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27話

「どうした、 思い出したのか?」


「…なんであんな男に人生捧げたんだろ!!ありえない!!でも、本当に好きだった…。」


「照勤は私を対等に扱ってくれる唯一の僧侶だった。皆私のことを恐れるが、照勤だけは違った。私に物怖じせず、すぐ食って掛かってくる。沢山言い合いもしたが照勤がいなければ新勝寺は廃寺になっていたかもしれぬ。」


「まあ、あいつと出会えなかったら私は街角で野垂れ死にしていたかもしれない。拾ってもらえたことには感謝しているけど…。」


「照勤と上手くいっていなかったのか?私は寺に居る時の照勤のことしか知らぬ。何があったかはわからぬが許してはもらえぬか?」


「今は、厳しいですね!!」


「ではまたなぜ一緒にいるのだ?」


「そんなのわからないよ!ていうか、私が今一緒にいるのはさめちゃんだから!あんな男と一緒にしないで!さめちゃんは本当に優しくて、あいつみたいに裏表有るような性格じゃない!」


「そうか。では今の照勤をしっかりと信じるんだな。」


「信じる…か…。」

-----


護摩炊きが終わり僧侶たちが撤収していく。


「アチャさんがもう泣くなだって。あとまだ迷いがあるから迷いを捨てろって言ってたよ。」


「泣いちゃダメ、迷いを捨てろ…よし、もうこれから絶対泣かない!…でも迷いってなんだ。ずっと考えてるけどわからない。」


レンタカーを返却し、いつも通り一緒に居られる時間までは一緒にいる。普通に夜中まで一緒にいることが多くなった。あみちゃんも数珠を買ったので、一緒に居る時は俺が握り続けた。ただのブレスレットより数珠の方が効き目有りそうじゃない?


「毎日夜中まで一緒にいるけど、お家大丈夫なの?心配されてない?」


「さめちゃんと会う前からこんな生活ずっとだったから。毎日朝から仕事に行って夜中に帰って来てた。子供たちにはさみしい思いさせてると思う。だから一緒に居られる時はとことん何でもしてあげたいし、かまってあげたい。お金で苦労は絶対させたくないの。」


「それならいいけど…。今度子供たちも連れて新勝寺行こうよ!」


「ほんとに!?子供たちドライブ好きだから喜ぶと思うよ。」


「あとは…旦那さんは?」


「さあ、何してるんだろうね。完全に仮面夫婦だから。あいつはぷりとのこと一回もだっこしたこともない男だよ。ぷりともお父さんじゃなくておじさんって呼んでる。」


「でも結婚しているわけだし、これじゃはた目から見たら不倫してるように見えちゃうかなって…。」


「…そうだよね、さめちゃんといられる時は安心できるからちょっと浮かれてたかも、ごめんね!」


「いやいや!そういうわけじゃなくて!こっちこそごめん、こんな目にあわせちゃって。でも俺絶対諦めないから。どうにか出来るまで二人で頑張って行こう!」


「うん、そうだね。ありがとう。」


-----

「そんなわけないだろ。お前はバカか。そのうちどうせすぐ逃げる。逃げないわけがない。お前といても不幸になるだけ。早く解放してやれ。毎日つらい思いをさせてかわいそうだと思わないのか?早く解放してやれ、早く解放してやれ、早く解放しろ!」


あみの頭に響いてくる声。毎日何十回何百回も言われるこの声。

-----


「あみちゃん?どうしたの?大丈夫?」


「…あっ、ごめん、だいじょぶだいじょぶ!」

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