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8話

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「追え!絶対に逃がすな。」




大柄の黒スーツはさっきまでの言葉遣いとは一変した。他大勢の黒スーツ達も二人を追いかけ始める。




パーーーーンッ!!




分厚い風船が割れるようなけたたましい音と共に、一人の黒スーツが弾け飛んだ。あみの力だ。




「消えろ!」




あみがそう念じるとまた黒スーツが弾け飛ぶ。




「走りながらじゃ集中しきれない、あのデカいのを先にやらなきゃ。」




黒スーツ軍団は少し怯んでいるように見えるが、大柄の黒スーツが叫ぶとそれに呼応するように数が増えていく。




「…消えろっ!!」




あみが大柄の黒スーツに向けて念を放つ。衝撃波が大柄の黒スーツを襲うが、腕を前にクロスし衝撃波を受け流した。そのまま右手をあみの方向へ向けて力を放つ。




「苦しい…、頭痛い…なにこれ。」


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あみちゃんの様子がおかしい、とても苦しそうだ。俺たちは本館の入り口を駆け抜けた。駐車場まではあの長い階段。でも早く逃げないと。走りながら声を掛ける。




「エレベーター、あるけど…待ってる暇なさそうだよね…。あみちゃん、大丈夫?」




「…うん、大丈夫。早く行こう。」




階段を駆け上がる。あまりにも必死で疲れなんて感じなかった。




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大柄の黒スーツの力であみの体力が失われていく。階段を昇ることに精一杯で、消せるような集中力を保てない。黒スーツ軍団との距離がどんどん狭まり、ついに繋いだ二人の手に大柄の黒スーツが触れた。そのとたんバチンッと電気のようなものが走り、大柄の黒スーツは2~3m後ろに吹き飛ばされ、他の黒スーツを巻き添えに踊り場まで転がり落ちた。


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長い、長いよー。もう少しで車だ。どこまで追ってきてるのか、どのくらいの人数がいるのかわかんないし。言われた通り絶対に手を放さないようにしないと。あみちゃん、本当にごめん。こんなことになっちゃって。




走りながらキーロックを解除し、素早く車に乗り込んだ。階段を一気に駆け上がった二人は息切れをしている。




「あみちゃん、ま、まだ追ってきてる?」




「みんな車の窓バンバン叩いてるよ…。」




そんなに大勢追って来てたの!?エンジンをかけ、急いで車を出発させる。良かった、逃げられた。すぐにここから出来るだけ離れなくちゃ。




「車で追って来てる。」




バックミラーを確認してみるが、後ろには車はいない。




「あみちゃん、何も着いて来てないよ。」




「見えないと思うけど、お化けの車に乗って追って来てるんだって。」




んもー!どうすりゃいいのよ。そうだ、平和教に電話しよう。本部に電話して、変な平和教のお化けに追いかけられてるって説明すればなんとかしてくれるかも。




「あみちゃん、スマホ出して。平和教の本部の電話番号調べて電話してほしい。かかったら俺の耳に当てて!」




あみは自分のカバンからスマートホンを取り出し、検索し始めた。




「ここで合ってるかな。」




呼び出し音が鳴り始めたのを確認し、運転している康平の耳に当てる。




「はい、こちら平和教関東本部です。」




「もしもし!今、変な平和教の信者に追いかけられてるんです!」




「は、はい…。と、申し上げられますと…。」




「人間じゃなくて、平和教のお化けの信者です!車で追いかけられてるんです!そちらの信者なんだから、どうにか出来ないんですか!?」




「お化け??の信者ですか….」




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電話の向こうから、電話口の男性の他に甲高い女の声が漏れている。




「きゃはははは!無理無理、そいつらなんかにどうにか出来るわけないじゃん!無駄だよ、無駄!」


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「左様ですか…それでしたらこちらにいる職員皆でご祈願させていただきますね。」




「そういうのじゃなくて、今すぐやめろって言ってほしいんですよ!」




「さめちゃん、だめだよ。女の人がこいつらに言っても無駄だって楽しそうに笑ってる。」




すぐに電話を切って運転に集中する。とにかく逃げなきゃ。




「あみちゃん、体調は大丈夫?さっき本当につらそうだったけど。」




「いきなり頭が痛くなってきてさ、今はもう大丈夫。ありがとう。てゆか、追ってくるのやめたっぽいね。」




「まじで!?よかったぁ…。」




本当にほっとした。今度こそ逃げ切った。疲れたよ、どこかで休憩しよう。




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あみの心の中に直接語り掛ける声がする。




「力は入れておいた。必ず迎えに行く。」




「…さっきの黒スーツの声だ…。」


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