第六百六十七話 ミネルバ覚醒
---三人称視点---
地上戦の残敵掃討も終わり、
ラサミス達やシモーヌ副隊長、シャルク団長も
アスラ平原に敷いた本陣へ戻っていた。
「シモーヌ副隊長、シャルク団長。
申し訳ないけど、数十分ほど時間をください。
大天使を倒したミネルバのスキルポイントの割り振りに
付き合う時間が欲しいです」
「勿論、いいわよ」
「スキルポイントは、
振れる時に割り振っておいた方がいいからな。
空戦部隊の戦況と連絡は我々に任せてくれ」
「お気遣いありがとうございます」
「いえいえ」「気にする事はないさ」
そしてラサミス達は近くの野営テントに移動した。
テントの中央にランタンがぶら下がっており、
その真下に円卓があり、
六、七人ぐらい入れる広さであった。
「とりあえずここを使おうぜ」
ラサミスの言葉に残り六人の団員も小さく頷く。
ミネルバが円卓の上座に座り、
その左隣にラサミス、右隣にメイリン。
下座は左からバルデロン、マリベーレ、ジウバルトという並びだった。
「ミネルバはポイントはいくつなんだ?」
「……120もあるわね」
「120!? す、凄いわね!」
「うん、ちょっと普通じゃありえない数字ね」
驚くメイリンに相槌を打つマリベーレ。
「確かにな、これだけポイントがあると、
一項目だけでなく、色んな項目に振った方がいいな」
「ラサミス、アタシもその考えに賛成よ。
まずは結界の項目に20振って、
能力分析と封印結界を覚えるわ」
「そうだな、今後も大天使と一騎打ちする機会は、
あると思うから、その辺に振っておくのも有りだな」
「じゃあまずは「結界」に20ポイント振るわ」
ミネルバは自分の冒険者の証を右手の指で触りながら、
スキルポイント20を「結界」の項目に割り振った。
すると10ポイントで『全職業で知力+30 』と障壁を習得。
20ポイントで「能力分析」と「封印結界」を習得した。
「うん、悪くないわね」
満足げに頷くミネルバ。
「他に振りたい項目はあるのかい?」
「ジウ、飛行魔法に15ポイント振って、
『フライ・ハイ』を覚えるつもりよ」
「あっ、それは地味に便利ですね」
「ええ、天使は基本浮遊移動だし、
持っていて損はないですよね」
と、バルデロンとジュリー。
「ええ、じゃあ15ポイント振るわ」
そして15ポイント振り、『フライ・ハイ』を習得。
これでミネルバの残りポイントは85となった。
「意外とすぐ減るものね」
「メイリン、まああれば使っちゃうものよ」
「それでミネルバ、他に振りたい項目はあるのか?」
「ラサミス、とりあえず50ポイント程、
槍術スキルに振ってみるわ。
最近じゃ飛竜に乗る事が多いけど、
今の持ちスキルは遠隔攻撃が殆どないのよねえ」
「嗚呼、確かにな。
オレも「雷炎剣」と「雷神剣」を覚えて、
戦い方の幅がかなり増えたよ」
「でしょ? 職業ギルドで竜騎士のスキル一覧表を
一通り貰ったけど、後50振れば色々覚えるのよ」
「ふうん、例えばどんなスキルを覚えるんだ?」
ラサミスの問いにミネルバが的確に答える。
「まず20振れば、帝王級の槍術スキル「ヘキサ・スキュアー」を覚えるわ。
あのレフ団長が時々使ってるでしょ?」
「嗚呼、そうだな」
相槌を打つラサミス。
「そこから30振れば、
帝王級スキルの炎属性の遠隔攻撃「龍炎波」。
そして神帝級スキルの風属性の遠隔攻撃「龍神乱舞」を覚えるわ。
これで二つの遠隔奥義を覚えられるのは大きいわ」
「風属性と炎属性の遠隔攻撃か、色々使えるな」
と、ジウバルト。
「うん、アタシも良いと思うわ」
メイリンも賛成の意を示す。
するとミネルバの決意も固まったようだ。
「皆の意見を聞けて良かったわ。
じゃあ今から槍術スキルに50ポイント振るわ」
そしてミネルバは、スキルポイント50を槍術スキルに割り振った。
それによって『槍術の攻撃力+10%アップ』、『槍装備時にちから+100』、
「ヘキサ・スキュアー」と「龍炎波」と「龍神乱舞」を習得した。
「うん、良い感じだわ」
「残りは35ポイントですね」
あえて確認するバルデロン。
「ミネルバ姉さんは後は何に振りたいの?」
「マリベーレ、後は竜騎士のパッシブスキル。
「竜の力」に振るつもりよ。
後、35振れば使役する飛竜を霊体化出来る「霊体化」。
それと「竜・召喚」を覚えるわ。
このスキルは霊体化した龍をいつでも召喚出来る能力よ。
「嗚呼、それは便利なスキルですね。
身体の大きいドラゴンをいつでも霊体化。
また召喚出来たら、何かと便利ですよね」
感心気味にそう言うジュリー。
「ええ、本当にその通りよ。
それじゃ実現化する為、スキルを振るわ」
ミネルバは、自分の冒険者の証を指で再び触りながら、
スキルポイント35を竜騎士のパッシブ・スキル『竜の力』の項目に割り振った。
すると『全職業で力+50 』を習得。
更に聖人級の職業能力「霊体化」。
帝王級の職業能力「竜・召喚」を習得した。
「良し、スキルポイントの割り振り終了よ。
取りたいスキルや能力も無事に取れたわ」
「じゃあ能力値を確認しようぜ」
「ラサミス、そうするわ」
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名前:ミネルバ・ドラグバイン
種族:竜人族♀
職業:竜騎士レベル70
能力値
力 :3783/10000
耐久力 :3865/10000
器用さ :3575/10000
敏捷 :4125/10000
知力 :1795/10000
魔力 :3255/10000
攻撃魔力:2800/10000
回復魔力:1145/10000
※他職のパッシブ・スキル込み
魔法 :疾走、アクセル、アクセル・ドライブ、
アクセル・ターン、宙返り
クイック、フライ、フライ・ハイ
サイコキネシス、念動波、アポート、
ウインド・ソード、ワール・ウインド、アーク・テンペスト
スキル :結界、対魔結界、封印結界、龍の障壁
武器スキル:ダブル・スラスト、トリプル・スラスト、
アイス・スピア、ソニック・スピア、
ヴォーパル・スラスト、ブラスト・ジャベリン
スピニング・ツイスター、ペンタ・トゥレラ、
ヘキサ・スキュアー、龍炎波、龍神乱舞
職業能力 :龍調教、ドラゴン・ビート、
ハイジャンプ、龍の戦陣、龍の鼓動、
能力分析、霊体化、竜・召喚
独創的技 :なし
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「おお、凄く成長したな。
一部の能力値もオレより上じゃんか」
と、ラサミス。
「これで空戦部隊としても活躍出来そうだな」
と、ジウバルト。
「うん、悪くないわね。
これであたしも少しは見せ場を作れそうね」
ミネルバが満足そうに頷く。
だが喜びに浸る暇もなく、
白黒の八割れの猫族の伝令で場の空気が一変した。
「お伝えしますニャン。
我が軍の空戦部隊は、敵艦の攻撃により、
大苦戦中です、ですので地上部隊も直ちに後退せよ。
とのご命令を承りましたっ!」
次回の更新は2025年8月26日(火)の予定です。
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