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⑥話 慶應

挿絵(By みてみん)


 時は西暦1866年9月24日、日本の夜空に現れた真っ黒に赤ずむ月。

この時代忌むべき象徴、月食。

日本はこれから、幕末と呼ばれる混沌の深場へと落ち込んでいく。


 その夜空、真っ黒な月に近づいていく衛星、デプス。

当時、地球の芸術に惹かれ、皆が嫌がる遠く離れたデプス乗艦を志願した。当時配属4年目の一兵卒、僕の名はボトムBノック。

配属先は希望の情報調査部署ではなく、整備士。

ドローンや、ほぼ出番のないコンバットスーツをメンテナンス、ヒマでしょうがない仕事。


しかし昨日は忙しかった。というのが船内で3件も暴動が起こったせいで、ドローンバルキーが大活躍した。

船内で一日にバルキーが5機も稼働したのは初めてである。メンテナンス作業でバタバタ、体はクタクタ。

暴動とはいえ、ただのケンカが原因だが、昨日のはいつもと違った。

ケガが酷く、死人数が多すぎたのだ。理由は電磁ナイフ、パーム(てのひら)ガンが使われたこと。船内で武器が流通していたことが問題であった。

原因は解決せず、調査中である。


ラ「そろそろ最接近だから戦闘態勢全解放しとくわよ。一応ね。」

 彼女は整備士長のラバーJ。動物園みたいな所には似つかわしくなく、色香が噴き出すような妖艶な女性。言い寄る奴が居ないのは、腕っぷしが強いため。

整備の腕はもちろん、メカを熟知しているのでバトルスーツ乗りとしてもA級らしい。ラッキーな事に、上司であり僕の彼女だ。


B「了。ドローンAI起動、コンバットスーツ主電源完了です。」

上司なので仕事中はもちろん敬語。


もしもの話だが、有事体制に入ると戦闘ドローン【バルキー】、コンバットスーツ【リザード】、合わせて100機以上が一斉出動可能である。


しかし毎度の事ながらリザードのパイロットは誰も準備していない。何よりグラブ艦長が全く仕事をしない。

全て部下任せで、性格は極悪。ギジエ星での戦闘で大活躍をした戦士だが、味方も殺し過ぎて本国が扱いに困り、デプスに飛ばされた。

噂では、ここでも何人かに手をかけている。

月食の警戒態勢で動いているのは整備部署だけだ。


M「姉キ、ハッチ開くんか?」

 沈静部隊長のMJはラバーJの妹、この頃はまだ整備士である。

ラ「一応、ね。」

「キュウウィーーン…」カタパルトのハッチが開かれる。


「艦内アナウンス、10分後に交差ポイント通過、各所警戒態勢。」

後はブースに戻り、いつも通り静かな数分を過ごすだけだ。と思ったら、窓の向こうでふと何かが動いた気がした。

ハッチの最奥、バルキーの格納エリアの方。

宇宙服を着たままだし、見に行ってみるか。


B「ラバーJ、バルキー格納エリア奥ハッチ付近、何か動いた気がするので見てきます。」

ラ「ん、何かあったら知らせて。」


格納庫エアロックに入る。

フェイスシールド下ろし、宇宙服を起動。ドアの向こうでかすかに金属音が聞こえる。

全機フル充電なので、オートチャージャーが動くことは無い。

誰かが居るのか?


「プシューーーパシュ! エアロックカイジョ」音声が流れドアが開く。

ハッチが開いているので宇宙空間が見渡せる。赤黒い月がすぐ近くに見えて幻想的だ。

目視では見えないが、サーフェス艦が近くにいる事だろう。


景色に見惚れてさっきの金属音の事を忘れていた。

一応確認のため、最奥まで歩く。

カタパルト問題無し、オートチャージャー問題無し、格納エリアも、

あれ?バルキーの並びに空きがある。


先ほどの整備では全機あったはずだ。周りを見渡すが、見つからない。僕よりデカい機体だから、格納庫にあればすぐに見えるはず。

ロックが外れ、宇宙空間に落下したのか?


B「ラバーJ、バルキーが1機喪失している。機体番号03、すぐ調査を。」

ラ「なに、あなたはそこで待機して!マルチ通信にするわ」

 いつも落ち着いてスローなラバーJに、珍しく少し焦りが見えた。


ラ「本部、バルキー1機不明、船外かもしれない。ホッグ、03機に通信を。」

ホッグは当時からドローンパイロットである。

ホ「了。ん? AIアクセス不能、手動にも切り替えれん。位置を確認する。艦長!マルチ通信だ聞いているか? バルキー1機無くなってるぞ。」

 艦内に沈黙が走る。


5秒ほどでグラブ艦長からやっと発言、

グ「何処におるんじゃ?」

 威圧しかない太い声が、オープン通信で皆の耳に届く。


ホ「位置は、船外の3キロ先、方角mdc。速度…、あと6分後に衝突の可能性あり。サーフェスに‥」


グ「撃ち落とせや。」

ホ「そりゃ危険だ、サーフェスの(そば)で撃墜は戦争になるぞ。」


グ「ほなラバーJ、コンバットスーツで回収してこい。」

ラ「今準備してるわよ!30秒後に出動よ!」

 宇宙服で格納庫に飛び出してきたラバーJとMJ、大急ぎでバトルスーツを装着する。

M「Bノック、ボーっとしてんな!お前も着ろ。」

 パイロットが誰も準備していないせいで、なぜか僕もバトルスーツを装着する羽目になってしまった‥


次は ⑦話 接近

 サーフェス側では‥

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