第五百七十三話 群策群力(中編)
---ラサミス視点---
「――諸手突き!」
「――ヴォーパル・スラスト!」
「――スピニング・ドライバーッ!」
「――ハイパー・トマホークッ!!」
オレ、ミネルバ、ジュリー、バルデロンは、
手にした武器を振るい、武器スキルを放つ。
眼前にはゴブリン、コボルト、一角兎。
また人狼やオーガ、リザードマンなどの人型のモンスターが押し寄せており、
オレ達は確実に一体一体仕留めて行く。
相手は強制洗脳状態で、
死を恐れないが、所詮は魔物や魔獣。
的確に武器スキルや弱点属性を突けば、
面白いように次々と死んでいった。
だが流石に数が多すぎた。
数百や数千に及ぶ魔物や魔獣の相手は、
オレ達がいくら歴戦の猛者でもキツかった。
「流石にキリがないな。
クロエ、地形変化で前方の魔物達の動きを封じてくれ。
その後にボクが魔法攻撃で一掃する」
「了解よ! 地形変化開始っ!!」
クロエがそう叫ぶなり、
前方の魔物、魔獣集団の足下の地面が泥沼化した。
「アァァァ……!!!」
「グァアァァッ!!!」
足場を奪われた魔物、魔獣達が悲鳴を上げる。
だがこちらにとっては、絶好の機会っ!」
「ラサミスくん、キミ達にフォローを頼む!」
「了解です、ヨハン団長!」
剣聖ヨハンはそう言って、左手を頭上にかざした。
「我は汝、汝は我。 我が名はヒューマン族のヨハン。 我は力を求める。
偉大なる光の覇者よ、 我が願いを叶えたまえ!」
剣聖ヨハンが呪文を紡ぐと、その左腕に、
強力な魔力を帯びた眩い光の波動が生じた。
剣聖ヨハンは眉間に力を篭めてに、呪文を更に唱えた。
「天の覇者、光帝よ! 我が名はヒューマン族のヨハン!
我が身を光帝に捧ぐ! 偉大なる光帝よ。 我に力を与えたまえ!」
そして剣聖ヨハンは左腕を大きく引き絞った。
それと同時に剣聖ヨハンは左手に、
莫大な魔力を蓄積させて、声高らかに叫んだ。
「――聖なる審判!!」
次の瞬間、ヨハンの左手から迸った光の波動が物凄いスピードで、
前方の魔物、魔獣の群れに目がけて放たれた。
光の波動が着弾。
それと同時に凄まじい爆音が鳴り響き、
地面が地震のように、激しく振動する。
「アァァァ……アァァァ……!!!」っ!!」
「グ、グルギャァアァァ!!」
光の波動に身を焼かれて、
魔物や魔獣達の地獄のような断末魔の叫び声が鳴り響く。
「良し、アタシも後に続くわ!
我は汝、汝は我。 我が名はメイリン。
ウェルガリアに集う炎の精霊よ!
我に力を与えたまえ! 『シューティング・ブレア』!!」
「私も行くわ! ――ウインド・パイルッ!」
「あたしもっ! ――セラフィム・アローッ!!」
メイリン、クロエ、カリンがそれぞれ魔法攻撃。
スキル技を使って、
地べたを這う魔物、魔獣達を追撃する。
すると周囲のエルフ軍。
あるいは傭兵、冒険者部隊もこの機を逃すまいと、
果敢に魔法攻撃や飛び道具で魔物、魔獣の群れを攻め立てた。
約四十分に及ぶ猛攻撃で、
魔物、魔獣の群れを一千体以上倒す事に成功。
だが天使軍も対抗策を打って来た。
魔物、魔獣を強引に突撃させた状態で、
空中から天使兵に時魔法、あるいは攻撃魔法を放って来た。
しかしここで剣聖ヨハンが動いた。
「我は汝、汝は我。 我が名はヨハン。
我は力を求める。 母なる大地ウェルガリアよ!
我に大いなる守護を与えたまえ! 『魔封陣!!』」
剣聖ヨハンは手にした聖剣を頭上に掲げ、
素早く職業能力「魔封陣」を発動させた。
次の瞬間、ヨハンの聖剣の剣身が眩い白光で覆われる。
そしてその眩い白光で覆われた聖剣が迫り来る時魔法や魔法攻撃を吸収した。
剣聖ヨハンは全身から光の闘気を解き放ち、その双眸を鋭く細めた。
それから充分に補給した魔力を白銀の聖剣に集中させる。
「――ゾディアック・スティンガーッ!」
剣聖ヨハンの白銀の聖剣の切っ先から、
黄緑色の衝撃波が再度放たれた。
うねりを生じた黄緑色の衝撃波が太いビーム状になり、高速で大気を切り裂く。
剣聖が放った神帝級の剣術スキル。
その威力は絶大で進行方向に居た天使兵を無慈悲に呑み込み、
僅か数秒の間に、数十体以上の天使兵を即死させた。
「う、うわあああぁっ!!」
「ぎ、ギャァアァァッ……アァァァ……!!!」
凄えな、剣聖の名は伊達じゃねえな。
この調子なら天使兵も問題なくやれそうだ。
「良し、ヨハン団長!
ウチと「ヴァンキッシュ」で協力して、
確実に天使兵を倒して行こう。
但し敵が自爆特攻して来たら、
確実に「封印結界」で閉じ込めさせよう」
「了解だ、ラサミスくん!
アーリア、ジョルディー、ラモンは前へ!
クロエとカリンは中列からサポート及び支援攻撃を!」
「「「おおっ!!」」
「「分かったわ!」
その後、オレ達は上手く連携して、
魔物、魔獣だけでなく天使兵も蹴散らせていった。
時々、連中も自爆特攻して来たが、
その際にはメイリンとクロエが的確に動いて、
「封印結界」で向かって来る天使兵を足止めにした。
その結果、戦いの流れは確実にこちらに向いた。
だがオレ達は、決して無理する事なく、
確実に敵を減らしつつ、
敵の戦力を徐々に削いで行く。
とりあえず地上戦は、問題ないな。
だがまだあの空中要塞が動いてない。
あの空飛ぶ黒い城を落とせるか、
どうかがでこの戦いの勝敗が決まる。
だから有利な状況でも、
油断せず、今後も慎重に戦い続けるぜ!
次回の更新は2025年1月21日(火)の予定です。
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