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傭兵幻想記  作者: アロン
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大きな図書館の泥棒騒ぎ

少し話をし紫苑はこの館のメイドとその場へ向かっていた。


「……頭痛くなってきた」

「どうされましたか?」


横を歩いている白い髪をし青い目の少女のメイド…完璧で瀟洒なメイド十六夜咲夜は紫苑にたずねて来た。

紫苑は別に体調が悪いわけではない、流石に頭が追いついていなかったのだ。確かに外観もあわせ小さいということはない紅魔館だったが。どうも前からおかしかった。あまりに広すぎるのだ。外から見た限り精々客室が30あるかないか程度だったにもかかわらずすでに100近い部屋を通り過ぎたのにまだたどり着いていない。


「なぁ咲夜さん。なんでここはこんなに広いんだ?どう考えても広さとあっていないだろ」

「私が空間を大きくしていますので」

「んな当然のことですみたいな感じで言うな!…確か時止めたりもしてたし」


あの後聞いたのだが紫苑は庭からワープしたわけではなく時を止められている間に移動させられていたらしい。紫苑はその最中のことを想像するととてつもなくシュールなのであまり考えないようにしていた。

歩いている最中ふと地下へ下りる階段があり下を見ると星のような模様と良くわからない文字が描かれた扉がその先に見えた。


「紫苑さま。あのドアには今は近寄らないほうがよろしいかと思います。危険ですので」

「危険って…まぁわかったけどよ」

「お分かりいただけて光栄です」


冷静そうに聞こえたがどこか感情を無理やり押し殺したような咲夜に少しの疑問を感じていたがそんなに深くまで関われるような間柄でもなくあきらめた。

そうこうしているうちに図書室に着いた。だがそこは明らかに図書室と呼ぶには規格外だった。今まで通ったどの部屋よりも広く、高い天井。そしてその場所を何百近い本棚とそれを埋め尽くす数千はあろうかという本。外の世界に存在する図書館でも個々まで大規模なものはそうそう存在しないだろう。


「こりゃ…骨が折れる依頼になりそうだな」

「大丈夫ですよ。弾幕に巻き込まれなければ怪我はしないですから。それでは私はこれで戻りますね。お仕事が終わったらまたお迎えに参ります」


それだけ言い残すと咲夜は一瞬にして姿を消した。時を止めたから消えたと理解するしかなかったがどうにもまだ実感がわかずここは相当やばい所なんだろうと気を引き締めた。進もうとした時ガタガタと音がして3冊の本が宙に浮き…一斉に弾を吐き出してきた。


「うげ!うそだろ!?」


本を起点に回転するように弾幕を吐き出す。3冊の本。狙おうにも本自体も移動している上に弾で本がしっかりと見えない。


「そういや…本格的な弾幕と対峙すんのって初めてだよな…」


弾をしっかりと見る。確かにかなりの量の弾が飛来してきているが空間がないわけではない、ほんの少しの空間に自分自身も飛び込み弾を回避する。


「まず一冊!」


回避しその弾のばら撒かれている大本ともいえるほど濃い地点に向かって引き金を引く。途中何個かの段核と接触したがそれらを打ち消しながら本を貫いた。

一冊が光を放ち他の弾幕をかき消す。その隙をつき二冊を撃とうとしたが二冊はばらばらの方向に飛来。さっきより濃い弾幕を放ちながら取り囲んだ。


「一冊倒すと強くなりますってか…ったく。依頼主様には会ったら一言言ってやるからな」


赤い大きな弾をこちらに向かって打ち出しながら同色の小粒の弾を連続で放つ正面の赤い本。

青いレーザーを滅茶苦茶に打ちまくる後ろの青い本。

紫苑は弾を回避しレーザーをよけ後ろに向かって銃弾を放つ。パリンという音とともに本の周辺にさっきまでは見えなかった透明の膜が剥がれ落ちる


「もう一発!」


追撃で打ち込んだ弾は今度こそ正確に打ち抜かれ地面に落下した。予想通り正面の本は大人しくなり強い光を放つと最初のとあわせて3冊を集めくるくると回りだした。

真ん中に白い光が集まったかと思ったら前にみた魔理沙のマスタースパークのようなレーザーをいきなり打ち出してきた。威力はあれほどはないがインターバルが少ないうえにその間に周囲の本がものすごい勢いで弾を打ち出してくるので近寄ることもできない。だが紫苑を悩ませるのはそれ自体ではなくさっきもあったバリアだ。今度のはとんでもなく強固で一発では壊れない。


「機関砲に近寄るより難しいぞこれ…でもちかよらねぇと抜けねぇよなあのバリアは…」


あの本はレーザーを打つ瞬間にコンマ数秒だが弾幕が止む時間がある。その時間の間に少しずつ前進する。レーザーが真横を通り過ぎ細かい弾幕が近寄らせまいと一気に弾を吐き出す。

