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12話

「さめちゃん、後ろのおばちゃんがさっきからブツブツ言ってるんだよね…え、あなたが欲しいって何回も言ってる。」


「ブッッ!噴出させないでよ。それどういうことよ。ああ、平和教に欲しいってことでしょ。」


「違うみたい、さめちゃんが好きなんだって。さめちゃんを見つめる目が乙女だもん。」


意味わからん、お化けに好かれるって。しかもおばさん。


「あのおばさんさ、ずっと気になってたんだけどあれだよあれ、熟年女優の神田川よしえに顔がそっくりなんだよね。」


「誰それ、全然知らない。」


それからおばさんのお化けはよしえさんと呼ばれることになる。顔が似ているだけだが、本人はそう呼ばれることを何も気にしていないようだ。


誕生日会の時間が近づき、ファミレスを後にした。奴らは電柱1つ分ぐらいの距離を開けてやはり着いてきているらしい。


会場は小さな個人経営のお店で、あみちゃんの家族はお得意さんのようだ。着いたのは俺たちが最後みたいであみちゃんのお母さん、お子さんの小学5年生長男ホクトくん、3年生長女のミサキちゃん、そしてお誕生日の次男のタカトくん。お友達も数人揃っていた。旦那さんは…やっぱりいないんだ。


「初めまして、吉田さんと同じところで働いている鮫島です。」


「私何回も見たことあるよ!朝買い物行ってるもん。今日は来てくれてありがとうね。」


明るく返答してくれる、とてもお若く見える元気なお母さんの久美子さんだ。


沢山の食事と、子供たちが沢山集まって皆とても楽しそうだが、外には常に黒スーツとよしえさんが見張っているとあみちゃん。


明日からどうしたらいいんだろう…そんなことばかり考えてしまい正直誕生日パーティどころではない。


「本当に変なことに巻き込んじゃってごめんね。」


「あんなところに行こうって誘ったのは俺だし、完全に俺に責任があるから…。」


二人は絶望したくなる気持ちを抑えながら、子供たちがお誕生日会を楽しめるように全力で務める。康平はその間にも自分のブレスレットを強く握りしめ続けた。


その帰り道。


「これ、ずっと握っておいたから。明日また合流しよう。」


本当にこのブレスレッドがあいつらにちゃんと効くのか不安だ。でも今はこれしか出来ることがない。


「さめちゃん、今お父さんのお墓がある墓地を管理してるお坊さんが来てくれてる。」


「んんん??いないけど。あぁ!お化けの!?」


「うん、そう。私に何かあったんじゃないかって。嫌な予感がしたんだって。ん?さめちゃんちょっと待ってて。」


あみちゃんはあらぬ方向を見たまま立ちすくんでいる。多分お化けのお坊さんと話しているのだろうけど。


「あいつらの力はとても強い。このままじゃ私は連れていかれるって。明日墓地に来てほしいみたい。」

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