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二人目、四話

 まったく……、何が三分間よ。どうせ、殺せるはずなんて無いのに。強がりも良いところだわ。


 黙っていてくれるならば、逆に都合が良いじゃない。さっきよりも冷静に色々と考えられそうだしね。


 多分、登り始めた場所が駄目だったのよ。いくら山を上れるからって、あの場所を選んだ私が馬鹿だったわ。何も突起がないのに、登れるはずがないのよ。


 コウは確か登れるならば登っても良いと言った。つまり、登れないとは言っていない。やっぱり、登れるんじゃないのかしら。それなら、絶対に登りやすい場所があるはず。


「ねえ、ここ、もっと明るくならないかしら? 暗くてよく見えないのよ」


『…………』


 予想はしていたけれど、コウからの返事はなかった。どうせ、黙っていると言ったので黙ってました。とか言うんでしょ。さすがに学習するわよ。


 私は、壁をできるだけ調べて突起物がないか探した。よく見えてはいないけれど、触ればわかるはず。それに、本当に後三分だったならば、そろそろ急がないと。時間なんて教えてくれないはずだし。


 ……一周した。けれど、突起物何てものはなかったし、やっぱり、登れないのかもしれない。でも、ここを登らなければ何もできない。じゃあ、登れるはずでしょう?


ガタッゴトッガタッ


「えっ! ? 」


 何かあったの? いきなりスピーカーから何かが落ちたような音がして、驚いた。もしかして、こんなアホみたいなの終わり? 私帰れるの?


 こう思ったとき、私は少しハッとした。帰れないことを信じていた。ここから出られないと言うコウを信じていた。ありえない。信じないつもりだったのに。


『すみませんね。強制終了です。まあ、後五秒しかありませんし』


「ちょっと!終わったなら早くここから出しなさいよ! 」


 私は、何とかして反論をしようとした。けれど、返事の代わりに降ってきたのは、何かのガスだった。


「ちょっと! 」


『死なないから、それでは死なないから平気ですよ。それではさよなら、木之内 愛さん』


 どんどん意識が遠退いていった。どうやら睡眠ガスらしい。眠気に逆らってどうにかしようと思ったけれど、やっぱり、ガスには勝てないらしい。何年も科学者やって来たんだから、そんなの、努力しなくてもわかったのにな。ああ、先輩、私の新作、どう使ったのかな? やっぱり、マウスで実験だよね。でも、一言だけ言って、それで勝手に持っていっちゃうのは、ひどいなぁ……。

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