」

「そうだな。頑張れよ、ウル。」

「遊びにぃ行くわねぇ?」

「何かあったら呼びなさいよ!」

「・・・行って来ます。」

こうなった母や兄・姉たちは意見を変えないと分かっている、末っ子が生まれるまで末っ子だった次男は大人しく城を後にすることにした。

「あっ、ちゃんと決めてこないと。

 同人誌の精霊にしちゃうんだからね!」

「それだけは絶対にヤダかんな!!!!」




異世界に転生して5年、

家にあった、たくさんの本を家族にはばれない様に読み漁り、世界についての知識を身につけようとしていたら、父親に窓から放り出された。

その時読んでいたのは、百年ほど前に起こった世界の危機に関する伝説の本。その事件の発端となった出来事の詳細が、まるで前世の乙女ゲー展開だった。つい、それが声に出ていたらしい。

「転生者だったのか」

それが父親の最後に聞いた言葉だった。

いくつかの本には転生者を厭う話なんて乗っていなかったが、もしかして転生者は嫌われる世界だったのか?

まぁいい。

父親以外の母や兄姉たちはとても優しかったが、いまさら戻るのも怖いし、戻りかた分からないし、このまま一人で頑張って生きていこう。

そんな小説も読んだことあるし、

まぁ何とか頑張るさ!!


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