苺のショートケーキ(擬人化注意)
うつらうつらとして、私がこれから生まれる事を自覚した。
卵と砂糖を泡立てて、真っ白になり角も立つ、振るった薄力粉を入れてさっくり混ぜ、バターも入れて切るように混ぜる。
バニラエッセンスをほんの少し入れると甘い香りが広がる。
香りに包まれた生地を型に流してトントンと空気を抜く。
オーブンに入れて焼いて、ふっくら柔らかなスポンジケーキの出来上がり。
氷水をボウルに入れて、その上に砂糖とクリームを入れたボウルを乗せて角が立つまで泡立てる。
最後は生クリームとフルーツを乗せてデコレーションという時に、私の意識は本格的に芽生えはじめた。
私はケーキとして生を受けるようだが、何のケーキになるのかしら。
これから出会うフルーツと仲良くなれるかドキドキしながら様子を伺う。
しばらくすると、緑の髪に赤い瞳のあの子を見つけた。
ひと目見た瞬間、その愛らしい姿に心を奪われた。
まるで、私の心を反映するように真っ白な私の髪の毛は、あの子の瞳の赤色を宿しピンク色になった。
勇気を出して話しかけると、花のような笑顔。
甘すぎる位の生クリームにふわふわのスポンジ、甘酸っぱい苺の組み合わせは運命ではないかしら。
ショートケーキと言えば苺だと私は思っているの。
でも、苺は単体でも成り立つし、色んなスイーツと相性が良いわ。
私だけのものではないって分かっているけど、私は貴方がいないと苺のショートケーキにはなれないの。
だから苺ちゃん、どうかずっと一緒にいて。