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第六百四十九話 枕戈寝甲(後編)



---三人称視点---



 夜の酒盛りが終わった翌日の9月12日。

 連合軍の兵士達は、酒が残った状態で、

 王都ニャンドランドからガルフ砦に行軍こうぐんした。


 その途中にあるレスシーバ平原には、

 猫族軍ニャーマンぐんと魔王軍の兵士を

 それぞれ三千匹と五千人を配置した。


 またガルフ砦には、猫族軍ニャーマンぐんと魔王軍の兵士を

 五千匹と三万五千人、竜人軍を五千人。

 司令官としてマリウス王弟、魔王レクサー。


 更には「ヴァンキッシュ」の主力部隊。

 ニャラード団長とツシマンもこの砦で待機状態となった。


 このガルフ砦は元々は猫族ニャーマンが作った物で、

 砦内の広さも猫族ニャーマン以外の種族からすれば、

 やや手狭で全軍合わせて四万五千人の戦力で護るのが、

 一番効率的なので、このような陣営になった。


 ガルフ砦自体は、石造りの中規模の砦。

 あの空飛ぶ黒い船――メルカバーがミサイルなどを連射したら、

 上級者の魔導師達で障壁バリアを張るしか防衛策はない。


 以上の理由から連合軍の本隊は、

 ガルフ砦の先にあるエルフ領のアスラ平原に配置された。


 猫族軍ニャーマンぐん王国魔導猫騎士団おうこくまどうねこきしだん魔導猫騎士まどうねこきし三千匹。

 それに加えて約二千以上の猫族兵ニャーマンへい魔導猫騎士まどうねこきしニャーランが指揮する。


 魔王軍は大賢者ワイズマンシーネンレムスが司令官を務め、

 エンドラ、若手幹部のレストマイヤーとアグネシャールが防御に回り、

 魔将軍グリファムが「獣魔団」の飛行部隊を五百名。

 その配下として若手幹部のバーナック率いる竜魔部隊。

 キャスパー率いる龍族部隊が「獣魔団」の魔獣に相乗りする事となった。


 サキュバス・クイーンのエンドラはサキュバス部隊を五百人。

 レストマイヤーとアグネシャールもそれぞれ一万の兵が、

 グリファムには約三万人、バーナックとキャスパーにもそれぞれ五千の兵が与えられて、

 司令官のシーネンレムスは、約五万の兵を率いるという陣容になった。


 竜人軍の一万の兵士は、「竜騎士団」の団長レフが率いて、

 ラサミス達「暁の大地」とシモーヌ副隊長率いるエルフ軍の残存部隊が約二千人。

 その全てを合せた総勢十万以上の大軍を大賢者ワイズマンシーネンレムスが率いる。


 だが魔王レクサーは本音を云えば、

 自身が大軍を率いたかったが、

 シーネンレムスの強い反対で、ガルフ砦に残る事となった。


「魔王陛下のお気持ちは分かりますが、

 これは只の戦争ではありません。

 魔族の、そして他の四大種族の生存権を掛けた戦いであります。

 いずれは魔王陛下のお力もお借りすると思いますが、

 しばらくは砦に残って、後方から全体の戦局を見据えて下さい」


 この完全なまでの正論の前では、

 魔王レクサーも大賢者ワイズマンの言葉に従うしかなかった。


 こうしてガルフ砦とアスラ平原に、

 連合軍――ウェルガリア軍の主力部隊が集結する事となった。


 対する天使軍の地上部隊は、

 主天使ドミニオンが約300名の天使騎士エンジェル・ナイトと戦闘バイオロイド一千体を率いて、

 その配下にある魔物、魔獣を約6000匹以上と共に、

 エルフィッシュ・パレスに陣取っていた。


 大聖林だいせいりんの跡地には、

 まだ千単位のエルフ軍の残党が居たが、

 そこに100名の天使兵てんしへいと3000匹の魔物と魔獣を派遣して、

 引き続き大聖林周辺の平定を続けた。


 旧エルドリア城には、

 リーンバッシュ率いるダークエルフ族部隊を三千人。

 壊滅状態だった「エルドリア解放軍」も息を吹き返して、

 無理矢理集めた1500人の野党紛いな兵士をかつての居城に置く事で、

 その小さな虚栄心を満たしていた。


 そして今回の戦いでキーとなるのが、

 力天使りきてんしヴァーチャが率いる部隊だ。

 約350名の天使騎士エンジェル・ナイトと戦闘バイオロイドを約二千体。

 天使兵に強制洗脳状態にさせた魔物、魔獣が約七千体。


 この合計で一万近い戦力を

 ガルフ砦とエルドリア城の中間地点にあるアスラ平原に配置した。


 だがこの部隊はあくまで地上の主力部隊に過ぎない。

 本当の首領は云うまでもない。

 熾天使してんしウリエルとラファエル。

 それと座天使ざてんしソロネを加えた大天使三人を乗せた黒い船。

 天空てんくう方舟はこぶねメルカバーがこの戦いでも鍵を握る事になる。


「とりあえず無難に戦力を分散する事が出来たな」


 天空てんくう方舟はこぶねメルカバーの中央発令所にて、

 ラファエルの左隣に立って、液晶スクリーンを見てそう云うウリエル。

 尚、ウリエルの左隣には座天使ソロネが立っていた。


「まあここまでは順調だ。

 だが敵の主力部隊である魔族軍が援軍にかけつけたようだ。

 その数は軽く十万を超える大軍な模様」


「……十万か、なかなかの戦力だな」


 ウリエルの言葉に、ラファエルも「そうだな」と相槌を打つ。


「ヴァーチャの戦力だけでは応対は厳しいだろう。

 同士ラファエル、この十万の兵の応対をどうするつもりだ?」


「まあ我々が――メルカバーが応対する事になるだろう。

 低周波ミサイルにビーム及びレーザー攻撃を

 繰り返したら、敵の数も減らせるだろう」


「だが相手は十万を超える大軍だぞ?

 それにメルカバーの総エネルギーは88(パーセント)まで低下している。

 この状態で戦い続けたら、

 エネルギーも減少して、思わぬ反撃を喰らう可能性もあるぞ!」


 ウリエルの言う事にも一理あった。

 ラファエルもその辺の事を考えない訳ではなかった。

 だがラファエルも天使長ミカエルから、全指揮権を任された身。

 

 負ける事は赦されず、必ず勝たねばならない戦いだ。

 だからラファエルは凜とした声でウリエルに対して言い放った。


「――いざとなればまたメギドのほのおを使えば良いっ!」



次回の更新は2025年7月15日(火)の予定です。


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― 新着の感想 ―
∀・)更新お疲れ様です! ∀・)天使軍が思わぬ動揺をしている……? ∀・)レクサーの参戦が物語に展開をもたらしていますね☆☆☆彡
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