⑮話 十字
取調室向こう側に入ると、入り口にバルキー、中央の頑丈な拘束チェアーにワーム。サイコ野郎がこっちをニヤついた面で見てやがる。
B「よう、来てやった、ぞ!」まずはご挨拶に一発。
きたねぇツラに鼻血がふき出し、より見苦しい。
ワ「うぐ、痛ぇやないか。ボクちゃん。」
遠慮無くもう一発。
ホ「Bノック、そのぐらいに」
バルキーがテーザーガンを構える。
B「わかったわかった。取り調べ開始する。」
少し強すぎたか、グッタリしてやがる。
B「おいっ、意識はあるか?」
ワ「ぎゃははっ!効かねえ~わ」
目を見開いた血だらけの汚ぇツラでまだふざけてきやがる。
何か目がおかしい、眼球を傷つけたか。
B「おい、目は見えてるか?」
ワ「ボクちゃんがちゃんと見えとるで~」
一瞬、身体が凍り付いた。こいつの目、十字に進化してやがる!
自分で気づいていない、いつからだ?
我々、ゲイルの民の瞳は、縦に長い。暗い谷底でよく見えるためだ。十字の瞳、間近で初めて見た。ゾッとする。
B「ホッグ、見えているか?」
ホ「何がだ?」
B「一度そっちに戻る。ドアを開けてくれ。」
ワ「なんや、びびってんのか?」
心情を見透かされているようだ。
「ロックカイジョ」
ドアが開いた。急いでこの部屋を出ようとした時、後ろでワームがつぶやく。
ワ「ほなそろそろ開始するか。」
「パンッ! ヴィィ…!」
電気ショックで痺れて動けない! テーザー銃で撃たれた?
なぜ? ホッグの操作ミスか、痺れて喋れない。
ホ「バルキーが操作不能だ!暴走している!」
バルキーがワームの拘束を解く姿を最後に、気を失った。
次は ⑯話 発芽