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23話

昨日は乗れなかったケーブルカーを下車し、少し山道を歩くと大山寺だ。この時点で結界があるのかベムとよしえさんは着いて来ていないらしいが、ババアだけは10m離れたぐらいのところを着いてくる。


大山寺に到着し、お堂の中へ入る。さすがのババアでもお堂の入り口から中へは入って来ない。


中では丁度護摩炊きが行われていた。


-----

「良く来たな。」


護摩炊きの炎の上をあぐらをかいたまま宙に浮いている。その姿は新勝寺の不動明王よりほんの少し薄いが真っ黒な肌をし、両手には同じように剣と縄を持っている。


「なんて良からぬ者を引き連れて来たもんだ。」


そうあみに話かけるとシュンと消え、5秒後ぐらいに同じ場所へ帰ってきた。


「外に居た婆さんは消しておいた。だがこれで終わることはない。」

-----


「さめちゃん!ババア消してくれたって!!」


「まじで!?本当に助かります。良かったぁ。」


「でもこれで終わるわけじゃないって…。」


「…。」


「多分あのババアは分身なんだと思う。力がありそうなのに色がちょっと薄すぎる…本体は違う所に居る気がする。」


-----

「あの、さめちゃんに力をあげることって出来ますか?」


「新勝寺の不動から話は聞いている。お前らが来るだろうと。出来る限りのことはしてやるよ。護摩炊きが終わったら私の前まで来い。」


「あと、ついでに私にも力くれることって出来ないですか?」


「すまないが力を授けることは出来ない。お前はまったく修行を積んでいない。」


「そうですか…。(さめちゃんだって修行なんかしてないじゃん!!)」

-----


「力くれるって!終わったら仏像の前まで来いって言ってる。」


護摩炊きが終わり、仏像の前までやってきた。手を合わせて一心不乱にお願いする。


「(助けてください!力をください!絶対に諦めません!)」


自然と涙が溢れてくる。それだけ必死だし不安なんだろう…。


涙で歪んだ視界に白い湯気のようなものが漂うのが見え始めた。こんな体験初めてだ。今力をくれているからなのかな。


「さめちゃん、終わったって。」


そうなんだ。ありがとうございます。これでまたあいつらに対抗出来るようになったのかな。まぁ、何も感じないけど…。


-----

「もし、少しいいか。」


「あ、はい。なんですか?」


「お前らも持っているその四角くて薄いやつはなんなんだ。ここの来る人たちは皆持っていて、それを俺らのほうにすぐ向けてくる。」


「それってスマホのことですかね?」


あみがスマホを手に取ると不動明王は近づき画面を除き始めた。


「これって離れた人と話したり、写真を撮ったり、ゲームで遊んだり出来るんですよ。」


「おおお、だからか。俺たちを絵にするためにその四角いのをすぐ向けてくるのだな。それはどこで手に入れた?」

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またあみちゃんが動かない。


「あみちゃんどうしたの??」


「大山さんがスマホ欲しいんだって。どこで売ってるとか色々説明してあげてた。」


大山さん…ああ、大山寺の不動明王だから大山さんか!仏様がスマホって…。


-----

「ここは静かで空気も良くてとても良いところだが、お参りに来てくれる人に挨拶することぐらいしかやることがない。」


「スマホがあればいい暇つぶしになると思いますよ。」


「俺がスマホを手に入れたら、使い方を教えてくれ。」


「え、直接来るのはあまり出来ないけど…。」


あみは自分の体からピョンと抜け出して見せた。


「私体抜けられるんで、また遊びに来るね。」


「生きている人間と話をするのは楽しいものだな。待っているぞ。」

-----


俺らは大山寺を後にした。

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