宴会、そして翌日へ
俺はずっと一人だった。生まれすぐ親に捨てられ施設によって育てられてた。自分でも理解はしていた。カッとなっちゃうとどうしても止まれないし…しかも無駄に力が強い。そのせいか同年代や年下は怖がって近寄らないし高学年は逆に俺を追い込んでくる。だから今日もたった一人でブランコに乗っているとお姉さんが話しかけてきた。
その顔は…逆行なのかよく見えない。
「○○君?どうしたの?こんなところで」
その人は俺よりすこし年上…セーラー服を着てるからきっと10歳くらい年上なんだと思う。
とても綺麗な黒い髪をした人だった
「…ブランコのってるんだよみてわからないの?」
「いや一人だったからさ。他の子と混じってくればいいのになって。ほら向こうのほうで皆サッカーやって」
「俺が行くと皆嫌な顔するから行きたくない」
俺が話したくないって空気を出しながら答えるとそっかと呟いてお姉さんは手に持ったかばんを置いて
「じゃあ私と遊ぼう!ちょうど暇だったしねー。どう?」
「…いいよ。どうせお姉さんも俺のこと怖いんでしょ?」
そういうとお姉さんは全然と答えた
「え……お姉さん俺が怖くないの?だって俺たくさんの子怪我させちゃって…」
「それでも私がなるって決まって無いじゃん」
お姉さんは近寄ってその俺の頭を少し乱暴にグシャグシャと撫でた。
そんなことされたことは初めてで…恥ずかしくてくすぐったくて…ちょっぴりうれしかった。
「ほら、行こう?」
そう言って手を伸ばしてきた。俺はその手を………
「ねぇ起きてよシオンー」
「んぅ…?あれここは…?」
「やっと起きた…おはようシオン」
紫苑が目を覚ますとベッドの横にはお空が座っていた。料理が終わってるってことは多分まだそんなに寝ていないはずだ。
「悪い悪いわざわざ起こしに来てくれたのか。ありがとな」
紫苑はまだ半分寝ぼけておりなんとなくでお空の頭を撫でた
「うにゅ…」
やはり元動物だからなのかお空は気持ち良さそうに目を細めていた。紫苑は少ししてから手を離し立ち上がった
「っとんじゃ行くか。せっかく用意してくれたんだもんな…楽しみにしてるぜ」
「あ…うん!あたしとお燐とさとり様の自信作なんだから!」
「3人で作ったのか」
「当然!だって紫苑の歓迎…あ!………うぅ…」
「……俺は何も聞いてねぇよ。冷めちまう前に行こうぜ」
紫苑は苦笑し軽くお空の頭をポンポンとしさっさと向かう
「うにゅ~……!シオン待ってー!!」
その後ろをお空が急いで追いかけていった
「悪い、待たせたな」
部屋に入るとかなり色々な食事や酒が置いてあった。
3人でこれを作ったのだから驚きだ。そして静かに座るさとりとグデッとしているお燐の姿がそこにはあった。
「二人とも遅いよ。あたいお腹すいちゃったよ」
「アハハ、ごめんお燐」
「…………見なかったことにしておきますね」
おそらくさとりにはお空がばらしてしまったことをばれているがそれを隠してくれていた。
全員が席に着き、宴会が始まった。その会はとても楽しいものだった。少なくとも紫苑が経験したものの中では一番だと言えるくらい。途中からお酒が回ったお空が危うく自然に帰り窓から飛び立とうとしたり、こいしによってお酒を飲まされさとりがダウンしたりといったトラブルが起こったがここではよくあることらしい。収集がつきお空とさとりは眠りこいしは気がついたら消えていてこの部屋には紫苑とお燐の両者だけが起きて残っていた。
「ごめんねお兄さんいきなりこんな大層な事やっちゃって。迷惑じゃなかった?」
「全然、楽しませてもらったぜ」
この二人は途中もどちらかと言うと収集役になっていたためあまり酒を飲んではいない。だからこそこうしてまだ起きて酒を飲んでいるのだろう。
「そりゃよかった……お兄さんはあたいたちをどう思う?」
「あ?…あって初日で何言ってんだ?」
「あぁ、そういう意味じゃなくてさ…この地底の妖怪たちの事」
「地底にしか行った事ねぇからなんともいえねぇけど…別に普通なんじゃないか?」
「そっか…」
お燐は少しうれしそうな悲しそうな顔をし喋りだした
「この地底はさ…地上から忌み嫌われて追い出された妖怪たちが集まる場所なんだ。もちろんあたいもお空もさとり様もこいし様も…だからお空どうかわからなかったけど…少なくともあたいはシオンをの話を聞いたとき少し怖かった…また何か言われるんじゃないかって」
「……」
目を合わせないまま二人は会話をしていた。
「だけど…さとり様と会話してここに住むって聞いたとき同じくらいうれしかった。あたいたちに一緒に住む人が増えるなんてそうそうあるものじゃないから」
「まだただの居候だけどな俺は」
「にゃはは……多分だけどあたいだけじゃなくてお空もさとり様もこいし様もうれしかったんだと思う。特にお空は前から人間の友達欲しいって言っててから」
「へぇ、そうだったのか」
「うん。よく言ってた…お兄さんこれからよろしく」
「おう。こちらこそ…な」
二人並びそんな他愛のない会話を続ける。
いくらかの時間が過ぎ二人にも酒が少し回りそろそろ解散しようかとなったのは話し始めて1時間程度後の事だった。二人でお空とさとりを部屋に運んだときにお燐がそうそうと言い
「明日お兄さんの当番だからがんばってね」
「え”」
「じゃ、お休みー」
紫苑は一人取り残される酒は一気に引き急に現実がのしかかってきたような感覚さえ覚える
「……一食くらいなんとかなるよな…うん」
誰に言うでもなくポツリと呟き紫苑は部屋に帰っていく。家族と言う響きと明日当番と言う響きが同時に響きむず痒いような重いような複雑な感情が彼を包んでいた。
紫苑は腕時計を見る。合っているかわからないが今はこれしか時間を知る手段がないのだ。その時計は短い針が2の位置を示していた。
「寝る時間はほとんどねぇか…はぁ」
アラームを6時に合わせ部屋に向かう。長かった一日もこれで終わり、明日からは摩訶不思議な世界のいつもとほんの少し変わった生活が始まる。
だけどそれはそれで面白かった。明日に少しの期待と大きな不安を感じながら紫苑は自分の部屋に向かった。
残りの武装
銃一丁 弾(14/15 15/15) 手榴弾1/1 コンバットナイフ
依頼状況
翌日の食事当番
成功状況
1/2
ここまで読んでいただきありがとうございました!週二回最新で進めていこうかと思います。一応安定最新できるようにネタのストックはためてあるんですが追いつかれそう…orz