ある程度近寄った時レーザー発射に合わせ飛行装置を起動し一気に飛び立った。目指すは本の真上そこから一気に本に向かって突進する。

細かい弾が紫苑に殺到するが全てを銃弾で打ち消す。弾切れを起こしたもののもう目の前に本が見えた。


「ラスト!」


ナイフを突き刺す。シャーという布を引き裂くような音がしたのち本を中心をナイフが貫通した。チカチカと点滅していたが本はそのまま燃え上がり塵となって消えた。


「やっと片付いた…これで奥に」


ふと前を見ると次々と本棚から飛び出すさっきの本たち。さっきみたいに3冊ではなく30冊は浮遊している。


「…嘘だろ」


その全てが光をまとい始めたときに良くわからない言葉が聞こえその本たちは光を失い本棚に帰っていった。その声の主は紫の長い髪をしネグリジェのようなダブダブのローブに三日月の装飾品が付いた帽子を被った女の子だった


「……何泥棒対策のトラップに貴方がかかっているのよ」

「知るか!いきなり出てきたのに対策できねぇよ!!」

「ふーん…そのなんか曲がったやつに反応したのかもしれないわね」

「曲がった……銃?」

「他にもあなたの服からなにからかにまでありえないくらい強い対魔力を感じるわ…かなりここから遠い世界線から来たのね」

「一人で納得してんなよ…発言的にあんたがパチュリー・ノーレッジだよな?」

「ええ、なんか騒がしいから来て見たらこの様よ。とんだ傭兵が来たわね」


ふぅとため息を吐いた後まぁいいわといって紫苑が壊した本を補充しだした。


「なぁ、さっき言ってた対魔力ってなんだ?」

「魔法に対する強さよ。たとえばこの本だって本来物理攻撃なんかじゃ倒せないわよ」

「なるほどな…さっきの弾幕打ち消せたのもそれか」

「弾幕を?…それはそうだけれどそれを的確に狙い打つ貴方の身体能力のほうがびっくりよ」


声色はまったく変わらないままこちらも振り向かずパチュリーがそういった。そんなパチュリーの少し向こう。赤い髪をして黒い服を着た小さな悪魔の羽根の生えた少女が本棚に半分ほど隠れながらこっちをみていた


「なぁ、あいつは?」

「そういえば言ってなかったわね。こぁいらっしゃい」

「は、はいです!」


少しギクシャクしながらこっちに歩いてきた。なんというかロボットとかそういった表現が良く合う歩き方だ。その少女はこっちまでくるとパチュリーの陰に隠れてしまった


「…こぁ」

「は、はい!!え、えっと。私は小悪魔でひゅ!」

「落ち着け…俺は紫苑だ」

「はぁ…ごめんなさいね。彼女召還したばかりでまだ貴方みたいに男にあったことないから怖がってるみたい…小悪魔って言うのは種族名だからたいていみんなこぁって呼んでるわ」


そう思って考えれば確かに怖いのかもしれない。普通位といっても紫苑だって元傭兵で軍人として動けるくらいの体のつくりはしている。身長だって10cmくらいは差があるだろう。紫苑はひざをついて目線を小悪魔より下げてから


「ええっと…こぁでいいのか?」

「え?…は、はい」

「今日だけだろうけどよろしくな」

「!…は、はい!」


紫苑の行動で少しは小悪魔の気分も軽くはなっただろう。といってもそれは身長がどうのではなくこんな子供だましのことを大真面目にやるからなのかもしれないが。結局泥棒は中々現れずどんどん時間は過ぎもうすぐ夜を迎えようかという時間になってしまった。


「…はぁ、良くこんな難しいの読めるな」

「そう?簡単なほうを渡したつもりだったけれど」

「十分難しいっての」

「あ、紅茶です」

「ありがとさん小悪魔」


その間図書館というのを生かし本を読んですごしていたが彼は別に頭が良いわけではないのでここにおいてある本は中々頭に入らなかった。

彼女の言うとおり簡単な部類に入るというドアの付近のエリアの本でもこれなのだからきっと奥のほうの本などもっと難しいのだろう。そろそろレミリアの未来予知失敗かと思ったときにドアが開き誰かが入ってきた。その誰かは


「おお、魔理沙じゃねぇか。どうしたんだ?」

「お?シオンじゃんかお前こそどうしたんだよ!」


前の仕事のときに出会いそれなりに仲良くなった二人が話している。だが後ろの二人は逆に少し臨戦態勢を整えているように見えた


「…シオン仕事よ」

「?泥棒なんてどこにもいないぞ?」

「そうなんだぜ。私は死ぬまで借りてるだけだ」


どうだ!と言わんばかりに胸を張っているが紫苑でも理解できた。こいつが泥棒なんだなと。


「……あああ…もしかしてシオンも今回は防衛に回るのか?」

「……一応な」

「こ、今回は出直すんだぜ!!流石に3人同時相手なんてできないからな!!」

「あ!こら待ちなさい!こぁ、紫苑おいかけて!!」

「はい!まちなさーい!!」

「お、おう!」


二人で追跡をかけたものの魔理沙に追いつくことができず結局逃げられてしまった。

一応当初の予定通り本自体は守れたものの本との戦闘や追跡でバッテリーを使い切ってしまったためこの日の夜は紅魔館でお世話になることとなった。

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