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【天使編開始!】黄昏のウェルガリア【累計100万PV突破】  作者: 如月文人
第三十八章 追風(おいて)に帆を上げる
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第二百十八話 パワーレベリング


---ラサミス視点---


 翌日の12月28日。

 この日からオレは黄金の手(ゴールデン・ハンド)のレベルを上げる為、エリス、メイリン、マリベーレと一緒に依頼討伐クエストを始めた。


 ちなみにドラガンは芸人一座絡みの打ち合わせ。

 兄貴とアイラは二人でお出掛け、ミネルバは引き続きで職業ジョブギルドで飛竜の騎乗練習。


 なのでオレはとりあえずエリス達三人と冒険者ギルドで依頼討伐クエストを受けた。

 上級職ハイクラスとはいえレベルが低ければ、他の職業ジョブより当然弱くなる。

 だからこの休暇中にパワーレベリングで一気にレベルを上げるつもりだ。


 とはいえ無料ただでオレのレベル上げにエリス達を付き合わせるのも悪い。

 だから依頼討伐クエストを受けながら、

 適正レベルの魔物や魔獣を倒していった。


 とりあえず初日は定番のゴブリン、コボルト狩りから始めた。

 だがレベル1とはいえ上級職ハイクラス

 更にはパッシブスキルで能力ステータスが底上げされた状態。


 なのでオレはひたすら手にしたポン刀――『霧島』で次から次へとゴブリンやコボルトを切り捨てた。 しかしこんな雑魚相手だと、エリス達も殆どやることがない。


 結局、ゴブリンやコボルト狩りはこの日だけにした。

 そしてギルドに報告して成功報酬40万グラン(約40万円)を

 受け取り、それを四人で均等に分けた。 一人10万の稼ぎだ。

 ちなみにレベルはこの日だけで、7まで上がった。



 翌日。

 この日はリアーナの北東にあるダルタニア迷宮へ行った。

 ウチの連合ユニオンだけでなく、他の冒険者も良く利用する迷宮ダンジョンだ。


 とはいえ上層の敵では物足りない。

 だから皆で中層まで行き、オレは補助魔法を受けた状態で、

 フレイム・フォックスやキラービートル、ジャイアント・ビー、蜥蜴人間リザードマン半鳥人ハーピーなどの様々の魔物モンスター達を手にした霧島で切り捨てた。


 只、切り捨てるだけでは芸がないので、

 とりあえず覚えた刀術スキルで魔物モンスター達を練習台代わりにした。

 流石にこのクラスの敵を一人で相手するのは厳しかったので、メイリンは魔法攻撃、マリベーレは拳銃ハンドガンによる近距離射撃で支援サポートしてくれた。


 この日だけでもかなりの数の魔物モンスターを討伐した。

 レベルも13まで上がった。 ここの敵はレベル上げに丁度良いくらいの強さだ。

 なので翌日の12月30日もダルタニア迷宮に籠もり、依頼討伐クエストをしながら、ひたすら眼前の魔物モンスターを切り捨てて行った。


 結局、この二日だけでレベルが17まで上がり、

 依頼討伐クエストと素材、ドロップ品、魔石もギルドで換金してもらった。

 それらの報酬は総額二百万グラン。 それも均等に四等分した。

 一人頭五十万グラン稼ぎだ。 この三日で60万程稼いだから、悪くない結果だ。


 だけど何十体もの魔物モンスターを切り捨てたから、

 スコットが経営する高級店「ヴァンファール武具店」へ行き、

 例の鍛治師の爺さんに霧島を研いでもらった。

 ちなみにヴァンファールはこの爺さんやスコットのファミリーネームらしい。


「ほう、たった三日で随分とモンスター共を切り捨てたようだな。この調子だとこの霧島が長持ちせんぞ。 そうだな、レベル上げ用にこちらの『如月きさらぎ』を使ってみたらどうだ?」


「まあそうッスね。 流石に雑魚モンスター狩りに霧島を使うのは勿体ないですね。 それでそちらの『如月きさらぎ』ってポン刀はいくらするんですか?」


「そうじゃな、この如月なら50万グラン(約五十万円)ってところだが、お前さんじゃから40万で売ってやるよ」


「はい、是非売ってください」


 というわけでオレは新たな日本刀にぽんとう『如月』を購入。

 長さは80セレチ(約80センチ)くらいで、重さも程ほどといった感じだ。

 まあ雑魚相手には、この如月で充分だろう。

 でも気が付けば、この店に随分と金を落としたなぁ。

 

