妖精鬼ごっこ
あの一件以降地底の誰かが仕事に同行するようになった。だがそれにより不都合が生じるどころかむしろ効率的に物事が進むようになった。もちろんにとりの協力も大きく弾の使用を気にせず使えるようになった事。そして何より短時間とはいえ空を飛べるようになったのは大きく効率を大きく上げていた。
だが勿論毎回簡単に終わるわけではなくたまには苦戦する時もある。
今回もそんな一つなのだろう。だが仕事自体は簡単なものだった人里に入り込んだ妖精を外に追い出してほしいといったものだった。この妖精見た目はただの元気な男の子といった感じだがかなり悪知恵が働き今も
「うにゃー!!!」
「お燐!?」
物の見事に罠にはめられたお燐が顔面から地面に突撃していた。
この様な光景は既に何度も繰り広げられている。
「待てー!!」
「アハハー逃げろ逃げろー」
逃げ回る妖精。そしてとうとう追いつめ向こうは逃げ場がない…そう思っていた。
「ねぇねぇ。後ろ後ろ」
「なに?後ろがどう、がっ!!」
振りかえった瞬間砂の詰まった袋が落ちてきて紫苑に炸裂。そのまま紫苑はふっとばされた。
「や、やってくれるじゃねぇかお前…」
「アハハー元気元気ー」
「お前俺相手に鬼ごっこ挑んだの後悔すんじゃねぇぞー!!!」
「こわーいこわーい!!」
「全然怖そうに言ってんじゃねえ!!」
「そーれトマト爆弾!!」
「ごぼ!!」
「シオン大丈夫…ニャハハハハ!!顔トマトまみれ!!」
「うるせー!!それより早く追いかけるぞ!!」
だが追いかければ追いかけるほどどんどん罠にはまっていった。
「にゃー!目がー!!」
「うわっ!なんで唐辛子の粉が降ってくんだよ!!」
「アハハ。おいでーおいでー!」
「クッソすぐに追いかけて……?今のは?」
紫苑は一瞬屋根の上にもう一人人影があるように見えたが気にする前に
「ニャー!!またたびニャー!!」
「釣られんなー!!」
それからしばらく。追いかけっこを続けたものの結局捕まえる事ができずお燐も紫苑もボロボロになっていた。
「二人ともよわいよー。僕飽きてきちゃった…」
明後日の方向を見ながらそんな事を言う妖精を前にぜいぜい息を切らしトマトやら何やらにまみれている二人
「…なぁお燐。作戦立てないか?」
「にゃ?作戦?」
「ああ…悔しいが完全に遊ばれてるぜ俺ら」
「……だねぇ」
「だからだ・・・・・・・・・・・・・」
紫苑はお燐の耳元でコソコソと話すとお燐が尻尾と耳をピーンと伸ばし二ィと笑った
「よしその作戦で行こうか」
そういうとお燐は踵を返してどこかへと走っていった。
「なぁ妖精。飽きたっていってたよな…どうだ?次は追いかけてみないか?」
「えー?また僕が勝っちゃうよー?」
「さぁ…やってみないとわかんないぜ?飽きてきたんならちょうどいいじゃねぇか。やろうぜ」
うーんと妖精はしばらく考えたのちえっへんと威張るようなポーズをとり
「しょうがない!相手になってあげよう」
「そりゃありがたいな。ルールは簡単俺に触れればお前の勝ち。んじゃいくぜ!」
と妖精が紫苑を追いかけようとした瞬間に紫苑が向ったのは逆方面でなく妖精のいる方向だった。そして妖精の手の届く瞬間に一瞬だけ飛行を使用。クルリと相手の頭上を回転しながら飛び越えていった
「ハハハ、どうしたどうした。触ってみろよ」
これは紫苑の作戦でもある。今までの流れから紫苑は妖精を性格を何となくわかっていた。こんな風に挑発じみた事をすれば
「グヌヌ!待てー!!」
勿論妖精はムキになって追いかけてくる。
しばらく逃げるふりをしながら向かった先は広い場所。村の中心の広場へと向かっていった紫苑がたどり着き広場に妖精が足を踏み入れた瞬間。その妖精を中心にゾンビフェアリーが一斉に現れそのまま捕まえた
「ま、なんとか作戦通りか。おつかれさんお燐」
「ニャッハハハあたいにかかればこの程度簡単さ」
「ひ、卑怯だぞー!!」
「ばーか。先に卑怯なの仕掛けてきたのはそっちだろ…もう鬼ごっこ終わりだし出てこいよ」
紫苑は流石に怪しいと思っていた。罠はほとんどが後出し。そしてあの屋根の上に居た人影、それからかんがえがつくのは協力者の存在。終わったのを確認したのかそっくりな妖精がもう一匹物陰から出てきた。
「むぅ。また妨害するつもりだったのにー。そっちのお姉ちゃんが邪魔するからできなかった」
「あたいはそれをやるって話だったからねー」
「ま、今回は俺たちの勝ちだ…まったく。悪戯もほどほどにしねぇと次はこんなんじゃすまなくなるぞ」
この妖精たちを外に出してほしいと言われたのもこの妖精たち(といっても入れ替わりだったのもあり一人だと思われていた)があまりに悪戯をするからということであった
「えーだったおもしろいんだもん」
「えーじゃない。わ か っ た な ?」
「「は、はい」」
「よし!んじゃ今回は許してやる。疲れただろうしなんか甘いもんでも食べてこうぜ」
「おー!」「兄ちゃんありがとー!」
「お燐も行くだろ?」
「にゃ?いいのかい?」
「だめな理由がないだろ。んじゃ行こう、っ!!」
歩きだそうとした時に紫苑は胸を抑え一瞬うめいた。
「ちょ。大丈夫かい!?」
「ああ…結構前からあるんだよなこれ…まぁ前に怪我ついでに見てもらったけど何ともないし大丈夫じゃないか?」
「そうだとはおもうけど…」
「ま、早く行こうぜもう治ったしさ」
そういうと紫苑はそのままさくさくと進んでいった。お燐は少し不安に思いながらも後を追いかけるのだった。
みなさんあけましておめでとうございました。早くなるとは何処へ行ったのかと言いたくなるぐらいの大遅刻もうしわけありませんorz
一応ネタのストックと時間の確保は終わったので最初くらいのペースに戻せる…はず?




