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第六百五十六話 苛烈な地上戦(前編)


---三人称視点---


「ラサミス、地上軍を動かすのね」


「嗚呼、ミネルバ。 空戦部隊が敵を抑えている間に、

 敵の、天使軍てんしぐんの地上部隊に叩くべきだ」


「そうね、ここでボーッとしてても、

 仕方ないわよね。 アタシはラサミスの考えに賛成よ」


 と、メイリンが賛成の意を示す。


「私は団長の意思を尊重します」


「自分もジュリー殿と同じ意見です」


「オレも同じ考えだよ」


 と、ジュリー、バルデロン、ジウバルト。


「あたしもエルフ領を蹂躙されたまま、

 大人しくしているつもりはないわ」


 珍しく語尾を強めるマリベーレ。

 エルフ族の彼女としては、やはり思うところがありそうだ。


「でも他の部隊の意見はどうするの?」


 ミネルバがそう問うと、

 ラサミスは淡々とした口調で応じた。


「他の部隊は、自主意思に任せるよ。

 オレが魔王軍に口を挟んだり、

 指揮すると魔王は別として、

 他の幹部の恨みを買う可能性があるからな」


「そうね、でもエルフ軍と竜人軍とは協力するべきね」


「そうだな……」


 ここはメイリンの言葉に素直に従う事にした。

 ラサミスは冒険者及び傭兵部隊の何人かに

 エルフ軍のシモーヌ副隊長。

 「竜のいかずち」の団長シャルクに伝令を送った。


 十五分後。

 シモーヌ副隊長と団長シャルクから――


「我々、エルフ族としては、

 この雪辱の機会を生かしたいわ」


「俺達は君の考えに賛成だ。

 前団長も君達とは懇意の仲だったしな」


 と、協力する姿勢を見せてくれた。

 尚、魔王軍に関しては無反応であった。


 彼等としては、

 司令官であるシーネンレムスの指示待ち状態を保っていた。


 こうしてラサミス、シモーヌ副長。

 そして団長シャルクが兵を率いて、天使軍に攻勢をかけた。


 ラサミス達七人に加えて残党エルフ軍約二千人。

 シャルク率いる竜人軍五千人。

 合計約七千人の戦力で地上の天使軍に迫る。



「――二連斬り!」


「――ダブル・スラスト!」


「ハイパー・トマホークッ!」


「スピニング・ドライバーッ!」


「――トリプル・サイスッ!」


 ラサミス達は手にした武器を振るい、

 眼前の魔物や魔獣に目掛けて武器スキルを放つ。


 魔物、魔獣の集団は、ゴブリン、コボルド、一角兎アルミラージ

 オーガ、リザードマン、人狼ワーウルフ

 オークなどの人型モンスターを中心に構成されているが、

 ラサミス達は確実に各個撃破して行く。


 魔物、魔獣の集団は強制洗脳状態で、

 死を恐れず、ガンガンと攻めて来るが、

 ラサミス達も一流の冒険者。


 今となっては魔物や魔獣の集団など、

 余程、高ランクや希少種でもない限り、

 苦戦する事はなく、的確に部突きスキルや

 弱点属性を突いて、物凄い速度で撃破していく。


 特にシモーヌ副隊長率いる残党エルフ軍は、

 名誉挽回をすべく、勇猛果敢に戦い続けた。


 それを中列で見ながら、

 シャルク率いる竜人軍も程よく追撃して行く。


 その光景を観て、

 アスラ平原の本陣に陣取る力天使りきてんしヴァーチャは、

 戦況を打開すべく、新手を打った。


「敵の主力部隊は、かなりの使い手のようね。

 正直、魔物や魔獣では勝負にならないわね。

 ならばここは戦闘バイオロイド達に働いてもらうわ。

 戦闘バイオロイド達をエア・バイクか小型戦闘艇に乗せて、

 前線に出して、敵を掻き回すようにして頂戴」


 ヴァーチャの的確の指示によって、

 戦闘バイオロイド達は、きびきびと動いて、

 エア・バイクや小型戦闘艇に乗って空を自由に飛んで、

 手にしたレーザーライフルか、熱光線銃で中、遠距離攻撃。

 あるいは小型戦闘艇の機銃や小型ビーム砲で攻撃を仕掛けた。


 魔物や魔獣に関しては、問題なく戦えたが、

 この戦闘バイオロイド相手にはラサミス達も苦戦した。


 戦闘バイオロイドは、体長二メーレル(約二メートル)。

 体重は二百キール(約二百キロ)。


 カラーはホワイトか、ブラックで、

 人間同様に五本の指、二本の手足に一つの胴体と頭という姿形である。


 中、遠距離では、レーザーライフルか、熱光線銃で攻撃。

 接近戦ではフォトン・ブレードと呼ばれるレーザー剣を使用している。


 このフォトン・ブレードは、

 かなりの出力と切れ味を誇り、

 金属であるならば大抵の物をが切れた。

 その気になれば、鋼鉄の鉄板を両断する事も可能だ。


 普通の剣や槍などでは、

 フォトン・ブレードに簡単に切断されるので、

 最初は知らず知らずのうちに、

 白兵戦を仕掛けたウェルガリア軍の地上部隊は、

 想像していた以上に被害を受けた。


「敵の機械兵きかいへいは、想像以上に強いな。

 あのレーザーライフルや熱光線銃に加えて、

 接近戦ではレーザー剣のような物を使う。

 こちらの装備であの連中を相手するのは少々厳しいな」


「そうね、じゃあラサミス。

 何か策はあるのかしら?」


「ミネルバ、こういう時はシンプルに攻めるのが良い。

 メイリンやバルデロン、ジウバルト。

 他にも魔法が得意な連中に魔法攻撃で攻めさせる。

 使う属性は基本的に何でも良い。

 兎に角、魔法攻撃でガンガン攻めるべきだ」


「分かりやすくていいわね。

 あたしは賛成よ、バルデロンとジウくんはどう?」


 メイリンがそう二人に問いかける。


「私も賛成です」


「……オレも構わないぜ」


「なら善は急げね。

 とりあえず、あたし達三人だけでも

 今から魔法攻撃を行いましょう」


「はい」「嗚呼……」


「じゃあ行くわよっ!!

 我は汝、汝は我。 我が名はメイリン。 

 ウェルガリアに集う炎の精霊よ!

 我に力を与えたまえ!  『シューティング・ブレア』!!」


「ワタシも行きます! ――アーク・テンペスト」


「――ダークネス・フレアッ!」


 メイリン、バルデロン、ジウバルトがそれぞれ魔法攻撃。

 それを見るなり、周囲の魔導師達も魔法攻撃を仕掛けた。


 それによってエア・バイクや小型戦闘艇に乗った戦闘バイオロイド達に、

 ダメージを与える事が出来たが、

 向こうも徐々に護りを固めて、膠着状態に入った。


 その間にラサミスは周囲の魔法戦士に命じて、

 魔導師部隊に魔力マナパサーさせて、

 魔力を補充して、次なる攻撃を仕掛けた。


「兎に角、まずはあの機械兵きかいへい

 その機械兵きかいへいが乗る乗り物を確実に

 破壊して行くぞ、そうすれば必ずこの戦いに勝てる!」



次回の更新は2025年7月31日(木)の予定です。


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― 新着の感想 ―
∀・)更新お疲れ様です。 ∀・)今話は苛烈な地上戦の序章ということでシンプル尚かつスマートにまとめられた印象?でも、ラミサスがかっこよく光っていた感じもしました♪♪♪ワクワクしますね☆☆☆彡
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