⑯話 発芽
Ⅾ「ここを使え。」
ポ「ヨー!コレ独房じゃねーか!」
ノ「どこでもいいょ。早く作業させろ」
ノイジーと、興味津々のポッパー、フロッグの4人で部屋へ。
電波が完全遮断できる鉛素材に囲まれている。何かあった時、ここのネットセキュリティが一番安全だ。
ノ「それじゃ、開くょ」
小型PCに6角形の金属塊を接続する。
中々開かないところを見ると、容量がかなり重そうだ。
ノ「何かおかしい。」
ノイジーがPCのキーボードを凄いスピードで叩きだす。速弾きピアノのようだ。プロンプト画面がいくつも開き、プログラムを入力していく。
皆が見守っていたが、ノイジーの額に汗が流れる。
D「何があった?」
ノ「しゃべりかけるなょ、いま戦ってる」
沈黙の中、高速タイピングの音だけが鳴り響く。
突然、PC画面が真っ暗になり、操作が不能になる。
ノイジーの手が止まる、顔を見ると汗が滝のように流れている。
そしてPC画面が動き出す。画面中央に緑の点が表示、その点が上に伸びていき、二つに割れる。葉っぱのようだ。そして右下に、茶色いウニョウニョした曲線が現れ、そのミミズのような曲線が文字になる。
「born. worm」 意味は【生まれた。ワーム】
ノ「フロッグ!パソコンを破壊するよッ!」
「パシュパシュ! バチバチ‥ジジ…」
フロッグの早撃ちで、PCが燃え上がる。
ノ「本部へ!」ノイジーが走り出す。
D「何があった?」
ノ「どうやったか分からないぃ。ハッキングされていないか調べるょ!」
本部に着いたノイジーは、メインPCに張り付く。タイピング音に、焦りと怒りが感じられる。
ノイジーの部下達も、ただ突っ立ったまま、画面を眺める。顔が引きつったまま。
ノイジーは、たまに「解放!」と小さく叫びながら、タイピングは続く。
D「おい、ITシステム部、どうなっている?」
I「はい!ノイジーさんは、ウイルスを追い込んでいます。が、抑えきれていません‥」
D「お前たちは、何故手伝わん?」
I「高度過ぎて‥邪魔になるだけです…」
いったいどのぐらい時間が経ったのだろう、体感では数時間、実際には1時間ほどか、突如ノイジーの手が止まり、なだれ込む。
D「どうなった!?」
ノ「サンっ、 ハァハァ‥」
パソコンで息切れするほど疲れ切っている。
D「状況を詳しく!」
ノ「艦システムの3割がハックされた。7割は守れたょ。」
D「俺たちが急ぎで出来る事は?」
ノ「ないょ。少し休ませて」そのまま倒れ込んだ。
D「ITシステム部、死んだ3割と生きている7割を調査しろ。急ぎだ!各部署もあらゆる機能確認を!」
なぜオフラインの接続でハッキングできたのか?
死んだ3割のシステムとはいったい何処まで?
ノイジーが気を失うまえの会話だと、すぐに危険は無さそうだ。
目を覚ますまでなるべく情報を集めるしかない。
次は ⑰話 ミミズ