③話 デプス:Depth
常夜、はるか上空に位置する衛星デプス。
現人類の科学力では、このステルス性能は見破れない。
サーフェスとは、元同じ国の種族なのだが、五千年以上続く対立、争いを繰り返している。
ただ、お互いに地球の芸術を欲しており、サスペンド条約を結んでいることで、太陽系での戦闘は禁止されている。
互いに人類の絶滅を避け、芸術向上という目的で一致している。
ここはデプス艦の操舵室、指揮系統も管理するコクピット。
「Bノック、エリア3でまた暴れとるぞ。」内監クルーからよく聞くセリフ。
B「ホッグ、バルキーを出してくれ。」
ホッグはドローンパイロット。操作チェアーからほぼ動かず食ってばかりの巨漢。彼は格闘ゲームの世界でトップランカーの栄光と実績を持つ。まあ、受刑者だが。
バルキーとは、4本足に3本の触手を持つ戦闘用ドローン。
艦内ではテーザー銃、ネットガンを装備している。
M「うちも行かなあかんかな?」
B「当たりまえだ!刑期減らしたくないならいいけどな。」
彼女は沈静部隊の隊長、メタルJ、通称MJ。とにかく素早く、そして頑丈。体術と格闘技の一番手である。しかし、看守で部隊長が犯罪者とは。
まあ、クルーの9割9分が服役中みたいなもんか。
僕の仕事は刑務官長のようなものだ。いや、飼育係か。とにかく常に暴力が付きまとう。体罰でも言う事を聞かない奴らをどう制御すればいいのか?最初は狂いそうだったがもう慣れた。
ただ前回より強い罰を与えれば、少しの時間はましになる。
僕はこの動物園みたいな船の副艦長務める、ボトムBノック。
志願してこの船に乗り込んだ訳だが、部下たちのそれとは違う。彼らは懲罰兵。いわゆる受刑者の集まりだ。
お仕置き(しごと)のため、一機と二人でエリア3へ向かう。
B「ホッグ、怪しい奴は全てテーザー銃発砲を許可する。」
ホ「了」
B「MJは、」
M「はいはい、どんどん拘束していけばええんでしょ。」
艦の大きさは日本人がよく使う表現でいうと、東京ドーム十個分。
5分ほどでエリア3の扉に到着。ロックダウンされたドアを開く際は、手加減してはいけない。教訓だ。
ホ「ロック解除。」
いつも通りホッグとMJが先行で入る。
B「ぶち殺されたくなかったら伏せろ!クソども!」
カッコ悪いことは分かっているが、ドアの手前から大声で叫ぶ。
エリア3は、デスクワーク用のオフィス。百人分のデスクにパソコンが並べられている。
このような業務エリアが20室はあるが、問題が起きるのは大半がここエリア3。
問題児を集め、他のトラブルを減らすための場所である。
クルー達にはムショと呼ばれている。船全体がそうなのだが。
「パンッ! パンッ!! ヴィィ…!」早速テーザー銃が2発撃たれる。
M「撃たれたくない奴は土下寝しろ!オラ!」
静まったところで恐る恐る部屋に入る。撃ったのはバルキーではなく、二発ともMJ。
撃たれた二人は血まみれで泡を吹きながら痙攣。
バルキーが止血処理とバイタルチェック。タンカを準備するのは僕の役目。副艦長なのに雑用扱い。
「パンッ! ヴィィ…!」
M「そこ動くな!」
もぉ~、すぐ撃つ。荷物追加。
M「ホッグ!電極はまだ抜くな! 匂うぞ。」
ホ「了」
M「Bノック気を抜くな、銃しっかり構えとけ」
痙攣する三人目の腹の下、何かが見えた。電磁ナイフの柄。
武器が流通しているのか?
この場は無事制圧したが、約百六十年前、あの時とあの人の記憶が蘇る…
次は④話 ギジエ
サーフェスとデプスの故郷。




