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傭兵幻想記  作者: アロン
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異変?ゾンビ大発生

時間と言うのは早くそして様々なものに化ける万能なものだ。傷も治す薬にもなり様々なことに慣れさせる経験にもなる、そして瞬きをするような速度で過ぎていく。ほんの少し怖い顔をした青年、紫苑は幻想郷という異世界に迷い込んだ外来人という存在だった。だがそれも今では少し前の話。もう彼が来てからもうすぐ一月という時間が立っている。

彼が降り立ったのはその幻想郷のそばにある地底…そこの地底を管理する場所である地霊殿という場所で暮らしている。彼の仕事はそこに来る雑務をこなすことだった。

既に15個の雑務をこなし地底にも彼のことが認められ始めていた。祭りも近く本格的に櫓などが組まれだした地底。だが今日の依頼はいつもとはほんの少し雰囲気が変わっていた。




紫苑の左手に持った銀色の刃が煌き目の前の人間…いや人間だったものの頭部に大きな傷をつける。本来ならば血が噴き出していたのあろう。だがそれは無かった。なぜなら


「ったく…B級ホラー映画じゃあるまいしなんでゾンビ退治なんてやらなきゃならねぇんだか」

「にゃはは。たまにあるんだよね怨霊が死体に取り付いて動き出すこと」


悪態をついている紫苑の横でお燐苦笑を浮かべそういっていた。お燐は既に数十人を倒したのかお燐の前方にはたくさんの焦げた穴の開いた死体があった。

だが紫苑も負けているわけではない。銃を使っていないため数自体はそこまでないがそれでも普通の人間では倒すのすら苦労するゾンビもどきの様な何かを一人で10数体は倒している。すべて体術やナイフでである


「怪我してねぇか?お燐」

「あたいは大丈夫だよ。それにしてもお空からきいてたけど…お兄さんホントに強いね。正直守りながら戦わないとダメだと思ってたよ」

「向かってくるしか脳がねぇゾンビども程度ならもんだいねぇよ…これで依頼完了か?」

「うーん…もう少し調べてみようか。こんなに異様発生したことなんて今まで無かったから」


お燐は少し考えるような素振りを見せた後こういった。

彼らがどんな依頼を受けたのか。それを語るには少し前にさかのぼる必要がある。





----------------その日の朝----------------------------------



紫苑はいつものように朝起き食事を食べた。今日は当番じゃなかったからかなり気が楽だった。


「うにゅ…」

「あ?どうしたんだよお空んな暗い顔してお前らしくもない」

「あ!…よかったぁ。シオンちゃんといたぁ…」

「うおっ!!どうしたどうした」


食事の為に食堂のような場所へ行ったとたんにいきなり涙目のお空に出会い顔を見られたとたん号泣されたのだ。紫苑には何がなんだかわからない。

お空はエグッエグッと泣きながらもゆっくり理由を説明してくれた。


「あのね…今日夢の中でシオンが死んじゃった…なんでかわからないけど…すごいたくさんの血の中で横になってて…助けたかったのに触れなくて…それで!」

「あぁ…変な夢見ちまったのか……」

「だから…もし出てこなかったらどうしようって思って…よかったぁ…」

「ったくバカだなお前は」

「ば、バカってもー!」


苦笑しながらそんなことを言う紫苑、真っ赤な目と顔のまま怒るお空そんな二人を見ている二人の人物がいた


「仲がいいのはいいけれど早くしてくれないかしら?冷めてしまうわよ?」

「そうそう、せっかくあたいが作ったんだからあったかいうちに食べてほしいんだけどな?」

「「……ごめん」」


おいかけっこをやめ二人同時に席に着く。そして食事が始まった。

(旨い…)

そう思える見事な朝食だった

食事が終わり依頼を見に行こうとするとさとりに呼び止められた。


「シオン少しいいかしら?」

「なんだ?俺今から依頼見に行くつもりだったんだが」

「そのことよ…少し困ったことになってね。お燐と一緒に調査に出てくれないかしら?」

「にゃ?あたいもですか?」


お燐は意外といった表情で答えるがさとりは表情も変えないまま言葉を続ける。


「ええ…怨霊付きはお燐知ってるでしょう?」

「あぁ…また沸いたんですか?」

「?怨霊付きってなんだ?」

「えぇっと…簡単に言えば動く死体?」

「…ゾンビか」

「そのゾンビって言うのは何かわからないけれど…間違っていないと思うわ」


紫苑が考えていたのは動く死体が生きている人間の肉を食って食われた人間がまたゾンビになると言った有名なアレである。違いとしては襲われても死ぬだけでその怨霊付きにはならないらしいと言った程度で食われることもあるらしい


