自業自得の踏んだり蹴ったり
3月上旬。
天気予報通りの小春日和で、暖かな日差しが降り注ぐ。
そんな中、俺____木下悠馬の心境は、天気とは全く裏腹に、ドン底と言っていいものだった。
「落ちた…」
俺は現在中学三年生。この時期にこのセリフとなれば察してほしい。
第一志望だった県立高校に落ちたのだ。
一応私立のすべり止めも受けていたが、偏差値は45ちょいという微妙な数字。少なくともテストで満点しかとらなかった小学校時代からは考えられない。
「もっと勉強しとけばよかったなあ…」
そう。もっと勉強しておけば。受験2週間前になって慌てて勉強しだすなんて事をせず、ちゃんとコツコツやっておけば受かったかもしれないのだ。
いつもそうだ。
俺は何事にも本気になれなかったり、その場で考えたことをすぐ行動に移し、後になってからそれを悔やむ。
それは中学に入った時も同じだった。
元々俺は自分で言うのもなんだが勉強をしなくても小学校のテストはほとんど満点で、それ以外は90点台を年に数回取る程度だった。
容姿も自分ではよくわからないが女子からしたら『カッコ可愛い』らしく、何度か告白を受けた事があった。
が。中学入りたてはそれで良かったものの、小学校の何倍ものスピードで進む授業に、塾に行っていないくせに自主勉もろくにしたことのない俺はついていけなくなり。
そのストレスで過食に走った結果、太って容姿はどんどん醜くなった上、運動神経も格段に落ちた。
それでも友人は何人かいたので、クラスの中では大して浮くこともなく、平凡な毎日を送っていた。
しかし中学二年生になり、俺は突如恐ろしい病気に侵され、平凡な毎日は幕を閉じた。
________厨二病だ。
正直思い出したくもないが、クラスの皆がいる前で
「昨日は日曜日だったが…この世界を護る者に休みはないからな…くっ…、昨日やられた傷が痛む…!この傷も俺の宿命なのか…!」
と、腕に巻きつけてきた包帯を抑えながら言ったりしたのは一生の黒歴史だ。
もちろん俺はドン引きされ、三年生になった頃に友人は1人もいなくなっていた。
だから俺は今も孤独な学校生活を送っている。
…けれどもし、この学校生活をやり直せたなら。
二周目があったなら。
次こそは絶対にうまくやる。
きっと________完璧になれる。