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【天界編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第十章 漆黒の巨人

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第四十九話「咆哮(ハウル)」


 確かに今は乱戦状態で、数で上回る俺達の方が有利だ。

 だが敵には漆黒の巨人という切り札がある。

 その切り札が現れる前に少しでも敵の戦力を削ぐ必要がある。


 俺は視線を動かして、あの赤髪のジークの姿を探した。

 すると奴はまた別の巨人(タイタン)の傍で鞭を振るっていた。

 その姿を確認するなり、俺は全身に闘気(オーラ)を纏い、地を蹴った。

 

「へっ、予想通りこちらに来たか。 おい、奴を叩き潰せ!」


「うおおおおおおっ……おおおおおおっ!!」


 調教師(テイマー)に命じられるまま、巨人はこちらに振り向き、その右拳を振り上げて、勢い良く地面に叩きつけた。


 すると地面にクレーター状の大穴が開き、土塊や石片が弾丸のような速度で周囲に飛び散った。


「くっ!?」


 俺は必死に左右にサイドステップして、飛び散る土塊(どかい)と石片を躱す。


「――今だ! 咆哮(ハウル)しろ!!」


「う、うおおおおおおっ……おおおおおおぉぉぉ」


 間髪入れず放たれる咆哮(ハウル)。

 俺は両手を十字に構えて、両足で踏ん張った。

 巨人の口内から放たれた衝撃波を寸前の所で躱す。

 衝撃波はうねりを生じたまま、地を抉りながら岩壁に命中。


 激しい衝突音と共に岩壁から石片がパラパラと崩れる。

 なる程、こいつが咆哮(ハウル)による遠距離攻撃か。

 確かに凄い威力だ。 だが俺は両耳に耳栓をしている。

 でもここはあえて両耳を押さえて、苦しむ素振りを見せた。


「行け、巨人(タイタン)! 奴の耳は咆哮(ハウル)で馬鹿になっている!」


「うおおおおおおおおおっっ!!」


 雄叫びを上げながら、巨人がこちらに突貫してくる。

 俺は苦しむ素振りを見せている間に、左拳に氷の闘気(オーラ)を。

 右拳には風の闘気(オーラ)を宿らせて、巨人をギリギリまで引き寄せる。


 ――今だっ!!


 そして射程圏内に入った瞬間、両足で地を蹴り高く飛翔する。


「なっ!! ば、馬鹿なっ……咆哮(ハウル)を受けて無事だと!?」


 悪いな、ジーク。

 お前とは気が合いそうだが、俺も任務だから悪く思うなよ。


 そして俺は左の掌を前に突き出して、放射状の氷塊を放出。

 放たれた氷塊は『アイスバルカン』のように巨人の顔面に着弾。


「ぐ、ぐ、ぐおおおおおおっっ……」


 堪らず喘ぐ巨人(タイタン)。

 だがこれで終わりではない!


 俺は空中で一回転して、巨人の右肩に飛び乗った。 そして更にそこからジャンプして、巨人の喉下に接近した。 今度は右手に宿らせた風の闘気(オーラ)で、巨人の喉下を水平に裂いた。 すると巨人の喉笛から赤い鮮血が飛び散る。


「ぐ、ぐぎゃああああああっっ!?」


 即座に悲鳴を上げる巨人。 至近距離だから耳栓ありでも耳に響く。 巨人の返り血を少し浴びた俺は、後方に飛び、空中で何度か身体を回転させながら、華麗に両足から地面に着地する。


「う、うおおお……うぐおおおおおおっ!!」


 喉を掻き毟るような仕草で巨人が喘ぐ。

 この隙を逃すまいと、後衛の猫族(ニャーマン)の魔法部隊が一斉に魔法を唱えた。 火属性、光属性、風属性などの様々な属性の魔法が容赦なく巨人を襲った。


 そして巨人は両足を地につけて、前のめりに崩れ落ちた。

 これで二体倒した。 順調に敵の戦力を削いでいる。


「クソッ……このままじゃやべえな。 ってようやく来たか!?」


 と、狼狽していたジークが歓喜の声を上げた。

 釣られるようにして、視線をそちらに向ける俺達。


 すると視線の先には、十メーレル(約十メートル)を越える漆黒の巨人が右肩にエルフらしき人影を乗せて、立っていた。 


 遂に本命が来たな!

 これからが本当の戦いだ!

 俺だけでなく、周囲の者達も表情を引き締めて身構えた。


「遂に奴が来たぞ! 作戦通り防御役(タンク)は前衛に! 中衛は付与魔法(エンチャント)とサポートを、魔法部隊や回復役(ヒーラー)は後衛から魔法攻撃及び回復(ヒール)せよ!」


 俺達はレビン団長の指示に従い、命令通りの布陣を引いた。

 しかし周囲の猫族(ニャーマン)達の表情は固い。

 そういう俺も緊張で胸がどくんどくん鳴っている。


 今まさにこの瞬間、知性の実(グノシア・フルーツ)に

 まつわる戦いの第二幕が始まろうとしていた。


次回の更新は2018年9月1日(土)の予定です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 方向による遠距離攻撃はすごいですね。地面を抉るほどとは! だけど、ラサミス君が強く出カッコよかったです(#^.^#)耳栓も役に立ちましたね。準備がいいです。 順調に二体撃破しましたが、つ…
[良い点] 序盤は実力も十分に発揮して、非常に順調ですね。やっぱり本番は黒い巨人が来てからですかね…!
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