その終わりはあまりにも突然で
あれからしばらくの時間が…といっても一週間程度の時間が経った。帰らないわけにも行かないから途中で顔だけ出しに地底に戻って紅魔館に帰ってくるといったことを繰り返していた。
フランもあれ以降非常に落ち着いていて暴走をすることも無く平和に暮している。それにレミリアとも始めはどうなるかと思ったがフランから歩み寄り何事も無く無事に済んだ…まぁそこで泣き顔を見せたレミリアを俺とフランでからかったのは不味かったな流石に吸血鬼の弾幕はしゃれにならないくらい痛かった…。あまり長い間あけてくことも出来ねぇし姉とも元に戻ったし俺は地底に帰ることにした。久しぶりに家に帰る気分で帰ったが……
「…で、こうなったわけね」
さとりの部屋にいるのは俺とさとりそして…。
「だって紫苑勝手にいなくなっちゃったんだもん」
そういってプーと頬を膨らましたフランが何故かいた。いや何故かっていうのはおかしな話か、なにせ最初からつけられてたんだからな…流石に蝙蝠はわかんねぇぞ俺でも。
「もう…なんだかんだでシオンもよく問題ごとを持ち込むわよね…ああ、別に責めてるわけじゃないわよ、人が多いのは楽しいし…だからといってどんどん呼ぶのは勘弁してちょうだいね本来はここ妖怪立ち入り禁止だから」
いやホントさとりと話すのは楽でいいな声に出さなくてもすむ。
「私は良くてもフランドールが良くないから声には出しなさい。ほら困惑してるじゃない」
「なら声出す余裕をくれ。んなちょっとじゃだせねぇ」
「それもそうよね…じゃあもう少しゆっくりにしましょうか」
「??」
「ああ、心読めるんだよこいつ…それでどうするんだこの後」
「どうするっていっても…もう今日はここに泊まっていってもらうしかないんじゃないかしら?」
「…そうだよなやっぱり」
「え!いいの!!やったー!!」
地底の妖怪が地上に出ることはよほどの例…それこそ俺の依頼でもない限り禁止だ。そしてまだフランを一人でふらふらさせるわけにも行かないしだからと言って飛べない俺がフランを家まで送るのは危険すぎる。つまるところ俺のどうするって言うのは泊めても良いかって姑息な言い回しだったんだが…よくあわせてくれたなさとり。
俺が少しさとりを見ると少しだけ得意げな顔を返してきた。伊達にこんな場所の主をやってるわけじゃないって事か。
「部屋はどうするんだよ。まぁないことはないだろうけどまた前みたいに片付けやら用意やらしなきゃいけないだろうしさっさと布団やら探しに行かないとな」
「え?シオンと同じ部屋でいいんじゃない?元々あなた以外二人部屋なのにあなただけ一人だし」
「は!?」 「良いの!!」
まてまて、確かに子供っちゃ子供だろうがそれは色々とまずい気がするんだが…いや俺がってより…。
俺の頭の中に出てくるのは槍振り回して追いかけてくる吸血鬼。そして時を止めて先回りを繰り返すメイドと言う名の騎士…やめたほうがいいとは思うが。フランは完全に乗り気だ。こんな風に乗られたら断ることも出来ねぇよな…おいさとり、心は読めなくても表情でなんとなくはわかんだぞこら心底楽しんでんじゃねぇ!
俺の頭の中の光景を見て笑いを抑えてるさとりはとりあえず置いておいて。
「…とりあえず散歩ついでにここの案内してくるな」
「え、ええ気をつけてらっしゃいね」
「いってきまーす」
俺たちはとりあえずブラブラと散歩にでも出ることにした…最後の最後まで笑い押さえてやがって夜飯にわさびでも盛り込んでやろうかあの主。そんなこっそりとした復讐計画を考えていると前からは良く見知った顔が二人歩いてくる。
「おーい、仕事終わったのか?」
「にゃ?シオンどうしたのそんな子供連れて」
「ああ、ちょっと地上で知り合ってさ。訳あって今日はこっちに泊まる事になった」
「ふーんそうなんだ」
「わぁー!綺麗な羽!ねぇねぇ!何の羽なの??」
「えっとねえっとね…あれ?なんだろう。というか貴女達誰?」
「あ、あたしは霊烏路空だよ!」
「あたいは火焔猫燐。お燐でいいよ」
「私はフラン!」
なんとなくこんな気がしていたが…すぐに馴染んだな。
俺は少しだけ嬉しさも感じていた俗に言う父性本能って奴なのか何なのか、フランが他の奴と仲良く話しているのを見るとなんとなく嬉しくなったのだ。
「お空、お燐」
「なーにシオン」 「なんだい?」
「フランに地底の案内してくれねぇか。流石に俺も地上から来てすぐだから疲れててよ」
「わかった!いこっかフラン!」
「うん!」
俺はそのまま二人を見送った。俺は一人廊下に取り残される。まだこっちに来て一年経っていないのにずいぶん多くのことを経験した気がする。しかもそのほとんどが楽しいことだから驚きだよな。俺は最初こっちに来た時に地獄だと勘違いしていた、だがとんでもないじゃねぇか。ここはそれどころか天国だ…案外そうなのかもしれねぇな。俺は一人の廊下でそんなことを考え部屋へと戻ろうとした…。
モトニモドレオマエハソッチニイルベキジャナイオマエノクルベキハコッチダロウ
「っ!?」
片言な俺の声がした。後ろでも前でも上でもない…どこからかはわからないが確かに俺の声が。
モドレモドレソウデナイナラバソノセカイヲオマエノイルベキセカイニカエテシマエシノセカイニカエテシマエコロセコロセコロセ
「黙れよ!なんだよおま!!っがぁ!!!」
その声がした瞬間何時も痛むからだの節々が猛烈に痛み出した。何時もとは非にならない様な激痛だ…それだけじゃねぇなんだよこれ。
体のあちこちに丸い黒い斑点が浮かび上がりそれからまるであふれ出すように赤黒い何かが走っている。広がれば広がるだけ痛みの範囲は増していき意識が遠のく。耐え切れず俺はその場にひざを着いてしまう、それでも何かに焼かれているような強烈な痛みが体を襲っていた。
「あれー?シオンー?なにやってんの?」
こいしがいつもの調子で語りかけてくる。何考えてんだこいつは今普通じゃねぇくらいわかんだろ…。
俺の中である声が響いたそれはあの時に神様から言われた言葉だった。”自分を見失っちゃいけないよ”。俺は…本当にひざをついているのか?
その割には地面の感覚も何もしないただ体を引き裂き焼き切るような痛みが襲っているだけ…そして今この手に感じたのは俺が何時もに握りなれている物……?
こいしの顔が驚愕に変わっていたそれは俺の今の様子を見たわけじゃないそれはそうだこいしの目ではさっきまで俺は普通だった…驚愕にゆがんだのは俺が苦しみだしたからじゃない。俺が…
「…」
俺が銃をこいしに向けていたからだ。いつの間に俺こんなことに…!!
「避け…ろ。避けろ!こいしー!!」
何時もと同じように感じる強烈な銃の衝撃と同時に俺の意識が消えていくのを感じた。
「それでそれで。おじいさん。その傭兵さんはその後どうなったの??」
片腕義足の老人が子供達に物語を語っていた。
子供達にその老人が話していたのはありきたりなファンタジーの話だ。ある時一人の傭兵が妖怪ばかりの世界にいってきたお話。
笑顔を浮かべてから話を続きを話し始めた




