異世界そして襲撃
今から少し先の未来。
ボサボサの黒い髪に少し怖く見えるがまぁどこにでもいそうな日本人青年である彼は林の中腰を下ろしていた。こんな戦争が起こっているような今の時代ではなく一昔前・・・2000数年なら普通の大学生をやっていそうな青年は傭兵という真逆のような職業をやっている。
「あーあ。下手やっちまったな」
迷彩服のジャケットの前を外し風通しをよくする。右手には軽くカスタムした前から使っている旧時代の銃。左手には故障した通信機を持っている。
テロリストのメンバーが林に逃げ込んだから捕獲しろ…という依頼を受けて林に行った。しかし奥にはアジトがあり逃げ帰るときに失敗、今は追われている。青年は腰のポーチを探る。弾はマガジン1つ、今銃に入れてあるのも合わせて30発、そしてコンバットナイフに。
「……これが最終兵器ってのも泣けるな」
手榴弾がひとつ…おそらくこれが現状の最終兵器なのだろう。
こんな少ない装備でここから安全地帯まで戻れるわけがない。せめて逃げるときに弾切れ起こしてすててきたマシンガンがあれば何とかなったかもしれないな…。
そんなことを考えながらはぁとため息を吐き立ち上がった。意を決し立ち上がったとき足音が聞こえた。音のほうにいたのは敵軍の兵士。青年にマシンガンをつき付け何かを叫んでいる
(しまった!)
そう思ったときにはもう手遅れだった。その兵士のマシンガンから破裂音と光がきらめき。青年はは反射的に目をつぶってしまった。そんな青年をを無慈悲に弾丸は襲い強力な痛みと衝撃を受け青年は血の海に沈む……
はずだった。青年は周りがおかしいことに気がついた。周囲の騒音も何もかもが消えてしまったのだ。
(痛みを感じるまでもなく逝ったのか?)
そんなことを考えてしまうくらい急激な変化だった。
青年がゆっくりと目を開けると……目の前に広がっていたのは溶岩か何かがあるのか明るい道が続く洞窟だった。
「……は?」
当たり前だが絶句した。さっきまでいたのは林の中。今いるのは木どころか土もない洞窟の中、あまりに真逆なのだ。死んで地獄に落ちたと考えるほうがまだ合点がいくほどの変化。だが青年は傭兵という仕事上覚悟はしていたのか少し考えるそぶりを見せた後その道を明るいほうへ進んでいくことにした。
少し広い場所に出た、行き止まりでそこにはかなりの数の人骨が散らばっている。食いちぎられたように見える骨を青年は気のせいだと思うことにした。他には洞穴…といっても奥まで見える程度の小さなものがひとつだけだった。
はずれか…そう思って戻ろうとすると
「生きてる生き物みーつけたぁぁ」
上から獲物を見つけたとでも言いたいような女性の声が聞こえた。壁を見るとそこには一人の女性が張り付いていた。白いYシャツのような服を着た紫の目をした薄い緑の長い髪をした女。だが腰からは蠍の尻尾が、両手が蠍の鋏にみたいになっている。そんな人間とは似てもつかない何かがそこに張り付いていた……頭に羽飾りをつけているのはおしゃれか何かなのだろうか?
「なんだよ、あんた地獄の処刑人ってやつか?」
腰にはこちらに来る前と同じくガンやナイフ、手榴弾に弾の入ったポーチがある…だが弾に限りがある以上青年としても消耗せずに終わらせたい
「ちがうわよぉ私はここに住んでる妖怪、ウフフ久しぶりのにんげんたのしみだわぁさいきんは死体ばっかりだったものぉ」
その蠍女が壁を蹴って青年の正面に降り立つ。
「…そうかよ、ったく地獄ってのはなんだ。ゲームみたいにボス倒して進んでってラスボスに閻魔様でもいる場所だったのかよ」
青年がその蠍女に向き直る。蠍女はニンマリと笑った後青年に直進してきた。
かなり早い…がかなり単純な直進攻撃だ。青年は右から迫る腕の鋏を難なくよけ左の鋏が来る前に軸足を払う。軽く半回転して蠍女は地面に倒れる。そして
蠍女が起き上がった時には首元にナイフを突きつけていた
「ほら、もう終わりだ……殺しはしねぇからさっさと消えろ」
青年がもっとも得意とする無力化の方法。これで弾も減らずにすんだ。
そのままナイフを離して固まった蠍女を放置して戻ろうとした。
「あ、危ない!!」
道の先…というより上から声が聞こえた。女の子の声だ。
(なんで上から?)