「お燐がいるから大丈夫だとは思うけれど…もし危なかったら引き返してきて頂戴ね。本来普通の人間には一匹でも荷が重い相手だから」

「了解…ま、死なないように帰ってくるさ」

「あたいがいるしよほどのことがない限り大丈夫ですよ!」


紫苑にとって死ぬような戦場と言うのは慣れっこだったりするがそれでも死ぬのが怖いと言う感情はある。だけど流石にゾンビに負けるとは思っていない。それに今回は仲間もいる。いざとなれば撤退すれば良い


「二人とも気をつけてね!シオンは特にだよ。絶対夢見たいになっちゃ…嫌だ…」

「ったく大げさだっての、んな心配しなくてもちゃんと帰ってくるっての」

「だって…今日夢で…」


二人の前でお空が涙目で立っていた。夢せいでかなり心配になっているようだ。紫苑は苦笑しながらお空の頭を優しく撫でそしてそのまま目を見つめる


「だから大丈夫だっての。お土産でも買ってきてやるからお空も仕事がんばれよ」

「…うん」

「よし!…んじゃいこうぜお燐」

「はぁ…なんかお兄さんからものすごい死亡フラグ感じるのはあたいだけなのかな…行ってきます」


紫苑を猫車に乗せお燐は空に飛び出した。これなら紫苑も共に飛べるのだ。

そして空を飛ぶこと数分、かなり広い坑道のような場所にたどり着いた。


「確かここでその怨霊付きをみたんだっけ?」

「のはずだ……あそこにふらふらといるしな」


紫苑が指をさした方向をお燐が見るその方向には白目を向き血の気が完全にない人間が暴れていた。岩を殴るたびにその岩が形を変えていることからかなりのパワーがありまた痛みも感じていないと言った感じだ。


「あぁ…うん典型的な怨霊つきだね…さっさと倒しちゃおうか」


お燐は手を伸ばすしそのまま光弾を放った。その光弾は怨霊付きに爆着。受けたその怨霊付きは胴体に大きな穴を開け倒れた

(うお!?なんだこりゃ)

勿論紫苑はここに来てから戦闘した経験など一回…しかも魔力もない下級妖怪だったので弾幕を見るのは初めてだったのだ。驚いた顔をした紫苑を見てお燐はしばらく不思議そうな顔をしてから納得したような顔をした


「あたいの弾幕を見ておどろいたの?」

「あたりまえだろ、そんなもの撃てるのかお燐」

「さとり様やお空やこいし様も出せるけどね…それにこの世界だとこれがスポーツみたいなものだから」

「スポーツ?」

「そう、厄介事が起こったときの解決方”弾幕ごっこ”。せっかくだし覚えておく?」


そういうとお燐は語り始めた。

弾幕ごっこというのはこの弾幕を放ち美しさを競うものらしい。もちろん威力は今のような倒すための弾よりかなり落とすから死ぬ恐れはない。そしてその時に使う普通の弾幕の他にスペルカード…つまり必殺技のようなものが必要となり開始前に何枚使うか宣言しそれを全て破ることができれば勝利となる。


「へぇ…なんか一回見てみたいなそれ。綺麗なんだろ?」

「勿論!じゃあ一回あたいと…!!」


いきなりお燐が驚愕した顔を浮かべた。釣られるように後ろを振り返ると…ざっと数十人はいるだろうかという数の怨霊付きが後ろの道に群がっていた


「そ、そんな何であんなに」

「それだけじゃねぇぞ…正面の道からもワラワラ出てきたな」

「え!?」


紫苑の言うとおりさっき倒した怨霊付きの後ろからも10数体の怨霊付きが湧き出ていた。そしてさっき倒れた怨霊付きもまた動き出していた。つまり二人は完全に挟まれ退路を断たれた形となる


「そんなこんなにいっぺんに出るなんて…!お兄さんあたいの後ろに」

「行ったらこのまま数で押し切られるぞ?…数多いほうは任せる。悔しいがお燐のが強いしな…あっちは俺が片付けるからよ」


守ろうと前に立ったお燐をよけ紫苑は10数体の方へと向き直る。その目は今までのよう青年の目から相手を射抜く獣の目になっていた。


「そ、そんなただの人間があんな数に勝てるわけが…!」

「倒せないわけじゃないんだろ?…弱点は?」

「そ、そうだけど……悩んでる余裕もないか。普通の人間が死ぬ程度のダメージで止まるよ!…お兄さんの死体運ぶなんてごめんだからね」

「肝に銘じとく…んじゃさくっと終わらせようぜ」


瞬間紫苑は左手でナイフを引き抜き風のような速度で逆手に構えたまま十数対の群れに切り込んでいった。

(力ガ強くて痛みを感じないだけ…なら簡単だ)

