3年前でおはよう
「なんて、考えてても仕方ないんだけどな…」
思わず呟いてしまい、さっきから独り言ばっかのヤバいやつみたいだな、と思う。
受験結果の掲示を見てから20分ほど家に向かって歩いていたが、まだ俺の頭の中は混乱状態らしい。
____そもそも、なんで皆あんなに受験勉強なんかに専念できるんだ。
____俺なんか、痛い目見た後にしか努力なんてできないのに。
情けなくてじわりと目が熱くなる。慌てて顔を上に向けると、
赤信号?
でも、俺、今横断歩道に________
通りすがりの誰かが叫んだような気がしたが、俺にはなんて言ったのかは聞き取れなかった。
聞き取れたのは車が俺にぶつかる鈍い音だけで、吹っ飛ばされた俺が地面に叩きつけられる音は、既に聞き取る術を失っていた。
ああ、俺、死ぬかも。
父さん、母さん、ごめんなさい________
「…なさい!起きなさい、悠馬!」
目覚めて最初に目に入ったのは白い天井____
ではなく、母さんの顔だった。
____俺は、寝てたのか?事故で意識を失ってとか、そういう…?
混乱している俺に、母さんは衝撃の一言を放った。
「まったく…いくら春休みだからって、12時は寝過ぎよ。中学に入ったら6時半には起きなきゃいけないのに……どうしたの?」
春休み。中学に、入ったら。
母さんは何を言っている?
ガタガタと震えだした俺に、母さんが怪訝そうな顔をする。
「か、母さん…今日って…いや、今年って、平成何年だったっけ?」
ますます母さんは不思議そうな顔をしながら、俺の質問に答える。
「なによいきなり…えっと、2014年だから…26年ね」
あり得ない。
なぜなら2014年、春休み。
それは____
_______3年前、中学入学直前だからである。