 そして翌日の12月31日。

 この日は年の終わりでもあったので、

 連合ユニオンメンバー全員で拠点ホームの大掃除をした。

 まあいつもは他のメンバーに掃除してもらってるからな。

 だから感謝の念も込めて、オレ達は丁寧に拠点ホームを掃除した。


 そして大掃除が終わり、各自シャワーを浴びてから、

 食堂でジャンの作った料理を皆で食べて、そのまま新年を迎えた。


「新年おめでとう! 今年もよろしくお願いします!」


 という全員で歓喜の声が上がった。

 1601年は魔族が復活して、ウェルガリア全土を震撼させたが、

 果たして1602年はどんな年になるだろうか。


 まあ恐らく今年も戦い明け暮れる日々になるだろうが。 

 今ぐらいはゆっくりしたいものだ。


 冒険者ギルドもこの年明けの期間は完全に休業状態。

 なのでオレ達も1月5日までは、拠点ホームでゆっくりと過ごした。

 その間、特にすることもなかったので、

 拠点ホームの談話室でオレ達は今後について話合った。



「それはそうとオレ達はいつ戦場に復帰すればいいんだ?

 そろそろ休養にも飽きてきたし、オレとしては戦場に戻りたいんだが」


「その気持ちも分からなくないが、今はゆっくり休んでおけ。 なんでも猫族ニャーマン海軍とヒューマン海軍、それと竜人族の武装商船団が共闘して、敵が陣取る大猫島おおねこじまへ総力を挙げて艦隊決戦を挑むようだ」


「え? オレそんな話聞いてないよ?」


 オレはドラガンの言葉に思わずそう返した。

 するとドラガンはやや渋い表情をしながら、言葉を発した。


「まあこの件に関しては猫族海軍ニャーマンかいぐんがやや強引に話を進めてな。

 どうにもエルドリア城を奪還したことによって、一部の指揮官達が浮き足だっているようだ」


「ハア、でも地上戦と艦隊戦じゃ勝手が全く違うじゃん?」


「ああ、拙者もそう思う。 だが我々には発言権はないよ」


「まあ俺もこの件に関しては不満があるが、どうしようもないのも事実。

 所詮、俺達、冒険者は雇われの身。 上の決定には従うしかないさ」


「そりゃ兄貴の言うとおりだけどさぁ~。

 艦隊戦なんか何百年もしてないんだろ?

 それを急にやっても上手く行くとは思わんよ」


「まあ気持ちは分かるが、上への不平はあまり言うな。

 どのみち後数日もすれば、艦隊決戦の結果が分かる。

 それまでは今まで通り黄金の手(ゴールデン・ハンド)のレベルでも上げておくがいいさ」


 まあ正直不満はあるが、ドラガンに文句を云っても仕方ない。

 なのでオレはこれ以上、不平を言うのを止めた。

 よし、気持ちを切り替えて、また明日からレベル上げと依頼討伐クエストをしよう!



---------


 翌日の1月6日。

 次なる標的はオーガだ。

 オークや蜥蜴人間リザードマンより体格が良く、レベル的にも手頃な相手だ。

 

 今回の遠征先はラフェル荒野。

 ここは遮蔽物も少なくて、標的となるモンスターとも距離が置けるから、パーティ戦に向いている。


 今回の遠征には兄貴、アイラ、ドラガン、そしてミネルバも加わり、久々に八人全員が揃った。 当然、事前にオーガの討伐依頼も受けており、レベル上げと金稼ぎの両方も兼ねていた。

 とりあえず最初はマリベーレが魔法銃で遠方のオーガ達を狙撃スナイプしていく。


 それからメイリンが新たな杖の威力を試す為、

 足下に魔法陣を描いて、遠距離から高火力の魔法攻撃を仕掛けた。

 最初のうちはオーガ達も果敢に前進していたが、

 こちらの遠距離からの高火力攻撃にすっかり怖じ気ついて、四方八方に散っていった。


「これだとラサミスのレベル上げにならないな。

 仕方ない、メイリンとマリベーレは遠距離攻撃を控えてくれ。

 オレとドラガン、アイラとラサミス、ミネルバの五人で

 オーガと戦うから、エリス達はサポートに回ってくれ!」


「はいですわ!」「了解スッ!」「うん!」


「よし、じゃあ補助魔法を受けたら突撃するぞ!」


 兄貴の言葉にオレ達は「ああ」と頷き、手にした武器を構えた。

 さあて、久々のオーガ狩りだな。

 此奴らに苦戦するようじゃ、魔族達と戦えやしない。

 だから此奴ら相手に色々試してみるぜ!