一番手前にいた相手が迎撃しようと殴りかかるがそれは空を切り直後に銀の剣線が首元に吸い込まれる。その攻撃は的確にあいての首元を刈り取り動脈の位置に的確に大きな傷跡を作る。そしてナイフを持たない右方向から迫る二匹目を片手と足で投げ飛ばした。綺麗に回転し受身も取れないまま怨霊付きは頭から岩場に激突。一匹目が崩れ落ちるタイミングとほとんど同じタイミングで二匹目の激突し岩から何かが詰まった物が砕けちる音がした。


「これで二匹…後10匹と少しって所か」


ナイフクルクルと手元で遊ばせながら迫ってくる怨霊付きの群れを見やる。


「「「グアァァァァア!!!」」」

「…死んだんならおとなしく寝てろっての」


そして元の逆手に持ち直しその群れに切り込んでいった。


「うわ…お空から聞いてたけど…それ以上じゃん」


お燐はその様子を後ろから見ていた。彼女もお空からとっても強い!と聞かされていたが聞いていたのは妖怪…それもまだ人の型になりきれていない下級の者を倒しただけ。まだ人間の範疇に収まる程度だと思っていた。

だが弾幕の類を使わず怨霊付きを一瞬で二匹沈め、まだかなりの余裕を見せ手遊びをするその姿は姿は身体能力的にも精神的に普通の人間の範疇を超えているように写った。今ですら怨霊付きの群れの中を空も飛ばずに駆け回り相手をかく乱している。隙を見せた固体は次の瞬間には銀の一閃に切り裂かれるか岩場に叩きつけられている。


「魔力の類はないみたいだけど…動きだけならあたいよりすごいかも…っとぉ。こっちもボーっとはしていられないんだった。呪精「ゾンビフェアリー」!」


攻撃してきた相手の爪を回避しお燐もカードを取り出し宣言する。その瞬間ゾンビ…のような格好をした妖精が集まりお燐を含めた全員で弾幕を放ち始める。見た目こそは美しいの一言だろう。だがその威力は暴力的で迫り来る者を次々となぎ倒していく。


「へえアレがか…確かに綺麗だだし…アレならお燐一人でもこれいけたかも…な!!」


後ろで展開された弾幕にほんの少し見入ったがすぐさま迫ってくる怨霊付きに反転、そのまま回し蹴りを叩き込む。直撃した顎がゆがみ首からは何かがへし折れる音が響くそして蹴りをまともに受けた相手は吹き飛び壁に激突。そのままピクリとも動かなくなった…。






「ったく…B級ホラー映画じゃあるまいしなんでゾンビ退治なんてやらなきゃならねぇんだか」

「にゃはは。たまにあるんだよね怨霊が死体に取り付いて動き出すこと」


しばらくの間戦いつづけた。時間にして数分程度だろう。お燐は数十人を倒し前方にはたくさんの焦げた穴の開いた死体がいくつも転がっていた。

一方紫苑も10数体は倒している。その証明に切られた傷跡や打撃、衝撃で歪に歪んだ死体が転がっている


「怪我してねぇか?お燐」

「あたいは大丈夫だよ。それにしてもお空からきいてたけど…お兄さんホントに強いね。正直守りながら戦わないとダメだと思ってたよ」

「向かってくるしか脳がねぇゾンビども程度ならもんだいねぇよ…これで依頼完了か?」

「うーん…もう少し調べてみようか。こんなに異様発生したことなんて今まで無かったから」


二人は更に奥に進んだが何かを見つけることは無かった。結局原因はわからないまま今まで撃ちもらしていたのが偶然集まった。と言う結論になり二人は地霊殿へと帰っていった。


残りの武装

銃一丁 弾(14/15 15/15) 手榴弾1/1 コンバットナイフ


依頼状況

ゾンビ退治 完了?


成功状況 成功/依頼数

17/18



今回は読んでいただきありがとうございました!オリジナルの設定が出てきたので解説を


エネミー:怨霊付き

死体に怨霊が取り付き暴走したもの。人間としての枷を外しておりそれゆえにかなりの力を持っている。だが肉体は死んでいるので血を流すことも泣ければ痛みも感じない。

そのため一撃で致命傷を与えないとダメなので普通の人間は武器が合ってもそうそう倒せるものではない。

簡単なイメージ的には筋力が強くなって50m6秒くらいで猛ダッシュしてくるゾンビを想像してください。


こんな敵です。

ちなみに紫苑は人間の中ではかなり高スペックです…まぁ妖怪と比べるとアレですが下級くらいなら一蹴できる程度には強いです

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