だが青年はすぐに後ろに注意を向けた。こんな蠍女が這っている世界だ。気にするより後ろの脅威を気にしたほうがいいのだろう。後ろから走り寄る音が迫る。
「せっかく逃がしたのに…向かってくんなよ」
銃を引き抜き後ろを振り返りトリガーを引く…破裂音が鳴り響きその音が鳴ると同時に蠍女の頭の羽飾りの羽の飾りがパラパラと落ちていく。
青年の腕が悪く外してしまったわけではない。なぜならその銃口はしっかりとその羽飾りがあった場所を狙っている、青年は狙ってその羽飾りを撃ちぬいたのだ
「次は当てるぞ…?」
次は素人目にもわかる位しっかりと額に照準を合わせる。今引き金を引けば確実に蠍女の額に風穴が開くだろう。蠍女は引きつった笑顔で待った待った!と両手を上げた
「もうやり合う気はないわよぉ…ちぇっせっかくチャンスだったのにぃ」
とだけ言うとノソノソと巣穴?に帰っていった
「サンキューな、助かったぜ」
青年は上を向いて少女に礼を言う。上を見上げるとわかるのだが上に道があった。そこにはたしかに光が漏れ出している。そこには黒い髪を大きな緑のリボンで結んだ赤い瞳の少女が笑顔で手をブンブン振っていた。
なんとなく釣られて青年もも振り返す……予想していた通り普通じゃあなかった。黒い羽とか胸元にある赤い目みたいな何かとかどう考えても少女にはついていないもののはずだ。さらに左足の周りにはなんか光球がくるくると回っている…色々とツッコミどころしかないがそれを青年は飲み込む。それよりも重要な確認があるからだ。
青年を襲ったのは異形だった。そして同じように彼女もさっきの蠍女に比べれば人間らしいがどちらかといえば異形に分類される。
「貴方強いんだね!あのまま食べられちゃうと思った」
とまったく襲うそぶりもない笑顔で空を飛んで降りてきた。青年は固まってしまった。普通空を生身で飛ぶなど考えられないから。
「…は?空を飛んで…?」
彼女は青年の前に降り立つと頭の上にはてなマークを浮かび上がらせた後閃いた!といった表情をして笑顔でこういった
「あたしは霊烏路空だよ!あなたは?」
色々と驚化されているが青年はひとつだけわかった。とりあえず彼女に自分を食う気持ちがないこと。流石にこれで後で襲われたら大した演技だ…
そんなことを考えながら銃をしまい答え返す。
「あぁ俺は…紫苑だよ。」
青年…紫苑はあまりこの名前が好きではない。なんとなく花の名前というのは小恥ずかしいのだ。
「そっか!シオンだね。よろしくねシオン!!。ところでどうしてシオンはここに来たの?」
「あぁ…それは」
完全に空主体で話は進んでいく。
青年はここにきた経緯を話したすぐに信じられるとは思わなかったし勿論馬鹿にされるとも思っていたが
「???シオンは幽霊なの??」
予想の斜め上の答えが返ってきた
「ではないと信じたいがな…ってここは地獄ってわけじゃないのか?」
「えっとここは地霊殿だよ!」
「どこだよ…地獄ではないとすると…わけがわかんねぇぞ」
「地霊殿!」
「いや…だからその地霊殿ってなんだって…」
「地霊殿は地霊殿だよ!!…あれ?」
空がキョトンとした表情をした。キョトンとしたいのは俺のほうだとおもいながら待っていると空はあ、と言葉を漏らした。
「……もしかして、シオン、ガイライジン?」
「外来人?」
「うん、なんか外の世界から来た人ってさとり様が言ってた!見つけたら……どうしろって言ってたっけ?」
空はうんうん悩みながらパッと顔を上げて
「思い出した!つれて来いだった気がする!」
「あぁ…てことは空についていけばいいのか?」
「多分…あ、それとあたしはお空でいいよ。そのほうが慣れてるから」
と笑顔で言った…そしてまた空を飛ぼうとしたところで紫苑が呼びかけた
「待て待て!!俺飛べないぞ!!」
「え?そうなの??…うーんどうしよう…」
「……歩けば良いんじゃないのか?」
「あ!それもそうだね」
と言って着陸する。
(空飛ぶ理由聞こうと思ってたけど…なんかもうどうでも良いや……ここは色々と狂った世界だってことはわかった。はぁ…)
紫苑がため息をついて横をチラッと見るとどうしたの?と暢気な笑顔でお空が言ってきた。まぁ…主人はまともな奴だと良いんだがな。そう思いながら二人は道を歩いていった。
残りの武装
銃一丁 弾(14/15 15/15) 手榴弾1/1 コンバットナイフ
今回は見ていただきありがとうございました!。
まだまだやり始めたばかりなので下手な文章だと思いますがこれからもよろしくお願いいたしますorz
もし感想などありましたら送ってくださると作者が泣いて喜びます。