---------


「ウオッ!! ガアアアァッ!!」


 眼前のオーガ両眼を見開きながら、

 右手に持った棍棒を振り上げてこちらに目掛けて突撃してきた。


 しかしオレは落ち着きを保ちながら、

 オーガが振るう棍棒を右にサイドステップして躱した。

 よし、こいつを練習台代わりに使うぜ!


「喰らいなぁっ! 『いち太刀たち』」


 オレはそう技名コールをしながら、右手に持った「如月」を水平に振った。

 だが少し浅かった。 放った初級刀術スキルはオーガの胸部を少しだけ切り裂いた。

 流石にオーガ相手だと初級のスキルじゃ厳しいようだ。

 

 オーガは得てして巨体が多く、眼前のオーガも250セレチ(約250センチ)くらいの大きさだ。

 こりゃあ、慣れない刀術だけで倒すのは厳しいな。

 仕方ねえ、体術もあわせて確実に一体一体倒していくべきだな。


「ウオオオッ!!」


 眼前のオーガが手にした棍棒を振り回し、突撃してきた。

 オレは力任せに振るわれた棍棒を冷静に避ける。

 ぶん、ぶん、ぶん、と空しく空を切る棍棒を避けて、オレは地面にしゃがみ込んだ。


 そして反り返るように宙を舞いながら、黒いブーツのつま先でオーガの顎を蹴り飛ばした。 

 体術スキルの固有ユニークスキル『サマーソルトキック』が見事に命中。

 強烈な一撃が決まり、オーガもふらふらと身体をふらつかせる。

 その間隙をオレは逃さなかった。


 次の瞬間、オレは右手を刀の柄に添えて、腰を沈めた。

 それから両肩の力を抜き、腰をどっしりと据わらせた。


「セイヤァッ――――――」



 オレは気勢を上げながら、素早く刀を抜き、固有ユニークスキル『居合抜き』を放った。

 神速の速さで放った一撃がオーガの首筋を綺麗に水平に裂いた。

 そして次の瞬間、オーガの喉元から噴水のように血が飛び散り、その巨体が地面に沈んだ。

 うむ、悪くない動きだった。


 少し癖があるが、ポン刀にも少しずつ慣れてきた。

 ようし、残りのオーガ相手にどんどん刀術スキルを喰らわせてやるぜ!



 二十分後。

 オレ達はほぼ無傷でオーガを全部で30体も倒した。

 オレは30体中14体も倒した。 

 メイリンが4体、マリベーレが2体。

 兄貴とミネルバがそれぞれ4体。 

 ドラガンとアイラがそれぞれ一体ずつという内訳だ。


 まあ今回はオレのレベル上げが主目的だったからな。

 おかげで今日だけでレベルが3も上がって、レベル20となった。

 黄金の手(ゴールデン・ハンド)のスキルポイントも結構貯まってきたな。

 リアーナに帰還したら、職業ジョブギルドのスカーレットにスキルの割り振りについて相談に行こう。


 そしてオーガの角と牙の20本を収拾する為に、

 オーガの死体から角と牙を採取用ナイフで綺麗に切り取った。

 派手に戦った為に何本かは角と牙が完全に折れていたが、

 それでも角と牙それぞれ20本なんとか集まった。


 今回のオーガの討伐依頼の報酬は400万グラン(約400万円)。 

 それを均等に八人で割り、一人頭約50万グランの稼ぎとなった。

 まあ装備の新調に結構金を使ったからな。

 だから稼げる時は稼がないとな。


 そしてオレ達は拠点ホームに帰還。

 オレは夕食を食べた後、すぐに風呂に入った。

 まあ少し強引なパワーレベリングだったから、結構疲れたぜ。

 そういうわけで今日はもう寝るぜ。 皆、お疲れさん。



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