高貴?なる吸血鬼からの招待状
「貴方一体何をやったの?」
紫苑が朝起きてさとりとあった瞬間顔も見ず最初に言われたのがこの一言だった。
「何って…何もやってないぞ?」
「何もやってないならこんなの来るわけないじゃない」
さとりが紫苑に手渡したのは一通の手紙。だがそこに書かれていたのは日本語ではなく英語だった
「…?紅魔館?どこだそれ?」
「やっぱりあそこね…大方来なかったらメイド長がお迎えに来たんでしょうど…って貴方それ読めるの?」
「?ああ。向こうでも結構使うことの多い言語だったからな一応覚えておいた」
「シオンは料理以外はハイスペックよねホント…それで?なんて書いてあったの?」
「うーん、ちょっと待ってくれ」
シオンは手紙の封を切って中を見た。そこも英語で書いてありかなりきれいな字だなと紫苑ですら思えるような出来だった。
「えーっと…今から4日後そこの魔法使いから仕事が来るからそれを受けろみたいな内容だな」
「あら?それだけなの?」
「わかりやすく噛み砕けばな」
「……なるほど仕事内容まで書いてあったわけね」
「そういうこと。このレミリア・スカーレットってのは未来予知でもできるのか?」
「近いことはね…そう仕事内容は泥棒を追い返せと」
「俺からしたらある意味本業の内容だな」
少し笑ってから紫苑はさとりとともに朝食へと向かった。
その四日後書いてある通りその館のパチュリー・ノーレッジから泥棒撃退の仕事が入り紫苑は館へ向かった
「…さすが吸血鬼の館って感じだな」
ついた先は真っ赤な外装をした西洋風の館。さとりからいけばわかると言われていたが確かにとてつもなく目に付いた。
吸血鬼。ここに来たばかりの頃の紫苑ならばおそらく名前などから妖艶な美女といったイメージを抱いていたかもしれないが今の紫苑ならばおそらく違うと予測できた。というより予測するだけ無駄だとわかっていた。
「……勝手に入るわけにもいかねぇしな。悪いけど起きてくれないか?」
紫苑が話しかけたのはその門の真横に立っていた緑のチャイナ服?のようなものを見た赤い髪の少女だ。立ったままどうやって寝ているのかという不思議を持ちながらもとても気持ちよさそうに寝ているのでどうにも起こすのがためらわれていた。
「うへへ、今日はご馳走………ハッ!寝てませんからね!!」
「誤魔化せるか!!」
さっきまでしっかり寝ていた少女はまるで最初から警備をしていましたとばかりにしっかりと立っている。だが寝言まで聞いている紫苑がいまさら信じるわけもない。
「ここのパチュリー・ノーレッジって奴から俺の事聞いてるはずなんだが知ってるか?」
「え?ええっと……ああ!貴方があの便利屋さん!」
「ま、まぁそんなところだ…通っても良いか?」
「はいはい、どうぞお通りください」
「いいえ、その必要はないですわ」
いつの間にか文字通り真横に出現していたメイド服に銀色の髪をした女性がそう続いた。紫苑は驚く暇もなく気がついたら…中に移動していた。
その場所はバルコニーのような場所で一人の十数歳ぐらいの少女が紅茶を飲んでいた。その少女は薄いピンクの服に同色の帽子、そして背中には蝙蝠の羽が生えていた
「?????」
「驚かせてしまって申し訳ありません。説明するのも手間でしたしなにより…主をお待たせするわけにもいきませんので」
「ああ。咲夜良い仕事だ…貴様が今噂の地底の何でも屋か」
紅茶を飲んだままこちらを見もせず言う姿はあまり迷いなくこう思えた
「…ここの主の」
「ああ、レミリア・スカーレットだ。運命どおりここにこれたな」
少し見えた横顔はニヤッと笑っているようにも見えた。
「紫苑だ。今回はよろしく頼む」
「堅苦しくするな。お前は別に私の配下でもなんでもない普通にしていろ…もっともお前が望むなら受け入れてやらんでもないが」
「運命見えてるなら」
「ああ、結果は知っているよ。残念なことだ。さて冗談はその辺にしてビジネスと行こうか。といってもここに呼んだのは完全に私の個人的な興味だ。別に意味はない…だが気に入った。仕事が終わってからも残ることを許してやろう」
「そうだな…仕事が長引いたらお願いしようか」
「フフフ、そうかそうか」
「あんたはどうなると思ってるんだ?」
「さぁ?」
レミリアはカップを置きゆっくりと振り返ったその目は全てを飲む込むような真紅だった
「運命は何で変わるかわからんさ」




