表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
681/714

第六百七十八話 百折不撓(中編)



---三人称視点---


 レスシーバ平原の上空。

 しばらくはウェルガリア軍と天使軍てんしぐんの無言の睨み合いが続いてたが、

 痺れを切らした竜魔部隊のバーナック。

 また龍族を率いる飛竜に乗ったキャスパーが攻勢に転じた。


「まあいつまでもお見合いする訳にはいかないわね。

 でも天使兵も機械兵も基本的に機械仕掛けだから、

 サキュバスの魅了攻撃は、効かないのよね。

 しゃーないわね、あたしの空圧弾くうあつだんで、

 チビチビ削るしかなさそうね」


 その後は背中の翼を羽ばたかせた竜魔部隊。

 飛竜に乗ったキャスパー率いる龍族部隊。

 そしてエンドラ率いるサキュバス部隊が中距離から魔法攻撃を仕掛けた。


「我は汝。 汝は我。 我は天使エンジェル。 

 時をつかさどる時の神クロノよ! 我に力を与えたまえ! 

 ――タイム・クローズッ!!」


「我は汝。 汝は我。 我は天使エンジェル。 

 時をつかさどる時の神クロノよ! 我に力を与えたまえ! 

 ――クロノ・ダイブッ!!」


 だが天使軍も無理に前進はせず、

 中距離から天使兵が時魔法で、

 ウェルガリア軍の体感速度を下げて、

 その後にエア・バイクに乗った戦闘バイオロイド達が突撃して来た。


「ちょこまかとウザいわね! ――空圧弾ニューマティック・ボルトッ!!」


「アタシ達も女王様に続くわよっ!」


「了解よ~ん」


 エンドラの後に続くように、

 サキュバス部隊のサキュバスも様々な属性の魔法攻撃を仕掛けた。


「対魔結界を張るぞ! ――ライト・ウォール!」


「了解した。 ――ライト・ウォールッ!」


 天使兵達も慌てず、

 対魔結界や障壁バリアを張って防御に回る。


 またエア・バイクに乗った戦闘バイオロイド達は、

 エア・バイクを自動操縦モードにして、

 両腕でレーザーライフルを構えて、右指でトリガーを引く。


 次の瞬間、レーザー光線が青い射線となって、

 前方を飛ぶサキュバス部隊や竜魔、龍族部隊を射貫いぬいた。


「ぐ、ぐっぐあぁぁぁっ!」


「糞っ! あの機械兵を何とかしろっ!」


 空に機動力においては、

 エア・バイクに乗った戦闘バイオロイド達が一枚上手であった。


 ウェルガリア軍も反撃を試みるが、

 その前に銀の円盤に乗った座天使ソロネが立ちはだかった、


「ふふふっ、君たちの自由にはさせないよ。

 これから君たちに生き地獄を見せてあげよう。

 我は汝。 汝は我。 我は座天使ソロネ。 

 時をつかさどる時の神クロノよ! 我に力を与えたまえ! 

 ――クロノ・ドライバーッ!!」


 まずは時魔法クロノ・ドライバーによって、

 ソロネのの体感速度やスピード、反射神経が強化された。

 そこからソロネは、早口で呪文を唱えだした。


「――我は汝、汝は我。 我が名は座天使ソロネ。 

 我は力を求める。 偉大なる風の精霊よ、我が願いを叶えたまえ! 

 嗚呼、風よ! 全ての物を吹き払えっ!!」


 呪文が紡がれるなり、

 ソロネの周囲に膨大な魔力が生じた。

 数秒後、ソロネの周囲の大気が激しく揺れ始めた。

 ソロネは間を置かず、呪文を更に紡ぐ。


「天の覇者、風帝ふうていよ! 

 我が名は座天使ソロネ! 

 我が身を風帝ふうていに捧ぐ! 

 偉大なる風帝ふうていよ。 我に力を与えたまえ!」


 ソロネはそう言いながら、左腕を頭上に掲げた。

 攻撃する座標地点は、エンドラ達が居る地点。

 彼我の距離は凡そ500メーレル(約500メートル)。


 近距離が故に、魔法の威力は少し低めに設定。

 但し速度と範囲に関しては最大に設定。

 そして最後の呪文を大声で叫んだ。


「――メガ・サイクロンッ!!」


「ヤバい、ヤバい、マジでヤバいわっ!

 対魔結界を張れる人は全力で張って頂戴。

 張れない人は全力で逃げるのよっ!!」


 咄嗟に指示を出すエンドラ。

 だがソロネの放った強力な竜巻が周囲の物を呑み込みながら、

 エンドラ達が居る地点を中心に、

 一切の慈悲もなく、暴力的に渦巻いた。


「アァァッ! ヤバい、ヤバい、マジヤバいっ!」


「ぐあぁぁぁ……散開しろ、一カ所に留まるな!」


「超強力な竜巻攻撃かぁっ!

 飛竜イルザークよ、全力でこの場から逃げるのだ!」


 エンドラ、バーナック、キャスパー。

 魔族の三幹部がそう叫ぶが、

 逃げる間などはなく、ソロネの生み出した強力な竜巻が、

 ウェルガリア軍、またエア・バイクに乗った戦闘バイオロイドや天使兵を

 巻き添えにしながら、

 これでもか、というくらいに暴力的に渦巻いた。


 無慈悲に渦巻く竜巻。

 逃げ遅れて竜巻に呑み込まれる兵士達。

 それはまるで肉食生物の補食のようであった。


「ふふふっ! 吹き飛べ、もっと吹き飛べっ!」


 銀の円盤の上で高笑いするソロネ。

 この一撃でウェルガリア軍の空戦部隊が

 瞬く間に五百人以上の兵士が戦死及び戦闘不能状態となった。


 尚、エンドラ、バーナック、キャスパーの三幹部は、

 何とか一命は取り留めたが、

 竜巻の衝撃で全身傷だらけの状態で――


「うっ、うっ……これは逃げるしかないわっ!」


「あ、嗚呼……一度退いて態勢を整えよう」


「俺もバーナックの意見に賛成だ」と、キャスパー。


 と、全軍に後退を命じた。

 その後もソロネの強力な風魔法が続き、

 空戦においては、天使軍が圧倒的に上回り、

 制空権は天使軍が押さえる形となった。



次回の更新は2025年9月21日(日)の予定です。


ブックマーク、感想や評価はとても励みになるので、

お気に召したらポチっとお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
めちゃめちゃ真剣な戦争が展開されるなかで「ニャンニャン湖」って響きにチョット吹いた(笑) どうも。ウェルガリア愛読者です。 すごくヒリヒリする展開があって。各話での言いまわしもその展開に添えるよう…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